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武田百合子『日日雑記』内容と感想

2013-10-21 10:34:33 | 紙の書籍
中公文庫 武田百合子『日日雑記』を読了しました。

内容と感想をざっくりと備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。





【目次】
日日雑記
あとがき
解説 巌谷國士

【内容】
作家の武田泰淳の妻、武田百合子の晩年の日常エッセイ集。1998年6月から1991年4月までの間、冒頭の16Pまでは和光PR誌に掲載されたもので、その後はマリ・クレール誌に連載されたものをまとめたもの。


【感想】
エッセイといっても小洒落たことを書いているわけではなく、タイトルどおりの日常の雑記そのもの。『富士日記』よりもっと俗っぽい感じがするが、それは『富士日記』が富士山麓の別荘での暮らしを、こちらは生活している東京での暮らしを書いているからなんだと思う。
冒頭に「-いなくなった人たちに」とあり、この作品は夫の武田泰淳や懇意にしていた作家、知人たちに対するオマージュなのだろう。ご自身もあとがきで述べているように、この作品を執筆中は体調が優れず、何度も休載をしていたことも影響しているのかもしれない。
度々著名な作家(大岡昇平など)が登場するが、自慢気には聞こえないのが不思議なところ。淡々として文章を綴っているからかもしれない。
食べ物の描写がとにかく多いのも特徴のひとつ。どこどこでなにを食べ、美味しかったとか不味かったとか、いくらであったかなど。
あとは、ちまたで見かけた市井の人々の描写も多い。同年代はおろか年上とおぼしき方々にも容赦なく品評している。実際にそうだったのかもしれないが、こう事細かに観察され、文章にされて公にされたのではかなわない…。身近にはあまりいて欲しくないタイプかもしれない。
不思議なのは、そのわりには読んでいて不快な感じがしないところ。冷静に淡々と綴っているからだろうか?


【余談】
『富士日記』の(中)と(下)がまだ未読なので、こちらも読んでみようと思う。



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