少し古いのだけど、オレンジページ5/2号に掲載されていた、角田光代さんの連載エッセー「月夜の散歩」。ささやかでかけがえのない日常のお話。
この号の回は、「愛された証拠」というタイトルで男性の食事の仕方にまつわるあれやこれや。
以下、抜粋です。
>ずっと昔から不思議に思っていることがある。
ものを食べるとき、口をしっかりしめないせいで、くちゃくちゃと音をさせる人がいる。たいてい、というか、私の知るかぎりぜんぶ男の人だ。どの世代にもいる。
この「くちゃくちゃと音をさせて食べる」という行為を、好ましいと思っている人は、まずいない。女性の場合、毛嫌いしている人が多い。
私の謎は、ここである。
謎とはいっても、答えはかんたんである。ひとつしかない。それは「だれも注意しないから」。本人は気づかないのである。
そしてここでまた、謎。どうしてだれも、男には注意しないのだ?
くちゃくちゃとものを咀嚼する女性がほとんどいない、あるいはまったくいないのは、成長期のどこかでだれかに注意されたからだ。
でも、男性には許されている。不思議である。まず、母親が許すのだろう。かわいいし、男だからいいと思うのかもしれない。さらに、成長して、友だちが許す。男友だちはそういうことを気にしないのだろう。そして、彼女が許す。好きだから許しちゃうのだろう。その後、妻が許す。交際時に好きだから許し、その後注意しづらくなったのだろう。同僚も部下も許す。そんなことは仕事に関係ないのだろう。かくして、男の人はどれほど年老いてもくちゃくちゃ食べている。しあわせなことだと思う。その人にとっては。愛され、許されてきた証拠なのだから。
納得、至極。そうなんだよねぇ。。
男の人って、あんまりお行儀とか注意されないで育ち、そのまま大人になって、さらに誰も注意しないからいくつになってもそのままなお方が多いし。
もちろん人にもよるけれど。一般論としてそうだと思う。
ご本人たちは、きっとお気づきではないのだろうな。。そうやって愛されて許されてきたことに(笑
余談。
くすっと笑えて、しみじみとうなずけるこの連載エッセーが好きで、『よなかの散歩』、『まひるの散歩』を2冊購入してしまいました。
これから読むのが楽しみです~^^♪