つれづれな日々のつぶやき♪

ドラマや映画、展覧会や写真展の感想をぽつぽつと
日々の暮らしの中でふと感じたことなども

Doris & Orega Collection Vol.6 『地球の王様』

2012-11-29 | 舞台/DVD

所沢市民文化センター ミューズ マーキーホールで、Doris & Orega Collection Vol.6 『地球の王様』 11月28日(水) 開演19:00 を観てきました。

※若干のネタバレがありますのでご注意くださいませ。

公式サイトはこちら♪ → 『地球の王様』

【作】金子茂樹
【演出】若松節朗
【美術】小川登美夫
【キャスト】
西村雅彦:梅木
大塚千弘:明梨
岡田義徳:松居
浅利陽介:箕島
片桐仁:芦田
高橋ひとみ:佐和子
永井大:里見

【ストーリー】※フライヤーより
一人の宇宙飛行士が地球に戻って来たとき、人類は七人しか生き残っていなかった。この中から人類のリーダーを選び、法律を定め、新たな社会を築いていくわけだが‥‥
果たして初代「地球の王様」に君臨するのは誰なのか? 人口七人となった地球はどのような一歩を踏み出すのか?
身勝手で欲深い人間たちによる人類再生の物語が幕を開ける‥‥


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Doris & Orega Collection は、前回の『ナンシー』に続いて2回目の観劇です。そのときの記事はこちら♪

客入れは静かなヒーリング系の音楽。
舞台美術は全体がくすんだ色合いの石造りの山小屋。上手にドアに続く黒い金属製の階段、木工作業用のテーブル。中央奥に二段ベッドと小さめのテント。手前には、ローテーブルと椅子が数脚。下手にドリンクカウンター。
一見したところ、まあまあ居心地のよさそうな山小屋に見えます。

草刈正雄さん主演の角川映画、『復活の日』を彷彿とさせるような設定です。最強のウイルス「ブスタマンテ」の猛威により、この地球上にはたったの七人の男女しか残らなかったというのが物語の始まり。
‥が、こちらはあくまでも喜劇♪
始めのうちは、お互いに自分のしたいことやするべきことをして時を過ごしています。しかし、地球に帰還した宇宙飛行士の里見が闖入?乱入?したあたりから、物語がぐる~っと大きく動き始めるのです。
皆それぞれが、もっともらしいことを言い、自分の意見こそが正しいと主張し、口論から本当は言ってはならない本音を口に出してしまいます。一旦、口に出してしまった言葉はもう取り返しがつかず、皆それぞれが傷ついてしまうのです。。

前半以降、お客さんの笑いが多くなり、キャストさんたちものってきて、いい感じの相乗効果に。舞台ならではのライブ感ですね♪
ラストシーンの直前、横並びで明梨が作ったカレーを食べているシーンは、故 森田芳光監督の『家族ゲーム』のパロディかと思われ(笑
なんだかんだありながらも、結局、この七人でここで暮らしていくことになるラストシーンに、ほんわかした気持ちになりました。
人の欲望、エゴ。傷つき、傷つけられ。それでも、この完璧ではない不完全な人間たちが愛おしく感じます。
人類の大半が死亡してしまったという、圧倒的な絶望から踏み出す一歩。そこには、どんなに絶望的なことが起こっても、いつかはまた、怒ったり、笑ったりすることができる。そんな希望を与えてくれる作品でした。

カーテンコールは1回。キャストさんのそれぞれのご挨拶が長かったので、おそらく1回になったかと思われます
片桐仁さんは、春日部のご出身だそうです。
大塚千弘さんは、車で来られたそうで、「のどかな風景で~」というくだりで、片桐さんに「それって田舎ってこと?」突っ込まれておりました(笑
岡田義徳さんは、早く着いたのですぐ近くの航空発祥記念館を観にいき、そこで零戦のプラモデルを4個購入されたそうです。
永井大さんは、お客さんに「ケンミンショー」のことについて質問されておりました。すかさず、片桐さんに「え?聞く?」と突っ込まれておりましたけど(笑
高橋ひとみさんは、劇場の音響がいいことを話されておりました。 
浅利陽介さんは、以前にお仕事でこちらに来られていたことを話され、何故か歌を歌う羽目に。「千の風になって」を2フレーズほど歌ってギブアップされておりました。
西村雅彦さんは、最後の最後まで役のキャラクターのままご挨拶。
楽しいカーテンコールでしたよ~♪


