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第16回ミューズシネマ・セレクション~世界が注目する日本映画たち~『ぼくたちの家族』 vol.2

2016-04-28 | 映画/DVD

前回の記事、「第16回ミューズシネマ・セレクション~世界が注目する日本映画たち~『ぼくたちの家族』 vol.1」からの続きです。
アフタートークとサイン会にも参加したので、そのざっくりとしたレポです。
メモと記憶だけを頼りに書きますので、記憶違いはどうかご容赦のほどを。簡潔にするため、「です」「ます」の表現はカットしています。
司会はぴあの荒木さん、登壇ゲストは監督の石井裕也さんとサプライズゲストの池松壮亮さん。レポは敬称略で書かせていただきます。


<ゲストの紹介と挨拶>

池松:日本大学芸術学部出身なので所沢は久しぶり。監督の勉強をしていた。

荒木:映画とはどういうイメージ?

石井:暗い空間を前提に考えている。純粋に「観てくれ!」と思って作っている。

池松:俳優ありきで大学の監督コースに進学した。子役から俳優をしている。
   俳優はそんなに楽しくなかった。もっとやるべきことがあると思った。

石井:俳優をスキルで見ていなくて、一緒に戦えるかどうか?心中できるか?で見ている。
   1本の映画をこけさせたら、いろんな人の人生を変えてしまう。


<Q&A> ※質問は挙手をされた観客の方、ぴあの荒木さんから。

Q:石井監督のおもしろいところは?

池松:たかが一俳優を同じ土俵に上げてくれる。「本気を出せ!」と言われていると思っている。
 1stシーンの撮影は病院に行って「何やってんだよ!」だった。緊張した。
 でも、妻夫木さんも緊張していた。

石井:妻夫木も緊張していた。同じ事務所で(池松さんと)似ていると言われて育っている。
   池松の役は異種でトランプならジョーカー。「おまえかよ!」という奴が家族を救う役。
   原作を最初に渡して読んでもらった。

池松:次男は自分だと思った。監督の分身として役を全うしようと思った。

石井:自分も7歳で母をなくしていて、原作者も映画の完成前に母を亡くしている。原作を読んで自分の話だと思った。

Q:緊張感を感じるシーンが多く、でもそれが説明なしでもわかってすごいと思ったが、、

石井:意図的にそうした。難しい脚本、現場で落としこむのが難しい。
   悲喜劇は紙一重だとずっと思っている。多層的にするのは個人的な趣味。わかりやすさに対する抗い。

池松:運動神経がよくないといけない。反射で反応しないと。

Q:監督はあの兄弟の性格をどう設定したのか?

石井:次男は長男の防波堤。ちゃらんぽらん。道化を演じている。

Q:次男、長男のバランスがいい。
  ご自分の人生、経験を掬いとって作品に活かすのはどうするのか?

石井:自分の経験を作品に落としこもうとすると悲惨な人生になりそうなので、あまり考えないようしている。おもしろいことや人に関ろうとも思わない。見つめてやろうと思う。
   実際に妻夫木は次男でいい加減。池松は長男で真面目。逆転させた。

池松:待ち時間に妻夫木さんが「グローブを買いに行こう!」と言って買いに行き、キャッチボールをした。兄役に徹しようとしてくれたんだと思う。キャッチボールは下手だった(笑

Q:父親の車が高級車なのにボコボコ。原作にはないがだらしなさが出ていて上手いな~と思った。

石井:原作には過去の話も出てくるが、散漫になるので削った。原作をはしょっていけばいいわけではない。「いつかはクラウン」時代の父親。車のボディーがボコボコでも修理には出さないところがおもしろい。
  貯水塔のシーン、バブル期に開発された新興住宅街が一望できて好きなシーン。あの家々にみんなどこにでも問題があるんだろうな~と思う。

Q:原作ものをどう思っているのか?

石井:原作ものでないと資金が集まらない。一応、拒否権はあるので嫌なら断る。
   文章で書けなかったものを探して表現する。 

 

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購入したパンフレット 720円。表紙が家族4人の顔、裏表紙がこちらの高台から見下ろす住宅街。
個人的には、俯瞰で撮ったかつての新興住宅街の裏表紙が好きだな。。なんとなく実家と重なるからかもしれない。




石井監督と池松さんのサインをいただきました♪




サイン会で間近に拝見した石井監督の印象は、ぴあの荒木さんがアフタートークで話されていた「見透かされるようで、あまり関わりたくない人種」というブラックな表現がわかるような気が、、
じっと人を見つめて、奥底まで見透かすような目をしていらしたので、握手もしていただいたのですがなんだか緊張しました~
池松さんはお顔も手も小さくて、大きな黒目がちの目をきらきらさせて、、握手をさせていただいたら汗?をかいてらしたのかな?しっとり感が。
間近で拝見する俳優さんって、艶というか色気があってやっぱり素敵ですね~♪ 





