FANCL ESPOIR2月号に掲載されていたエッセイ。“言葉でつなげるリレー連載 みずみずしい日々”第10回は井上荒野さんの「ある友情について」でした。
>何かと理由をつけて集まっては飲んだり、食べたり、旅をしたりする仲間がいる。
メンバーは同業者、編集者、それに古本屋(私の夫)。
(中略)
直木賞をもらったとき、私はエッセイに彼らのこと - 受賞の発表を彼らと一緒に待ったこと、受賞の知らせが届いたとき、彼らの歓声と拍手に包まれて、最高に幸せだったこと - を書いた。そうしたら、それを読んだある業界関係者が、「編集者は仕事として作家と関わっているのに、それを友情と勘違いしているなんて、おめでたい人だ」というようなことを言ったらしい。なんだかなあ。私はそれを知って、腹を立てるというより、その人が気の毒になったものだ。だって、そんなことを言うということは、そんな関わりしか知らないということだもの。
たしかに、私は友人たちの心の中まで見通せるわけではない。私が友人だと思っている人の中には、仕事として私と付き合ってくれている人もいるのかもしれない。でも、そうだとしても私はべつにかまわない。重要なのは、私が彼らをまごうことなき友人だと感じている、ということだと思うから。そう感じられることが私は嬉しくて幸福だ。
素敵な考え方というか生き方ですよね。。
人の言うことなすことを重箱の隅をつつくように、嬉々として貶したり嘲笑したりする人たちがいます。数に頼み、匿名にかこつけて、正論の御旗を振りかざし。
そんなことに時間やエネルギーを費やすのが、本当に楽しいのでしょうか…? なんだかいろいろもったいない気がして。
憂さや鬱憤が晴れるようで、その実、心の奥底にはどろどろした澱が溜まっていくのではないかな。。
そんなことをふと思ったエッセイでした。
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