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ミューズ マーキーホール。




観劇前に会場の真向かいにあるレストランで早めのディナー。ナスとベーコンのパスタ♪




プチケーキ♪ おいしかったです^^




今回のフライヤー。




パンフレット1,200円。9×20cmの小さめサイズ。多分、こちらが表紙かと。
表紙の素材はベルベット風。中は折りたたみ式のページになっており、開くとアコーディオンみたいです。
キャストさんのQ&A、稽古場写真(モノクロ)、あと、キャストさんたちによる 最強のウイルス「ブスタマンテ」のイラスト付き。特にこのイラストが秀逸です! いや‥シュールというべきかも。必見♪




多分、裏表紙。















世田谷パブリックシアタープロデュース 『4 four』

2012-11-26 | 舞台/DVD

世田谷パブリックシアター シアタートラム(小劇場)で、『4 four』 25日(日)開演13:00を観てきました。

※ネタバレがありますのでご注意くださいませ。

【作】川村毅
【演出】白井晃
【照明】齋藤茂男
【美術】松井るみ
【キャスト】
池田鉄洋:F
田山涼成:O
須賀貴匡:U
高橋一生:R
野間口徹:男

【ストーリー】※パンフレットより
何もない、けれど全てがある空間。
そこには黒い箱がひとつある。
箱に誘われるように現れる5人の男。
彼らはそれぞれ、黒い箱に開いた穴から紙片を取り、そこに書かれたことに目を落とす。

裁判員に選ばれた大学職員
法務大臣
拘置所の刑務官
未決囚
役割は4つ。

一人は去り、残された4人は順に長いモノローグを始める。
罪と罰、悔恨と恐怖、孤独と虚無、過去と未来、希望と夢。
それぞれの独白、その断片は次第に他の役割の人物の言葉と呼応し、男たちを結ぶ「事件」の像が浮かび上がって来る。

罪とは何か。
それを犯した人間を、同じ人間が裁き、罰を与えることは可能なのか。
虚実を往還する4人と1人の果てなき遊戯(ゲーム)に、終幕は訪れるのか。
そしてその時、男たちは‥‥。

公式twitterはこちら → 『4 four』


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今回は千秋楽でもあり、この後地方公演もないので、いつもはほとんど書かないネタバレも書いておこうかと思います。それだけ印象に残る作品だったということです。
おそらく今年観劇した中では、ベスト3に入るのではないかと思われます。

通常の公演とは異なる舞台が作られており、チケットには席番が明記されておりませんでした。当日、チケットにある通し番号から席が割りふられていきます。
あの急勾配の席は全部取り払われ、グレーの床がむき出しになっており、そこに割りふられていた番号が印してあります。スタッフさんによって、「世田谷パブリックシアター」と書かれた木箱が置かれ、座布団をその上の乗せるとそれが席になるのです。

客入れの音楽、音響はなし。
舞台美術といっても特にステージはなく、客席と同じ高さの床が中央に円形に残してあるだけです。そこに、例の木箱が山と積まれ、芝居開始後にキャストさんたちによって端に寄せられていきます。
天井からは見るからに丈夫そうな絞首刑用のロープがぶら下がっております。
照明は横一列に、ダークグリーンでホーロー製のレトロなライト。その次に直管の蛍光灯。これが順番にストライプ状に設置されております。

