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中野京子『怖い絵』内容と感想

2011-09-17 18:12:54 | 紙の書籍
朝日出版社 中野京子『怖い絵』を読了しました。

内容と感想をざっくりと備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。





【目次】
作品1  ドガ『エトワール、または舞台の踊り子』
作品2  ティントレット『受胎告知』
作品3  ムンク『思春期』
作品4  クノップフ『見捨てられた街』
作品5  ブロンツィーノ『愛の寓意』
作品6  ブリューゲル『絞首台の上のかささぎ』
作品7  ルドン『キュクロプス』
作品8  ボッティチェリ『ナスタジオ・デリ・オネスティの物語』
作品9  ゴヤ『我が子を喰らうサトゥルヌス』
作品10 アルテミジア・ジェンティレスキ      『ホロフェルネスの首を斬るユーディト』
作品11 ホルバイン『ヘンリー八世像』
作品12 ベーコン『ベラスケス<教皇インノケンティウス十世像>による習作』
作品13 ホガース『グラハム家の子どもたち』
作品14 ダヴィッド『マリー・アントワネット最後の肖像』
作品15 グリューネヴァルト『イーゼンハイムの祭壇画』
作品16 ジョルジョーネ『老婆の肖像』
作品17 レーピン『イワン雷帝とその息子』
作品18 コレッジョ『ガニュメデスの誘拐』
作品19 ジェリコー『メデュース号の筏』
作品20 ラ・トゥール『いかさま師』


【内容】
誰もが知っている西洋名画の数々。見慣れた名画には、驚くべき怨念や冷酷や非情や無惨が込められている。
一読すれば、以後、平然と絵の前を通り過ぎることができなくなること請け合い。親切でやさしく「怖いもの見たさ」の感情に強く訴える美術エッセイ。


【感想】
現在、三冊出版されていて、そのうちの一冊目がこの本になる。いきなり!装丁の表紙からして怖い。背表紙の色は真っ赤!本棚で目立って目立って…。
表紙絵は、作品20 ラ・トゥール『いかさま師』正面の女性がアップになっている。

掲載されている作品は、全部で20作品。ドガやゴヤなどのビッグネームや、レーピンなども。ひとめ見て、明らかに誰にでもわかる怖いものと、説明されるまで、どこが怖いのかさっぱりわからないものまで、様々な怖さについて解説されている。
私は小さい頃から絵を描くのも見るのも好きだったので、楽しんですらすらと読めた。なんの予備知識がなくても、十分、わかりやすく楽しめる作品だと思う。

本書の一番最後の一文が真の怖さとはなにかを物語っていた。
>一番恐ろしいのは天変地異でも幽霊でもなく、生きた人間なのだと肝に銘じた者にしか、『いかさま師』のぎろりとした横眼は描けなかったのかもしれない。

そのとおり。


【余談】
昨年にNHKで特別番組が作られて、そのときにこの著者と本の存在を知った。番組自体も民放のように、演出や出演者が無駄にうるさくなく、淡々とした作りがかえって怖さを醸しだしていたように思う。

只今、著者は、過労と夏バテで救急車で夜中に搬送され入院中だとのこと。無理せずに療養して、また興味深い切り口の本を執筆していただきたいと思う。


【リンク】
中野京子の「花つむひとの部屋」

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