昔、ネギソバで名を売った「新新茶房」という中華料理店があった。場所は善隣門のそば、今は「カモメ」があるところだ。私はときどき、そこでランチをしていたのだが、あるとき気がついたら店がなくなっていた。 どこかへ移転したのだろうと思い、その後はすっかり忘れていた。ところが最近、「新新茶房」のマスターがやっているお店を見つけたのだ。それが冒頭に掲げた中華居酒屋「寅吉」。 ここがあの「新新茶房」の流れを汲む店だと知ったのは、『寅ちゃんの簡単!極旨中華』という本の著者紹介だ。そこにはこう書いてあった。 趙 冠民。1975年~81年中華街「鳳城酒家」でコックとして中華街デビュー。1982年実家のスナック「新新」を本格中華料理店「新新茶房」として立ち上げ。「ネギそば」が大ヒット。1989年石川町、多摩センターに支店を出す。1998年関内に中華居酒屋「寅吉」オープン。 4月上旬、確認のために同店を訪問する。店頭のランチメニューに干労麺、タン麺などと並んでネギソバの表示が出ていた。もちろん注文する。 そして出てきたのがこれ。「新新茶房」で最後にネギソバを食べたのは、16年くらい前だろうか。もうずいぶん昔のことなので記憶が定かではないが、あの時食べたネギソバと同じなのだろうか。以前のはもっとネギとチャーシューがタップリだったような気がするのだが… さて肝心のお味の方はというと、まあ、それなりに美味しいのだが、あの「新新茶房」で食べたあのネギソバとはちょっと違うような感じだ。以前のはもっと自己主張があったと思う。歳月が味を丸くさせたのだろうか… 「新新茶房」の前身は、著者紹介欄にも書かれているスナック「新新」。その頃は通りに名称が付いていなかったかもしれないが、今で言うところの北京小路にあった。 上の地図は1976年のもの。懐かしい店が並んでいるでしょ。コーヒーの「ストーリー」。カウンターだけの小さな店だった。若い頃は、よくここでトーストを食べてから仕事に向かったことを思い出す。パンの焼ける香ばしい匂いとコーヒーの香りが今でも鼻腔に残っている。 「桃源邨」。現在は「謝甜記」の裏の方にあるけど、この頃はこんなところにあったんだね。すっかり忘れていた。 こちらの地図は同じ年の善隣門付近。「萬珍茶房」の角にはバー「ヴァイキング」があった。入ったことはなかったが、長いカーテン、その隙間から垣間見える薄暗い店内、たまに聞こえる女性の声、出入りするアメリカ兵…中華街のド真ん中で、ここは異次元の世界のようだった。 いま「海王」のあるところ、この頃はバー「ロングビーチ」と定食屋「ニューポニー」だったんだね。まったく記憶がないけど。 その向かい側には酒舗「万両」。よくここで立ち飲みをしてから帰ったっけ。酒屋だからとても安かったのを覚えている。今は中華料理一色の感があるこの街だが、当時はまだまだ生活関連のお店が結構あったのだ。 これはその頃の写真。 1986年の北京小路。スナック「新新」は中国茶房「新新」に変わっている。 コーヒー「ストーリー」は消えてしまったが、「吉兆」の2階にはまだ雀荘「ひかり」が残っている。 このころ、私は麻雀界から足を洗っていたのだが、いま思うと、中華街の雀荘に一度は行っておくべきだったなぁ。 そして1999年の北京小路。中国茶房「新新」は移転し、跡地に菜香グループの「阿媽的厨房」が建っている。 一方、こちらは同じ年の善隣門付近。酒屋「万両」の横に「新新茶房」が入っている。立ち飲みでビール、日本酒を飲んだ後は、隣へ移動しネギソバで〆る。金額的にも距離的にも、ずいぶんと経済的なコースだった。 ちなみに今、「万両」跡にはミニ肉まんで売り出し中の「皇朝」が、「新新茶房」跡にはチャイナハウス「カモメ」が店を出している。 店名:中華居酒屋「寅吉」 住所:中区相生町2丁目34-1 電話:045-663-6141 ←素晴らしき横浜中華街にクリックしてね 「ハマる横浜中華街」ランチ情報はコチラ⇒ |
ネギソバで有名な店だったんですねー
なお昔のスープの出汁は鶏がらだけのようです
はい、有名な店でした。
コメントをいただき改めて思い出しております。
美味しかったなぁ……
善隣門と萬珍の写真の並びのウサギの紳士の看板、
BARプレイボーイですね。
懐かしいです。昼間コーヒーを飲みに行ってました。
有難う御座います。
プレイボーイも入ったことがありません。
というか存在も気づいていなかったかと。