芝居は唐突に始まっていきます。野間口さんが最前列のお客さんに注意事項とお願いをぼそぼそと話して回っている横で、ふと、見るとほかのキャストさんたちも三々五々、ふら~っという感じでごく自然に観客のように客席に現れ、空いている席に座ったり、またふら~っと客席の間を縫うように歩いてみたり。芝居の間中、こんな感じで客席も使われていきました。
演出の狙いどおりに、観客もただの観客としてその場にいることは許されず、いつの間にかこの5人と同じ境遇、気持ちを味わっているような、なんとも不思議な感覚に陥っていきます。
特にはっきりとした説明はありませんけど、おそらくこの5人はたまたま選ばれてこの場でこの遊戯(ゲーム)を続けているのではなく、無差別殺人の被害者家族という同じ境遇をもっており、トラウマを治療、もしくは解消するべく、演劇療法を行なっているのだろうと思われます。
もしそうなのだとしたら、なんて辛く苦しく、残酷な遊戯(ゲーム)なのでしょう。理不尽極まりない突然の暴力によって、自分の大切な人の命がゴミ屑のように一瞬で消されてしまったのですから。。
それでも、彼らは生きていかなければならないのです。自死を選ばない限り、寿命がくるまで耐え難い現実の中で。

ラスト近く、未決囚役の高橋一生さんが黒い袋状のものを頭に被せられ、膝を黒いひもで縛られ、首に絞首刑用のロープを掛けられ、足元の木箱が外され絞首刑が行われます。もちろん、安全対策で高橋さんの背中のフックに命綱がはめられ、怪我などはないようにはなっているのですけど、このシーンはかなり衝撃的でした。。
ラスト、「窓‥」という台詞と共に、バックに暗いながらもわずかな光が縦にすーっと入っていきます。このシーンはとても印象的で、救いようのない残酷さの中で微かに希望が見えてきたように思えました。

被害者と加害者。
生と死。
裁かれるものと裁くもの。
この相反することの中で、人は一体どうやって自分自身と向き合い、折り合いをつけていくのか。。 そんなことを考えさせられる、素晴らしい演劇らしい演劇でした。
とてつもなく重く暗い設定であるにもかかわらず、どこか懐かしいような不思議な感覚を覚えながら観ておりました。それはきっと、全く救いようのない状況なのに、それぞれが自分と必死に向き合い、もがき苦しむさまは人間そのものであり、愛おしさすら感じたからではないかと。
そして、いつなんどき自分や自分の大切な人たち、知り合いなどが被害者になるかもしれない恐怖と不安。もっといえば、被害者ではなく加害者になってしまうかもしれないということ。
このことこそ、忘れてはいけないことなのかもしれません。「生」とは平均寿命まで一直線に間違いなく続いている、という保証はどこにもないのですから。
誰にとっても、明日はわからない。「今」、ここに、こうして生きていることに感謝しなければいけないのかもしれませんね。

それぞれのキャストさんたちはどなたも上手く、きっちりと自分の役割を果たしており、舞台上で役の人物として生きておりました。
特に、高橋一生さんはシャープさが増し、人懐っこい笑顔の刹那、狂気をたたえた殺人者の表情に変わるさまには背筋がぞっとしました。元々、狂気を表現できるいい役者さんだなぁ~とは思っておりましたけど、さらにレベルが上がってきたようです。

カーテンコールは4回。キャストさんたちの紹介はなし。4回目は、作の川村毅さんと演出の白井晃さんも登場されました。


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割りふられた席番が印刷されている紙片の裏側。これはノーマークですけど、それぞれの役割にマークしてあるものもあったようです。野間口徹さんの説明によれば、「あってもただそれだけです」とのことです(笑




席になった木箱。パンフレットの写真を借りました。




パンフレット、B5判1,000円也。全ページモノクロで、キャストさんたちのこの作品に対する真摯な想いが綴られております。




フライヤーの束から、例によって気になるものをチョイス♪ 親族代表、復活だそうですよ^^ 


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余談です。
高橋一生さん、この方はものすごく演技の振り幅が広くて、数年前に深夜枠の連ドラ 『怪奇大家族』 に主演されたときには、情けないへたれのフリーター役でしたっけ。ものすごく、あらら~というようなシーンでも全力で演じておられましたね。夜の商店街を白い下着姿で絶叫しながら、格好悪い走り方で疾走とか‥ 女の子のように体育座りで腕を胸のあたりに引き寄せ、「キャー!!」と絶叫するとか‥ 都合が悪くなると、職質されかねない挙動不審ぶりで目がきょときょと泳ぐとか‥
多分ほぼ同時期に、「相棒」で小日向文世さん演じる連続殺人犯の心の闇に引き寄せられ、自分自身が模倣犯となってしまう、精神科医の助手役もやっておられたはず。今回の未決囚の役とリンクしていますね。
あぁそういえば、『怪奇大家族』の脚本は確か、今回のキャストさんの一人、池田鉄洋さんの所属する「猫のホテル」の主宰でもある千葉雅子さんだったかと。
いろいろ奇遇というのか、ただ単に演劇界が狭いだけなのかしらね?


