いつものようにタクシーでご帰宅と来たもんだ。
酔っ払い野郎が偉そうに。
夜11時頃、
時代はバブル末期の '90年前後。
焼鳥屋で焼酎を7~8杯、
2軒目の居酒屋でも同じくらい飲んだ。
そして、 女の子のいる店を3軒ほどハシゴ。
何杯飲んでも酔わない気がしていたけど、その日は違っていた。
仕事でちょっとしたトラブルがあったのだ。
決して 酒で自分をごまかすことはないが、いつもよりは飲んでいた。
郵便受けを見て (大抵、元妻がチェックしている)、
エレベーターに乗り、 7階を押すと あっという間にたどり着く。
もうここに住み始めて 3年目か・・・、
と 考える余裕さえないまま 自室の前に立つ。
鍵はカバンの中に入れてあったので、
呼び鈴を鳴らす前に、 なにげなくドアノブに触れると、、、
開いていた
私は怒ることも忘れ、 急いで元妻を捜した。
家の中に入ると、
左がタンスやゴルフパターマット置き場、
真ん中が寝室、
右に進むと、 リビング&キッチン。
リビングの電気は点いていた。
当然だ。 まだ11時…。
すりガラスの向こうには元妻がいて、 テレビでも観てるに違いない。
すりガラスの内扉を開けようとした まさにそのとき、
私は ある事に気がついた。
部屋に漂う空気、 見たことがないタペストリー、
そして 傘立てに置いてある おびただしい傘の数・・・。
- 間違えた -

直感でわかった。 (遅すぎるぞ!)
そっと靴を履き、 ドアを開け、 そして閉めて・・。
外に出て プレートを見ると 806号室。
私の部屋のひとつ上階だった。
後にも先にも 部屋を間違えて「不法侵入」したのはあの時だけだ。



酔っ払いはこわーい というお話でした。
しかし 806号室もきちんとロックしとけよな~ なんてね。。
