録画していてまだ見損ねていた映画、『FLOWERS-フラワーズ』を観ました。
2010年作品
<監督> 小泉徳宏
<脚本> 藤本周 三浦有為子
<キャスト> ()内は役名
蒼井優 (凛)
鈴木京香 (奏)
竹内結子 (薫)
田中麗奈 (翠)
仲間由紀恵 (慧)
広末涼子 (佳)
大沢たかお
井ノ原快彦
河本準一
駿河太郎
三浦貴大
平田満
真野響子
塩見三省
長門裕之
<あらすじ>
戦前の1936年。代々に渡る封建的な家長制度の家で生まれ育った凛(蒼井優)は、女学校を卒業後、実家で家事手伝いをしていた。
明日は親の決めた許嫁との結婚式。だが、会ったこともない相手との結婚に心の整理がつかず、当日、花嫁衣装のまま家を飛び出してしまう。
時は流れて戦後。凛は3人の娘を育て上げていた。
1964年。長女の薫(竹内結子)は大学進学のために上京し、卒業と同時に教授と結婚。尊敬する夫に対する愛情は、何年経っても色褪せずにいた。
1969年。次女の翠(田中麗奈)は大手出版社に勤務。勝気で明るい性格、歯に衣着せぬ言動を武器に、男社会の中でも対等に渡り合う。そんなある日、フリーライターの恋人からプロポーズされるが‥
1977年。末っ子としてみんなから愛されて育った三女の慧(仲間由紀恵)。短大卒業後に結婚し、郊外の団地で慎ましくも幸せに暮らしていたが、身体が弱く、ニ人目の子供の出産を医師に反対されていた‥
2000年代。幼い頃からピアノの腕を評価されていた慧の長女、奏(鈴木京香)はピアニストを目指していたが、このところ才能の限界を感じていた。さらに、恋人との別れもあり、自らの人生を見つめ直す岐路に立つ‥
2009年。慧の次女、佳(広末涼子)は小さい頃から成績優秀だった姉の奏と比較されてきたが、短大卒業後に結婚。現在は、夫の実家で息子と共に幸せな生活を送っていた。
こうして、それぞれの時代を生きた六人の女性たち。彼女たちは命という絆で、一本の糸で結ばれていた。
戦前戦後から現代までに渡る、女系の物語です。いつの時代でも女性にとって、年齢、結婚、出産は大きな出来事であるわけです。
男性と違って、女性には出産のタイムリミットがあり、現代といえども嫁ぐ側であることに変わりはなく‥ 結婚によって、生活が激変してしまうのは、やはり男性よりも女性のほうでしょうから。。
こういった視点から観ていくと、ただ単に、美しい女優陣とレトロな古きよき時代などというものだけではないことに気づきます。
人が生きていくということはいろいろなことがあり、楽しいことも辛いことも交互に、ときには同時にやってきます。一概に「幸せ」かどうかなんて簡単に口にできるものではないでしょうね。。 良くも悪くも矛盾だらけなのが人という生きものだから。。
慧の次女、佳(広末涼子)が笑顔で父に話す言葉に涙が出ました。。
「生きてるだけで幸せなんだよ」
自分を生んだために命を落とした母(仲間由紀恵)を想い、子供の頃からずっと自問自答してきたであろう、「自分は生まれてきてよかったのだろうか‥?」という十字架を背負ってきた彼女のこの言葉は重く、しかし、希望に満ちています。
絶望と悲しみの向こうには、きっと希望の光が見えてくる。。と信じさせてくれます。
官能小説家の役で出演されていた、長門裕之さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。