 

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第16回ミューズシネマ・セレクション~世界が注目する日本映画たち~『ぼくたちの家族』 vol.1

2016-04-28 | 映画/DVD

しばらく春の庭仕事に励んでいたもので、ミューズシネマ・セレクションの記事をアップするのが遅くなりました~(苦笑
では、遅ればせながらアップいたしますね。今回は『ぼくたちの家族』です。


ミューズマーキーホールにて、第16回ミューズシネマ・セレクション~世界が注目する日本映画たち~ 『ぼくたちの家族』3月19日(土)16:45上映回を鑑賞。

公式サイトはこちら。 → ミューズシネマ・セレクション Part.16

※敬称略。

【企画制作】
ぴあ株式会社 PFF事務局
『ぼくたちの家族』(117分)
【原作】早見和真
【監督・脚本】石井裕也
【出演】妻夫木聡、原田美枝子、池松壮亮、長塚京三、黒川芽衣
【ストーリー】
長男は結婚して会社勤め、次男は大学生。今は父と母だけが郊外の一軒家で平穏に暮らしている。
がある日、母が余命1週間を宣告されてしまう。そこから家族の葛藤と戦いが始まる‥。


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※ネタばれがありますのでご注意くださいませ。

実はこの日は『あん』だけ前売り券を購入していて、『ぼくたちの家族』はどうしようかなぁ~と思っていたのでした。
気になっていたんだけど、あらすじを読んでいて正直「重そう、、」と。それに、映画や舞台の梯子が苦手というか嫌いなので、続けて観るのは好きじゃないんですよね。
が!ぴあの荒木さんから『あん』のアフタートークの後、「サプライズゲストが来られます!池松壮亮さんです!」と発表があったものだから、急遽、当日券を購入したのでした。我ながら現金ね~(笑
結果、観てよかった~♪ アフタートークもいろいろなお話が聴けて楽しかったし、サインや握手もしていただいたし♪♪


重いといえば重い題材、どんより、、かと思えばところどころくすっと笑える。監督がアフタートークで言ってらしたように、悲劇と喜劇は紙一重なのだな。。と。
母の余命が宣告されたことにより、「郊外の新興住宅街で暮す平穏で幸せな家族」という絵に描いたような姿が、実は問題が山積していて破綻寸前だったことが露呈する。
父が経営する小さな会社は借金まみれでもはや返済が不可能になっており、長男はその連帯保証人になっている。
母は夫が家庭にあまりお金を入れてくれないため、パート勤めをしつつ足りない分をマチ金で借り続け督促状の嵐に。そんな状態でも次男がお金を無心すれば、いそいそと借金をして都心までわざわざお金を渡しに出かけるのだ。
長男はかつて引きこもっていたことに負い目を感じて、一人でなにもかも背負い、妊娠中の妻にさえ事実を告げられずにいる。八方塞がりの中、会社の接待で使ったキャバクラのキャバ嬢と会う約束をしてしまう。
次男は次男で留年したり母親にお金の無心をしたり、チャラチャラと無為に学生生活を送っている。
事態を収拾もできず、ただおろおろするだらしなく情けない父親。一人で一身に背負ってしまう長男。ちゃらい大学生の次男は、意外にも彼らを冷静に見ながら一番活躍することになる。
みなそれぞれが抱えて隠し通してきた(と思っている)事実と、否が応でも向き合わざるを得なくなった母の病気。これは、誤解を恐れずに言えばある意味「家族の再生と復活」のための福音だったのかもしれない。
家族だから言えないこと、でも本当は言わなければいけないこと。簡単そうで難しいのかもしれない。

貯水塔のある高台に兄弟で登り、眼下に見下ろす郊外の新興住宅街。このシーンがとても印象的で好きだ。
バブル期に開発された大きめの敷地がある新興住宅街。きれいに区画され、こざっぱりとしたその様子はまるで箱庭のようだ。
だけど、その1軒1軒にみなそれぞれ問題や悩みを抱えているのだろう、、そう思うとなんだか複雑で居心地の悪さを感じてしまう。
面倒で厄介で愛おしい存在、それが「家族」なんだろうな。。と思った。


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受付でいただいたパンフレット。







vol.2に続きま~す。 → 「第16回ミューズシネマ・セレクション~世界が注目する日本映画たち~『ぼくたちの家族』 vol.2」



 

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