十億のひとに 十億の母あらんも わが母にまさる 母ありなんや
(明烏 敏 あけがらす はや)
今日は2回目の震災記念日です。たくさんの人が2年前大地震で亡くなりました。2013年(平成25年)3月8日時点で、震災による死者・行方不明者は18,549人(Wikipedia)とあります。
今日は3回忌の日でもあります。多くの子供たちが親を失い孤児となった。
この2年間さびしい思いをしたと思いますが、残された遺児たちは元気にしているだろうか。
「友だち」 マルチド・ロワ(フランス) 遠藤周作訳
わたしの喉が痛いとき
あの子の喉も痛み
わたしが夜 咳をする時
あの子も目をさまして咳をする
わたしがママから叱られて泣く時
あの子もわたしと一緒に泣いている
夕陽にうつる影法師のように
あの子はいつもわたしと一緒だ
震災で両親や肉親を亡くした子どもにとっては、優しかった母や父が、あなたと一緒に喉が痛み、咳をして、泣いているだろう。
あなたひとりを残していったのだから。そしていつもあなたと一緒で、あなたを見守っているよ。
出典)「聖書のなかの女性たち」 遠藤周作 1989/10刊 社会福祉法人 埼玉福祉会発行 大活字本シリーズから 「原本講談社文庫」
(解説)矢代静一
・この詩のマルチド・ロワは11歳で天国へ行き、遠藤周作は12歳で洗礼を受けた。
・この本は16章からなるエッセイ集で婦人雑誌に連載された。
・この詩を紹介した最終章は、作者が肺の手術を受ける前の日記で、いやでも死と向き合わざるを得なかったときの、不安な状態の中で書き進められたものである。
・遠藤文学の初期作品で、代表作「沈黙」や「哀歌」の母胎になっていると「あとがき」に書いている。優しさにあふれた本で再々読しました。