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☆追記です。

世田谷パブリックシアタープロデュース 『4 four』での演技が評価され、高橋一生さんが「平成24年度(第67回)文化庁芸術祭」の演劇部門で「芸術祭賞新人賞」を受賞されたそうです。ソースはこちら→【 演劇ニュース】
おめでとうございます すごいですね~^^
私も同じ空間で、あの空気感を体感できたことに感謝です♪


☆再び追記です。
財団法人 光文文化財団が主催する「第16回鶴屋南北戯曲賞」が、17日に発表され、受賞作には、川村毅『4 four』と東憲司『泳ぐ機関車…アリフレタ炭鉱町ノ…少年ノ物語…』の2作品が選ばれたそうです。
おめでとうございます
 
候補にはこのほか、土田英生『少しはみ出て殴られた』、竹内銃一郎『満ちる』、中島かずき『シレンとラギ』、長田育恵『青のはて−銀河鉄道前奏曲−』の4作品が挙がっており、贈呈式は3月15日(金)に東京會館で行われ、正賞のブロンズ像と副賞100万円が贈られるそうです。

「シアターガイド 演劇ニュース 2013/1/22」 


☆再度、追記です。 2015.9.23

先日、フジTVの「ごきげんよう」を観ていたら、なんと池田鉄洋さんと野間口徹さんがご出演されておりました!
いろいろお話されていたけど、興味深かったのは新婚さんな池田さんのお話。
奥様との馴れ初め、実はご自分が出演されていた舞台を観劇されていた奥様に一目惚れ♥ 仕事中にもかかわらず、「綺麗な女性だなぁ~♥」と気になって仕方がなかったとか。
↑ お気持ちはわからなくもないんですが、お仕事中ですよ~集中してね(笑
で、その舞台はどうもこの『4 four』らしいんですよね~お話からすると。
えっと、、あの暗く重い内容のお芝居中に、奥様になられる方にロックオン!されていたんですね。
おい、おい(笑
なんでも終演後、楽屋にどなたかの面会にいらしてたとか。たまたま野間口さんのお知り合いだったそうで、そこから、、ということだそうです。
こんなことってあるのですねぇ。。ドラマみたいね♪





 











『くらしのたね』vol.28 古い布の復活

2012-11-21 | 言葉/エッセイ

イラストレーターのこぐれひでこさんのエッセイ  『くらしのたね』vol.28 古い布の復活  を読みました。tecolo という、手作りのナチュラル素材などを扱っているネットショップのメルマガにリンクがあるのです。

そこから一部を抜粋して。


晴れた日の午後、暖かな冬の日差しに包まれて、ミシンをカタカタと踏む私。いい感じじゃありませんか?頭に描いただけで自己陶酔してしまいそう。
何でも好きだと思ったものは許される限り手に入れておいた方がいい。このたび私はしみじみそう思ったのである。



このエッセイを読んで、自分の「好き」を大切に、ものとの出会いも大切にしていきたいなぁ。。と、改めて思ったのでした。
人も、ものも、縁ってあるのだと思うのです。しみじみ。
出会いたいと必死になっているときに限って出会わない。意識から薄らいだ頃に向こうのほうから、ふっとやってきたりする。
不思議だねぇ。。


