スタッフのつぶやき

CIL東大和のスタッフが徒然なる日常をつぶやきます。時にズバっと斬りこみます!

一人の市民として立つとき

2016-04-14 10:41:22 | インポート
eです。

先日、私が住んでいる東大和市の市職員向けの
「障害者差別解消法研修会」がありました。

この4月から施行された「障害者差別解消法」。

国や地方自治体の行政機関職員は、
障害者を、その障害を理由として、
障害のない人と異なる
不当な差別的取り扱いをしてはいけなくなり、
また、障害者から求められた環境調整のための
合理的配慮を行わなければならなくなった訳です。

各省庁は、職員の「服務規律」として、
「対応要領」というルールブックを作る義務があるんだけど、
地方自治体は、「対応要領」策定は努力義務。

ということで、まだまだ「市」のレベルで
「対応要領」を作ってるところは少ないんだけど、
なんと!東大和市は、がんばって作ったんですよねー!

変に、そういうところ、真面目なのねー東大和市(笑)

「対応要領」は、基本的に、職員の「服務規律」だから、
この対応要領に著しく反する態度の職員は
「懲戒」の対象になるということ。

職員にはちゃんと法の趣旨を理解しておいてもらわないと困る、
ということで、今回の研修会開催に至った、という訳。

で、先月、障害福祉課長から電話があり、
この研修会のゲストスピーカー依頼を受けました。

話を聞くと、
課長がダラダラと法律の説明をしてもつまらないから、
市内の当事者や支援者が、
実体験として受けたり感じたりしている「差別」や、
職員に希望する対応を話してもらいたい、
と言うではないですか!

そして、私の他にも、
聴覚、視覚、知的、精神分野の人も呼ぶ、とのこと。

良いことやるなぁ、東大和市!

という訳で、快諾したのですが、研修の5日前、
「私は身体障害者とか医療的なケアが必要な障害者の立場で
望むことを話せばいいんですよね?」と、
念のため確認したところ、
課長からは、
「ううん、海老原さんにはもっと大きなことを話してほしい」
との回答。

え。聞いてませんけど...。

課長が差別解消法について説明するので、
私からは、その差別解消法が成立した背景、
障害者権利条約のことなどを話してほしい、と。

はぁ...。

うーん。
ただ権利条約の話しても、つまらんよねぇ。
障害当事者として伝えられることじゃないと、
私が話す意味ない。
うーん。

ということで、

障害者ってさ、生まれたその瞬間から、
世の中に歓迎されないんですよね。
親は「なんでうちの子に限ってこんな子が...」
って悲しがるし、
社会に出れば、一般的なルールに乗りにくいからと
隔離されたり分離されたりするし。
危ないからこれやるなとか、
迷惑だからこれは我慢しろとかよく言われる。

私は東大和市に引っ越して自立生活を始めた時、
障害福祉課に「金がかかる奴が来た」と
嫌な顔されたり、子ども扱いされたし、
私の後に自立生活を始めた筋ジスの人は
「24時間ヘルパーが必要なら施設に行ったらどうですか?」
と、福祉部長に言われました。

でも、障害のない人は、いつ、どこに、誰と住もうが
なにも言われないでしょ?

障害者は、なにをやるにも、
いちいちいろいろ言われるわけ。

でも、障害者は、そうやって、
障害のない人に管理されたり保護されたりするんじゃなくて、
障害のない人と同じスタートラインに立って、
自分の人生を、主体的に生きたい、と思っている。

その想いを集結させたのが「障害者権利条約」なんです。

障害者に特別優遇を、とか、特権を、
ということではなく、
障害者である前に、ひとりの市民になりたいんです。

障害は、一人一人の市民の意識が造り出します。
皆さんが私を「障害者」として見れば私は障害者になるし、
自分と同じ、ひとりの人間として見てくれれば
私は人間になれます。

差別解消法は、目の前にある一個一個の差別にどう対応するか、
ではなく、目の前の障害者を、対等な人間として扱えるか、
ということを、障害のない人に問う法律だと思っています。

というような話をしてみました。

職員の皆さんは、なんか、シンとして、
真剣に聞いてくださっていたような気もします。

一回の研修の参加人数は40人。
午前と午後、2回やらせてもらって、80人。

研修開催は年に1回の予定らしく、
全職員が研修を受講するには...

えー...計算すると、10年かかるw

ちょ...
1回の受講人数増やすとか、
研修開催回数を増やすとか...
せめて3〜5年で終わらそうよ...。

でも、とにかく、対応要領を作っていない自治体も多い中、
障害当事者による職員研修まで取り組んでいる東大和市。

なかなかやるな、と。

対応要領と併せて作成しているガイドブック。
どんな障害の人にはどんな対応が望まれるかの具体例や、
職員としての心構えのようなものが書いてあるもの。

でも、こういうガイドブックは生き物だから、
今後、差別事例を重ねて、どんどん改訂していきたい、
と課長。

昔は障害者を子ども扱いしかしなかった東大和市。

15年でこんなに成長するとは...。
なんか感慨深いものがあります。

町を育てるのは市民です。
これからも、いろいろ刺激しあって、
もっともっと良い町にしていきたいものです。



写真は、事務所のお母さん「K子さん」が、
最近ご飯を食べられない私のカロリー摂取の為に、
茹でて来てくれる、おやつのゆで卵。
マヨとお塩をかけていただきます。
黄身がオレンジの、栄養満点のゆで卵。
貴重なカロリーとタンパク質。
ありがたや、ありがたや。

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