テレビで、100歳のお年寄りの「週三回食べるこだわりの食べ物」を取材して、スタジオで
お医者様がその長寿効果を語り、
人気タレントさんたちが、クイズまがいの質疑に応答するバラエティ番組があった。
豚肉、鶏肉、卵、鮭やサバ。納豆、豆腐など、まあ、身近で手に入りやすい食材ばかりで、
いくらか安心させられ、親しみを覚えるリポートになっている。
とはいえ、何となく、笑ってしまうそのゆるゆるぶり。
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長寿のお年寄りが増えた大きな原因に、食物があるのは事実。
でも、もっと大きいのが医療と福祉の進歩でしょうと、思うのです。
まず、乳幼児期に死ぬはずだった多くの命が救われている。
お産で亡くなるリスクも驚くほど低下している。
難病の多くに、根治または、よい対症法ができている。
がんさえ撲滅しそうな勢いの医療の進歩、
住宅や乗り物での冷暖房完備、衣服や住まいの快適さ。
やさしい救急車と、病気に対する驚くほどていねいなケア、
これらがなければ、私も、今日まで生きてはいないと思うのです。
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せっかく、生まれたのだから、
せっかく、いただいた生命なのだから
何が何でも、死んだら終わりだから、
人ひとりの命は、地球より重いのだから、
老人は社会の貢献者なのだから、
老人はあなたがたのお父さんお母さんなのだから、
老人は知恵があるのだから、
100歳の老人は、いま50歳である人に、あと50年の人生というビジョンを与えてくれるのだから、
子どもたちのためにも、
一日でも長生きしようとするのは、
良いことです。
でも、
何となく笑ってしまったのです。
いま、100歳の御年寄りの食べている食物を、目の色変えて、明日から実行しようと
意気込む番組の態度に・・。
だって、今よりはるかに、医療も、福祉も、環境の良さもなかった時代を生き抜いて来た方の
生命力と運の強さを、まったく度外視してる。
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はっきりしているのは、100才まで、120才まで生きても、
「人は死ぬものである」ことです。
まあ、そんなシリアスなことを言わないでという声がきこえてきそう?
せっかくの夢なのだから、
夢は、ゆるゆるの笑顔の中で生まれるものなのだから、
面倒なことは思わず、豚肉にも豆腐にも、鮭やサバにも、夢を託して、
さあ、ゆるゆると行きましょう。