『里見八犬伝』

2012-11-20 | 舞台/DVD

新国立劇場 中劇場で、『里見八犬伝』 19日(月)開演18:30を観てきました。

※若干のネタバレがありますので、ご注意くださいませ。

【脚本】鈴木哲也
【演出】深作健太
【音楽】天野正道
【美術】伊藤雅子
【キャスト】
西島隆弘(AAA):犬塚信乃
渡部秀:犬川荘助
村井良大:犬田小文吾
矢崎広:犬坂毛野
早乙女友貴:犬江親兵衛
市瀬秀和:犬村大角
荒木宏文:犬飼現八
加藤和樹:犬山道節
香寿たつき:玉梓、伏姫
森田彩華:浜路
山口馬木也:金碗大輔
ほか

【ストーリー】※公式HPから

時は戦国、乱世の時代。南総(現在の千葉県)を治める里見家では、領主になる里見義実を妻の玉梓(香寿たつき)が陰ながら支え続けていた。
しかし、やがて義実は心変わりし、玉梓は処刑されてしまう。その「無念の思い」は犬神と合体し、玉梓を怨霊として蘇らせる。
そして月日が経ち、里見義実の重い病と、謎の瘴気による疫病で、南総は大混乱を起こしていた。この瘴気は里見家を滅亡へ導くため怨霊の玉梓から放たれ、その勢いは南総だけに止まらず、世の中の全てを滅亡させるべく暴走し始めていた。
義実と玉梓の娘である伏姫(香寿たつき・二役)は、彼女に思いを寄せる金碗大輔(山口馬木也)に誤って撃たれてしまうが、世の平穏を願う精霊となって、「犬」の字がつく姓を持ち、霊力のある玉を所持する八人の犬士達を導き始める…
「孝」の玉を持つ犬塚信乃(西島隆弘)は、武士の家に生まれたが、家が没落し農村で育った。
庄屋の家で働く下男、犬川荘助(渡部秀)は「義」の玉を持つ。信乃と荘助は身分を越えて友情を育むが、どちらも庄屋の娘・浜路(森田彩華)に思いを寄せていた。やがて、信乃は自らの数奇な運命に翻弄され、闘い、苦しむが、活発な青年であった荘助は信乃とは違った道を歩んでいく。
金碗大輔は償いの為に出家しゝ大法師(ちゅだいほうし)となる。その息子である犬山道節(加藤和樹)は、父に捨てられたとの思いから、玉梓の配下に加わっていた。道節はやがて、「忠」の玉を持つことになる。
里見家に仕えている剛毅な武道の達人・犬飼現八(荒木宏文)は「信」の玉、山村で田畑を耕し暮らす純粋な若者・犬田小文吾(村井良大)は「悌」の玉、女装の旅芸人で抜群の剣の腕を見せる犬坂毛野(矢崎広)は「智」の玉、瘴気に苦しむ人々を救うべく修行の道を歩む犬村大角(市瀬秀和)は「礼」の玉、伏姫の霊に育てられた勇ましい若手剣士・犬江親兵衛(早乙女友貴)は「仁」の玉を持っていた。

選ばれし八犬士達だが、それぞれがそれぞれの思いや悩み、葛藤の中、様々な境涯で生きている。自分の運命に疑問を感じるものもいた。彼らは時に対立し、争う。
だが、彼らは運命に従い、伏姫の元へ導かれてゆく。世の中の滅亡を防ぐ為、壮絶な戦いの場へと乗り込むことになるのだ…

公式HPはこちら♪ → 『里見八犬伝』


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客入れは吹きすさぶ風の音。
舞台自体は八百屋になっており、後方に向かって傾斜がとってあります。舞台美術は上手に小さめの岩山と倒木、下手に大きめの岩山。どちらも石舞台状になっており、殺陣やさまざまシーンで使われておりました。

この手のプロデュース公演は基本あまり観ないんですけど、今回は村井良大さんと矢崎広さんお目当てで行ってまいりました。
ストーリーは以前から大体のところは頭に入っているし、キャストさんたちの役名(出演者が多いからね。。)も公式HPで予習していったにもかかわらず、撮影用と本番用の髪型&メイク&衣装が全然違っていたので、1階席中程くらいのお席では誰が誰やら。。 はっきりとわかるのは数名というありさまでした(笑

