巨樹に魅せられて

巨樹巡りを趣味としていますが、気がつくと神社巡り。その周辺の話題もココに書き留めています。

樹木医、塚本こなみ

2010-07-12 06:51:33 | 巨樹・巨木
「プロフェッショナル・仕事の流儀」(茂木健一郎&NHK)第6巻より。

ご存じ、新進気鋭の脳科学者である茂木さんが各界の有名人(というより職人)をゲストに迎えて、その本質を追究する番組です。それが本になって出版されているものを読みました。

塚本さんは、日本で初の女性樹木医として有名だそうです。
私にとっては、地元の「足利フラワーパーク」に大藤を移植したヒトとして記憶に残る方。

「足利フラワーパーク」(http://www.ashikaga.co.jp/index2.html)ができたのが1990年。

それまで、そこは地元の私たちにとっては「迫間湿地帯」でした。
子供らの遊び場であり、池(今でも園内に残ってますね)で釣りをした記憶があります。
湿地帯なので珍しい植物・昆虫がいて、中学校の理科の先生と観察に出かけたりしました。
「このとんぼは尾瀬と迫間にしかいないんだ」との先生のセリフが懐かしい。

思い出話はこれくらいにして・・・塚本さんのインタビュー記事を読んで感じたこと。

■ 「樹木医」という資格
 1991年(平成3年)に林野庁により樹木医の試験制度ができました。試験を受けるには、それまでに樹木の診断治療・保全保護の経験が7年以上あることが条件、という資格です。試験の際は、受験生全員が14日間、会場に缶詰めになり、研修と試験が繰り返されるそうです(中国の科挙制度みたい)。

■ 樹木医の仕事って確立されたものではないんだ・・・。
 樹木の病気の診断・治療については、すでにノウハウが確立されていて、その実行者として「樹木医」がいる、と思い込んでいた私。でも、塚本さんの言葉はそうではなく、目の前の元気のない樹木と対話しながら原因を探っていき、突き止めて治療を考える過程が伺われて意外でした。

■ 「大藤」移動の常識破りの方法
 畳50畳分の大藤の移動・・・皆が「無理」と断った仕事を彼女は引き受けました。方法を模索し、試行錯誤の日々。期日が迫り焦る毎日・・・そんな中で、メンバーの「足を怪我してギブス固定をした」という言葉がヒントになって実現した「ギプス固定法」。まさに、コペルニクス的展開でした。

■ 塚本さんのお気に入りのスギの木
 某所にある樹齢1000年以上、幹周14mの古木。もし、その木が病気になったとき私に何ができるんだろうと想像します。すると、古木は「何もしなくていいよ」と答えてくれます。雷が落ちても、風で枝が落ちても、虫や病気にむしばまれても、大自然の一員として全てを受け入れているから「いいんだよ」と云ってくれているように思うんです。

・・・樹木医の仕事とは真逆・・・逆説的ですね。

■ では、なぜ木を治療し続けるのか?
 木が環境の悪化で枯れていくのを見ると、心が痛むのです。私がやってあげられることは、やってあげたい。


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。