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2019-02-19 21:40:20 | 特別支援
通級による指導への期待 テーマにシンポジウム

 2019年2月18日・教育新聞

 「インクルーシブ教育システムの推進―多様な学びの場における研究所のコンテンツ活用―」と題したセミナーが2月15、16日の2日間、都内で開催された。主催は国立特別支援教育総合研究所。同研究所のコンテンツや障害のある子供のための支援機器を紹介したほか、通級による指導について意見を交わすシンポジウムを実施した。教員らのべ約900人が参加した。

同研究所の横山貢一・総括研究員は、同研究所のウェブサイトで提供するコンテンツとして、▽研修講義の動画▽教材・教具や支援機器についての情報▽発達障害に関する研究紹介▽教育相談に関する情報――などがあると説明し、活用を呼び掛けた。

支援機器の紹介では、視覚障害や色覚障害がある子供に向け、色を識別して音声で知らせる「にじいろリーダー」や、聴覚が過敏な子供のための、騒音を低減しながら教員の声を聞くことができる「ノイズキャンセリングヘッドホン」などが展示され、教員らが実際に体験して効果を検証した。

「通級による指導に期待されること」と題したシンポジウムでは、高校の特徴を踏まえた通級による指導のあり方について意見交換。同研究所の笹森洋樹・上席総括研究員は、高校における通級では教職員全体の共通理解が課題だと述べ、「通級指導やその担当者が孤立してはいけない。通常の授業での指導と通級での指導を関連付けられるよう、教職員同士で課題意識や目標を共通で持つ必要がある」と強調。

神奈川県立足柄高校の笹谷幸司校長は、前任校での通級導入を振り返り、「これまで高校は、一律の基準を設けてそれを達成した生徒に単位修得を認定してきた」とした上で、「多様な生徒のニーズに応じて合理的配慮をするには、長年にわたって積み重ねてきた教育を壊す必要があった」と述べ、「教職員の心のバリアフリーに努めた」と語った。

NPO法人東京都自閉症協会の綿貫愛子さんは、「通級はハードではなく、ソフトといえるのではないか。『この生徒には何が足りないか』を学校が判断するだけではなく、本人が何を望んでいるかをしっかり聞いてほしい」とコメント。

植木田潤・宮城教育大学教授は「通級は制度ありきではなく、ニーズありき。『文科省が決めたことだから導入しなければならない』ではなく、『この生徒にとって必要な支援を』という視点で、柔軟に対応していく必要がある」と締めくくった。