シーンによっては火薬使用による白煙が上がり、客席にも若干の煙と火薬の匂いが漂ってきたり。大音響による効果音、大河ドラマ風の壮大な感じの音楽、スピード感のあるキャストさんたちの動きと激しい殺陣。派手です!
前半は八犬士の生い立ち等の説明にほとんど費やされており、若干、冗長気味ではありましたけど、一幕ラストの八犬士の揃い踏みはかっこいいシーンです♪
後半はぐっとくる台詞も多く、泣いているお客さんもちらほらと。
「欠けているからこそ、それが力となるのです」 この伏姫の台詞は心に響く言葉でした。
それにしても、やっぱり宝塚のトップでいらっしゃった方は格が違うとしみじみ思うのでした。以前に観劇した、『飛び加藤~幻惑使いの不惑の忍者~』に出演されていた涼風真世さんのときにも感じましたけど、立ち姿の凛とした美しさ、登場&退場シーンの颯爽とした立ち振舞、自由自在な声色、どれをとっても「すごい!」としか言いようがありません。
個人的には、村井良大さんのお百姓さんスタイルでの背負いかご姿が、とてもお似合いでツボでございました。 あ。。八犬士の中でお一人だけ剣でなく手斧でしたね、武器が
矢崎広さんはやっぱりかっこいいと再認識。立ち姿や立ち振舞がきれいなんですよね~舞台映えするというか、絵になるというか。。 女装もお似合いでございました♪
キャストのみなさん全員が適材適所なキャスティングで、プロデュース公演には珍しい一体感のある座組。安心して観ていられました。
ともあれ、小難しいことは抜きにして、制作サイドの狙いどおり「娯楽時代劇」に仕上がっており、純粋に楽しめる舞台でした♪♪

カーテンコールは3回。キャストさんたちの紹介はなし。座長の西島隆弘さんがご挨拶。

激しい殺陣が多いので、キャストさんたちが無事に千秋楽まで怪我なく終演を迎えられますように。


追記です。
実はですね、観劇後、なんだかもやもやしておりまして。。時間が経ってから、あぁ、そうかぁ~と気がついた次第(笑 えっとですね、私、この登場人物ほぼ全員に共感できなかったのでした。他の方の感想でもあったので、私だけではない模様。
何を伝えたかったのかもいまいち不明。「義」でも「友情」でもないと思われ。少なくとも描けてはいなかったかと。ただ、少年期から青年期のモラトリアムだというのならなんとなく納得ですが。。 
フライヤー等の謳い文句とは全く違う展開だったので、??だったのかもしれませんけどね。とりあえず、派手で勢いがあって、キャストさんたちが魅力的ならよし☆という作品だったかと。いまさらですが(笑


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購入したパンフレット、A3判2,500円也。少々お高いですけどね、大判サイズで紙質もよく豪華な感じです♪




大きなクリスマスツリーが点灯しておりました もうそんな時期なんですねぇ。。




フライヤーから気になるものをチョイス! ひとつだけ難関チケットがありますね~(笑




カムカムミニキーナ2012年本公演 『ひーるべる』

2012-11-12 | 舞台/DVD

座・高円寺1で、カムカムミニキーナ2012年本公演 『ひーるべる』の東京千秋楽 11.11(日)開演14:00 を観てきました。

※若干のネタバレがありますので、ご注意くださいませ。

【作・演出】松村武
【キャスト】
八嶋智人:黒土(くろんど)
松村武:蔵王(ざおう)・青鐘(あおかね)
藤田記子:浪座(なみざ)
中島栄治郎:ヒル
佐藤恭子:えびす・ダンプ
田端玲美:アガサ
長谷部洋子:ツグミ・海魔女(あまじょ)
米田弥央:アマテル・海魔女(あまじょ)
田原靖子:カネミ・海魔女(あまじょ)
篠崎祐樹:リビア
亀岡孝洋:寧論(ねろん)
元尾裕介:松井
藍山彩:箕生(みのう)・海魔女(あまじょ)
中野大地:その他
正木航平:その他

