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夏目鏡子『漱石の思い出』内容と感想

2014-01-18 08:09:09 | 紙の書籍
文春文庫 夏目鏡子述 松岡譲筆録『漱石の思い出』を読了しました。

内容と感想をざっくりと備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。





【目次】
一 松山行
二 見合い
三 結婚式
四 新家庭
五 父の死
六 上京
七 養子に行った話
八 「草枕」の素材
九 書生さん
一〇 長女誕生
一一 姉さん
一二 犬の話
一三 洋行
一四 筆の日記
一五 留守中の生活
一六 白紙の報告書
一七 帰朝
一八 黒板の似顔
一九 別居
二〇 小刀細工
二一 離縁の手紙
二二 小康
二三 「猫」の家
二四 「猫」の話
二五 ありがたい泥棒
二六 「猫」の出版
二七 生と死
二八 木曜会
二九 朝日入社
三〇 長男誕生
三一 最後の転居
三二 坑夫
三三 謡の稽古
三四 いわゆる「煤煙」事件
三五 猫の墓
三六 満韓旅行
三七 修善寺の大患
三八 病床日記
三九 経過
四〇 帰京入院
四一 病院生活
四二 博士号辞退
四三 良寛の書など
四四 善光寺行
四五 二つの縁談
四六 朝日講演
四七 破れ障子
四八 雛子の死
四九 私の迷信
五〇 のんきな旅
五一 二度目の危機
五二 酔漢と女客
五三 自費出版
五四 芝居と角力
五五 京都行
五六 子供の教育
五七 糖尿病
五八 晩年の書画
五九 二人の雲水
六〇 死の床
六一 臨終
六二 解剖
六三 葬儀の前後
六四 その後のことども

漱石年譜
編録者の言葉 松岡譲
解説 半藤末利子


【内容】
夏目漱石夫人が語る二十年余りの結婚生活の話を、娘婿の松岡譲氏が筆録したもの。


【感想】
結婚前の松山行きから始まり、漱石の葬儀の後までが語られており、知られざる文豪の姿を垣間見ることができて興味深い。
鏡子夫人が当時の漱石門下生や崇拝者たちからバッシングを受けていたことなども書かれている。事情も知らないのに周りの者たちは勝手なものだ。生活を共にした家族でなければわからないことも多かろうに。さぞや辛く、悔しかったことかと思う。

解説は孫の半藤末利子。母、筆子(漱石の長女)から聞かされていた祖父の話が惨憺たるものだったことや、祖母、鏡子夫人の人となりについて書かれており、こちらも感慨深い。

>筆子自身もよく殴られたが、おおかた髪でも掴まれて引き擦り廻されたのか、髪をふり乱して目を真赤に泣き腫らして書斎から走り出てくる鏡子を、筆子はよく見かけたものだったと言う。世間では鏡子はソクラテスの妻と並び称されるほどの悪妻として通っているが、母に言わせれば、鏡子だからあの漱石とやっていけたのだと、むしろ褒めてあげたい位のことが沢山あったそうである。


【余談】
漱石の孫、漫画評論家の夏目房之介が以前に話されていたことをふと思い出した。

>(一度も会ったことのない)祖父から受け継いだものは胃弱とDV。

にこやかに話されていたが、かなり笑えない。真偽のほどはさてさて?


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