今頃の季節になると、「戦力外通告」という言葉を目にするようになります。
プロ野球の公式戦が終わり、各チームの編成が新しくなるためらしいのです。
私も、40年もむかし、、阪神タイガーズのファンを自認していたことがあったのです。
「月間タイガーズ」なんか購読して、主力級の選手の活躍やファームの選手たちのがんばりにエールを送ったりしていたのです。
当然、身内全部がそうなので、それは楽しい共通の話題でもあったのです。
と言っても、たまに球場に行くくらいで、それも、
頭のてっぺんから足の先までグッズにで固めて、踊り叫ぶといったファンではありません。
気取っていえば、ひそかに、陰ながら、熱い思いをたぎらせていたわけです。
何しろ、万年最下位と言われていたチームですから、こちらもあまり勝ち負けにこだわっていないのです。
試合の成り行きにドラマを感じ、個々の選手にやっぱりドラマを見るのです。
「息子をよろしく」というコラムがありました。二軍選手のお母さんの小さな手記でした。
驚くのは、プロに来るような選手はみんな、子供の時からスポーツ万能で、学校でも地域でも有名で、 じつは、ほかの競技で全国大会に出たり、ほかのクラブの試合に駆り出されていたりしたというのです。
とりわけ運動には見るべきものがなかった自分としては、まるで、高嶺にいる人たち。
プロ野球の世界から、スカウトされるだけのことはあるんだと感激していました。
ところが、その子たちが、ついに一軍に上がることもないまま、ある時、辞めていくのです。
一軍で少し名前を見るようになった選手でも、「戦力外通告」を宣告されて、
消えていくのです。
一軍レギュラーで働いて「引退試合」をしてもらえる選手なんていうのは、例外らしいと知るのです。
★ ★★ ★
「戦力外通告」を受けて苦闘する選手のドキュメントが、テレビで放映されていました。
確かに、四十歳になる前に、「戦力外」と通告されて、一番なじみの世界から出ていくのは、
きついよねと思いました。
人生これからという年齢です。家族のためにもこれから大金が必要になり、働かなければならない時期です。
「捨てる神あれば、拾う神あり」の世界ではなさそうです。
それでも、
多くの人にとっては、
「良い人生だなあ」と、垂涎(すいぜん)なのではないでしょうか。
戦力外通告という言葉は、ちょっと無慈悲な響きがあるけれど、
でも、それでも、それによって、彼らが色あせることはない!!
そんな言葉だとも思うのです。
その証拠に、この季節、
多くの若者が、わくわくしながらドラフト会議を待っているのではないでしょうか。
新しい季節が、近づいています。