スペインでは、1月6日は「レイジェス・マゴス(魔法使いの王様たち)」の日だ。聖書には、で誕生したイエスを拝むため、東方から三人の占星術の学者たちが星に導かれてやって来て、飼葉桶の中に寝かされている赤ん坊のイエスに宝物を捧げたという物語がある。その物語の占星術の学者たちが、民間の伝承では魔法使いの王様たちということになっている。彼らを記念する日が、レイジェス・マゴスの日だ。
スペインの影響で、メキシコでもやはり1月6日はレイジェス・マゴスの日だ。そしてスペインと同様に、前日の5日の夜には、魔法使いの王様たちが子供たちにプレゼントを配ってまわるとされている。スペインやメキシコなどのラテンアメリカでは、伝統的には、クリスマスの季節に子供にプレゼントを贈るのはサンタクロースではなく、魔法使いの王様たちだ。
そしてレイジェス・マゴスの日の夜には、「ロスカ・デ・レイジェス(王様たちの輪)」と呼ばれる輪の形の菓子パンを食べる習慣がある。上の写真のような大きな輪状の菓子パンで、上に細く切られたフルーツ羊羹などか乗っている。このパンを、家族で切り分けて食べる。
上の写真が、切り分けられ、皿の上に乗せられたロスカ・デ・レイジェス。この菓子パンは、ちょっと気をつけながら食べる必要がある。というのも、ひとつのロスカ・デ・レイジェスの中には、小さな人形が2、3個、埋め込まれているからだ。その人形はニーニョ・へスース(子供のイエス)と呼ばれる。写真の、皿の中のプラスチックの白い人形が、そのニーニョ・へスース。
これがニーニョ・へスースの拡大写真。この人形が当った者は運が良いとされている。ただし、この人形が当った者は、ほかの家族の全員に、来月、タマレスという軽食を奢らなければならないということになっている。タマレスは、トウモロコシの粉を練ったものをトウモロコシの葉に包んで蒸した、蒸しパンの一種。メキシコには、いろいろと変わった習慣がある。
我が家の場合、今年は息子と私にニーニョ・へスースが当った。息子はお金を持っていないので、私が皆にタマレスを奢ることになりそうだ。