★ゲスト
若松力(ジェイクリップ):鳴雉(なきめ)
金児憲史(石原プロ):スオウ
広澤草:ベル

【ストーリー】
時代は遥かな昔、陸の上には「るーる」の国の王と王妃、三人の子供がいる。海の底には「ひーる」の国の王がいる。
ある日、浜に鯨がうち上げられ、それを予言した足腰の立たぬ「えびす」はにわかに村人たちの尊敬を集めることに。えびすは不思議な力を持ち、己の手から金を打ち出の小槌のように振り出し村人に惜しげもなく与えるのだった。
村人たちと王族のそれぞれの思惑と歪んだ愛情が交錯し、やがてすべてが明らかになっていく。。

公式HPはこちら→ 『ひーるべる』


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客入れは潮騒のBGM。心地よい波の音が流れておりました。

舞台装置は中央から上手にかけて盆が設置され、その上にダークグリーンに塗られた階段状の構造物、同様で少し小さめの構造物が下手に。そのときどきでいろいろな場所や建物へと使われていきます。

前から2列目の席だというのもあったのでしょうけど、小道具のチープさというのか手作り感が少々気になったりして。。カムカムのみなさん、ごめなさいね~ 特に、殺陣のシーンの刀とか、白鳥が飛んでいくシーンの白鳥とか。いいシーンなのに、なんだかちょっとね。。

作品としては、「ザ・小劇場演劇」という感じで楽しめました。作・演出の松村さんの世界観は好きなテイストです♪
ただ、前半は説明調が多くて冗長感が否めず、正直、これはきびしいかも。。と思っておりました。その舞台の世界観にすっと入れないと、全編お笑いならともかく、そうでなければ観ている者にはきびしいものですから。
多少、エピソードを詰め込みすぎな感じはしました。「古事記」の伊耶那岐の命と伊耶那美の命が行う「国生み」の神話がベースになっているので、その知識がないと一回では、ストーリーと人物を追うのが精一杯になりそうです。
全編にひとつの言葉に複数の意味が込められており、構造自体よりそちらのほうがより複雑で、台詞をうっかり聞き逃すとその意図が汲み取れなくなる恐れがあります。要、集中力!(笑
例えば。。「ひーる」→「水蛭子(ひるこ)」→「ヒール(悪役)」など。

キャストの方々については、なんといってもゲストの若松力さんが圧巻!! ものすごい存在感、驚きの身体能力、よく通る声。鳴雉(なきめ)が奇声のような野鳥の鳴き声をあげるとき、背筋がぞくっとしました。なんだろう。。この声と佇まいは??と。。。
是非、また観たい役者さんです♪♪
同じくゲストの金児憲史さんも、ごつい存在感と渋い声がよかったですね。
もうひとりのゲストの広澤草さんは、う~ん、ヒロインとしてはいいとは思うんですけど、華奢で筋力のない身体をしてらっしゃるので、観ていて弱い感じが気になって。。 役柄というより、こう、ただ弱い感じで。ダンスまでいかない手振りだけの群舞でも、腕と上半身に全く力が入っていないんですよね。ストーリーを台詞で伝えるところも多いのですけど、説明している感じが否めなくて。。ちょっと残念でした。
ゲストの方々は3人いらっしゃったのですけど、劇団員の方々の中で決して浮くことなく、自然に馴染んでいい感じに調和しておりました。これは珍しいことですね~

カーテンコールは2回。キャストの方々の紹介などはなし。あ。。来年(鬼が笑う)の本公演もこの座・高円寺で行うとの報告がありました。
もう1回、観てみたかったんですけど、東京公演は終了したので無理ですね。


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座・高円寺の外観。モダンで遊び心を感じさせます。




ミニパンフレット。折り目が。。(笑




同じく。


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余談。
公演終了後、正面玄関から出ると雨が。。 呆然と立ち尽くすお客さん多数。
天気予報では夕方から雨になるとのことだったので、念のために折りたたみ傘をバッグに入れておいたので難を逃れました。
でも、自宅の最寄り駅の駐輪場からは傘をさしながら自転車を押して帰るはめに。。とほほ。傘さしは危ないからね~しないのです。結構、濡れました~冷たかったなぁ