ノアの小窓から

日々の思いを祈りとともに語りたい

バッキンガム宮殿

2014年12月26日 | 旅行



    本当は写真をアップするつもりでしたが、ちょっと出かけたりして、まだ、うまくカメラが扱えません。
    アップする予定だったものと、多少関係のある記事をアップします。


    1991年9月でした。それ以上正確な日時は覚えていません。
    私は、一か月ほどのショートステイでロンドン郊外のベッケンハムという町にいました。
    ウィークデイは英語学校に、休日は観光にと気楽なホリディを楽しんでいました。

    それは土曜日か日曜日でしょう。私は、バッキンガム宮殿の衛兵交代を観に行こうと思いt立ち、 
    イギリス国鉄と地下鉄を乗り継いで、なんとかバッキンガム宮殿の門の前までたどり着いたのです。
    ところが、予定が狂って、もうその日の儀式は終わっていました。あまり人もいないがらんとした門前で、
    「さて、どうしたものかしら」と思案してしまいました。
    「きちんと時刻表を調べて、早めに出てこないから衛兵交代を観そびれてしまった。
     相変わらず、ドジだね。あんたは。さて・・・」

     吹っ切れない気持ちで丈の高いいかめしい門扉から、遠くに見える宮殿の玄関を見つめました。

     ふと、玄関を回る車寄せに黒塗りの大きな車が待機しているのが、目に留まりました。
     そばに正装の運転手が立っています。
     車に詳しくない私でも、それが特別の「御用車」だとわかりました。

     「どなたが出てくるのかしら。エリザベス女王さま? エジンバラ公?」

      しばらくすると、正面玄関が開いて、男性がお二人出てきました。
      なんと、お一人は、日本の皇太子殿下でした。

      すぐ後から出ておいでになった背の高い紳士が、エジンバラ公なのは遠目にもわかりました。

      お二人はさりげなく立ち話でもするように言葉を交わされている様子で、やがて握手をされました。
      タイミングを計ったように、黒塗りの車が玄関前に回っていきました。皇太子殿下が乗られると、
      車が動き出し、ちょうど開いたバッキンガム宮殿の門にむかってくるのです。

      こういう時は、私もやはり日本国民ですね。
      思わず、手を振って見送っていました。
      何か叫んだかも知れませんが、覚えていません。
      なにしろ、ふだんは日本人観光客がいっぱいいるはずのあたりに、
      まるで日本人がいなくて、
      まばらな外国人観光客たちは、だれも車の中の方が
      日本の皇太子だとは気付かないようでした。

      車が消え去った後も、私はしばらく呆然と門扉の前に立っていました。

      こういうことがあると、思うのです。

      旅行はスケジュール通りでなくてもいい。ハプニングがあるから、楽しい!!