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恩田陸『六番目の小夜子』あらすじと感想

2020-05-12 15:01:20 | 紙の書籍
新潮文庫 恩田陸『六番目の小夜子』を読了しました。

あらすじと感想をざっくりと備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。





【目次】
プロローグ
春の章
夏の章
秋の章
冬の章
再び、春
あとがき
解説 岡田幸四郎


【あらすじ】
津村沙世子はとある地方の高校に転校してきた。彼女は美しく謎めいた転校生。
その高校には十数年間にわたり、奇妙なゲームが受け継がれていた。三年に一度、サヨコと呼ばれる生徒が見えざる手によって選ばれるのだ。そして今年は、「六番目のサヨコ」が誕生する年だった。
「サヨコ」とは一体何者なのか…?


【感想】
恩田陸の伝説のデビュー作ということで、これは読んでおかなければね~と。

ざっくりとした感想はファンタジーホラー風味の青春群像という感じ。奇妙なゲームとサヨコの存在は当事者の高校生にとっては、一大事であり恐怖。だが、高校の囲いの外にいる者から俯瞰で観ると、たわいもないゲームにすぎない。
「怖い」と思えば「怖い」し、「そうでもない」とも思えば「そうでもない」。集団心理も加わると余計に怖くなるものだし。「闇」だと思えば「闇」だが、ただ少しだけ暗いだけということかもしれない。勝手にみんなで深淵を覗き込んで恐怖を感じて、代々この奇妙な伝統を律儀に守り続けているような気がした。
結局、サヨコは本当に存在したのかどうかもよくわからない。学校に十年間もいる教師の黒川がワープロでサヨコを装って手紙や台本を書いていたのか?も判然としない。最後まで、ぼんやり…とした感じで完全な謎解きはされないままだ。
これはこれで、もやっとしつつもいいと思った。謎は謎のままのほうがわくわくするし。解明されたら、なんだそんなことか~ということにもなりかねない。


【余談】
高校の描写が自分の高校を思い出した。同じ匂いがするのだ。地方の進学校というのは、どこも似たような雰囲気なのかもしれない。





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