NHK BSプレミアム シアター・コレクションで放送された、 『日の浦姫物語』を観ました。
【収録】2002.11 Bunkamuraシアターコクーン
【放送】1月29日(火)午後11:45~午前2:35(※29日深夜)
【作】井上ひさし
【演出】蜷川幸雄
【美術】中越司
【衣装】小峰リリー
【キャスト】
大竹しのぶ:日の浦姫
藤原竜也:稲若/魚名(太郎)
辻萬長:藤原成親
たかお鷹:藤原宗親
立石凉子:三味線弾きの女/侍女月小夜
木場勝己:説教聖/僧/和尚/白河帝
ほか
【ストーリー】
平安時代の奥州・米田庄。15歳になった夏のある日、罪と知らずに契りを結んでしまった美しい双子の兄妹。妹のお腹にはその時、新しい命が授かる。引き裂かれる親子、しかし、時を越えて思いがけない再会を果たすが‥
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井上ひさしさんの作品を連続上演する、「井上ひさし生誕77フェスティバル2012」の第7弾として上演されたそうです。
1978年に井上ひさしさんが書き下ろして以来、再演されることのなかった幻の名作を、“世界のニナガワ”こと蜷川幸雄さんの演出によって復活だとか。初演の日の浦姫は杉村春子さんだったそうです。
実の兄妹間の近親相姦を軸に、彼らを支える人々やその庄の住人たち、行く先々での人との繋がり。誰の心にもある弱さ、醜さ、愚かさが平易で美しい言葉で綴られ描かれております。井上ひさしさんの世界なんでしょうね。
泥々とした話にもっていかず、ところどころ笑いを交えて重苦しくならない展開になっていました。ですので、後味の悪い感じはありませんでしたね。
ただ、笑いは難しいので。。笑えないどころか、観ていて苦笑してしまうところもままあって。無理に笑いを入れ込まなくてもいいのでは?と思いました。
日の浦姫がお互い実の母と息子だとは知らずに結婚してしまったことを悔い、自分で自分の両目を短刀で刺してしまうシーンで、目から流れる血を赤い紐で表現していて演劇的だなぁ。。と感じましたね。ふと、無名塾の『令嬢ジュリー』のラストシーンを思い出しました。
キャストさんたちについては、やっぱり大竹しのぶさんは上手い!器用ですし、年齢も超越しております。さすがに映像では無理かもしれませんが、舞台では少女や娘役もOKです♪
藤原竜也さんもよかったんですが。。なんというのか、ラストの繊細な表現のシーンがいまひとつな感が。一緒にいる大竹さんが全身、手指まで神経が行き届いているのに比べると少々残念かと思えたり。『身毒丸 復活』のときのほうがもっとよかったような気が。。
立石凉子さんはいいですね。上手いし、艶っぽくてかわいらしい♪
木場勝己さんの説教聖は、なんともいろいろなものを含んでいる感じがよく出ており、凄みもあって上手いです。
やっぱり、繊細な表現、台詞になっていない諸々の言葉や感情を、佇まいや表情で表現できる(観客に伝わる)のが上手いということなんだと思います。
余談ですけど、放送の冒頭に藤原さんのインタビューがありまして。そこで、ご本人曰く、蜷川幸雄さんの作品にはこれで4度目なんだそうですが、今回の稽古は一言一句直しが入りとても大変だったそうです。「自分で自分を褒めてやりたい!よくも逃げずに立ち向かっていったと!」とおっしゃっておりました。
そうそう、別のところでは、蜷川さんが大竹さんと藤原さんのラブシーンで、「下手!うちで練習してこい!」とダメ出ししたとか。大竹さんは大竹さんで、「触り方が雑なのよねぇ~」とおっしゃておりましたっけ。なんともはや。。(苦笑
人は禁忌という罪を犯した人を裁けるのか?蔑んでいいのか?そもそも、自分はそんなに立派なのか? そんなことをしみじみと考えさせられた作品でした。
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