愛しき盟友 T子さんへ
今度こそ告げよう
最後の 「さよなら」 を。
きみと知り合った16歳の春、
まだ僕は子どもだったよね。
初めてきみに触れた僕の唇が小さく震えていたこと、まだ覚えてる?
あの頃の僕はきみに夢中になりすぎて、
夜中に目覚めてきみの姿が見当たらないだけで、部屋を飛び出したこともあった。
それからの35年間は、男女とか、そういう間柄ではなく、
いつでも気持ちが寄り添っている、盟友としての付き合いだったね。
きみと一緒に見たタヒチの夕景の美しさ。
宗谷岬の凍てつく寒さは半端じゃなかった。
ニューヨークのラガーディア空港では、
居場所を探して、まるで迷子のようにさまよい歩いたきみと僕。
一昨年、僕が情動的に別れを告げたとき、きみは何も言わなかったけれど、
必ず僕が帰って来ると信じてたみたいだね。
案の定、僕は3日も経たないうちに、我慢できずにきみの元へ・・。
だけど、今度こそ、
つらくて堪らないけど、今度こそ、
本気で別れるときが訪れたんだ。
さよなら。
そして、ほんとにありがとう。
果てしなく長かった、
そして、 長すぎたきみとの時間。
僕のことは思い出なんかにしないでくれ。
僕もきみのこと、 心の海の底深くに 静かに静かに 沈めてしまうから。
さよなら、
魅惑の紫煙と心満たす薫りで
僕を虜にし続けた愛しのT子さん・・・。
T子さん
↓
一 体 人 生 何 度 目 の 禁 煙 な の か ・ ・