お~カナダ! たてよこナナメ歩き

主にカナダ🇨🇦西海岸の生活話と少しアメリカ🇺🇸のことと音楽について

住んでいた家を訪ねた

2010-11-15 21:49:22 | 冬のものごと 2010
木曜日、11日は第一次世界大戦の停戦記念日だったから休み。
翌日、金曜日は娘達の高校は職員研修日で休み、息子の小学校は普通どおりの授業。
下の娘は小学校の図書室にボランティアで手伝いに行くと言って出かけた。
上の娘は大学の図書館に調べ物に行くと言うので、最寄の駅まで送っていった。
私は元の家の人に渡す書類があって会いに行かねばならなかったのだが、忙しいのと、あの家が人手に渡ったと認めたくないのかなんだかよくわからないけど、なかなか行く気になれずにいた。
でも、やっと今日は意を決して行くことにした。娘を送っていった帰りに。
娘は「お母さん、大丈夫なの?」と聞いた。
家のことで私の気持ちが揺れ続けてきたのをそばで見てきたからだ。

訪ねるに当たってはもちろん1時間以上前に電話で予告した。
このご夫婦ともに穏やかな人たちなのだけど、奥さん(Rさん)がまた特別おっとりと優しい印象なのだ。
家の引渡し後、ご主人からもらったメールにも
「こんなに家を大切にきれいにケアしてくださってお礼を言います」と書いてあった。
前に会ったとき、娘さん(中二)も息子さん(四歳)もいつもニコニコしていた。
電話でも「お待ちしてますよ~」と温かく言ってもらった。

今住んでいる家から元の家まで車で2分とかからない。
ここから運転して大きな道に出ると、南の方へ行くとき元の家の近くの交差点を通る。
信号で引っかからずそのまま通り過ぎるときはまだましなのだけど、
もし赤信号で停まると、そこで右折して家の方に行かずにずっと停まっているのが変な感じでいじいじしてしまう。
間違ってそちらのほうに曲がって行ったことはないが、13年も続けた習慣動作というのはそう簡単に抜けるものではないのだろう。
その交差点をいよいよ右折して元の家に向かう。
ああ、この風景、見慣れた家々、胸がざわざわする。
引っ越して1か月ちょっと、一度も通らなかった道。目をつぶって運転していたって家に帰れると思ってたこの道。
心がふわふわと飛び出して、どこか自分と違うところを漂っているみたいだ。

元の家の前に車を停めて歩き出しても、ちゃんと足が地面に届いている感覚がない。
でもだんだん家が近づいてくる。
引っ越してからはもう庭仕事するシーズンではなかったからか、外回りはそのまま。
私達が置いていった鉢花やハンギングバスケット、玄関前の足拭きマット元の通りそこにあった。
ドアベルを押してしばらく待つ。息子さんの歓声が聞こえ、二度目のドアベル。

ドアを開けたRさん、Hi!と言ってからいきなりそーっとハグ。
「さあ、中にお入りください」とニコニコ。
え? ホントですか?
私は全くそれは予期していなかった。
渡すべき書類を渡したら帰るつもりだった。
それと、私が植えたアジサイの枝を、挿し木の時期になったら少しもらいにくるというお願いをしたら・・・。

上がったほうがいいのだろうか、よくわからなかったが、
Rさんがニコニコして私を促すので「では・・・」と入っていった。
玄関は壁の色がベージュに塗りかえられている程度で変化はそれほどなかったが、
部屋に入ってみると、もう、全く違っていた。
家具が違う、配置が違う、壁の色が違う。当たり前だけど、それはもう全く違う家なのだ。
噂好きの人が教えてくれたように、確かにキッチンの一部は赤いペンキで塗られていたけど、ベージュとよく合ってモダンなコントラストになっていた。
そして、同じくその人が教えてくれたように、冷蔵庫、オーブン+レンジ、電子レンジ、換気扇、皿洗い機、洗濯機、乾燥機すべて新しくなっていた。
確かに年数は経っていたが、すべて問題なく、出るときには新品同様に掃除したのだけど・・・それは口に出さず、ただ感嘆の言葉を並べた。
家具のセンスは現代的で、濃い目の壁の色と相まって、私達の家だったなんてもう思いもよらない完全に別の空間になっていた。

お風呂のことなどでいくつか質問を受けたので、一緒に上の階へも上がった。
家の検査のときの約束で、引渡し前の掃除の時に私が子ども部屋のペンキを塗ったのだけど、
それも跡形もなくほかの色に塗り替えられていた。
「せっかく塗ってくださったのに、ごめんなさいね。子ども達が自分の好きな色にしたいと言うもんですから塗り替えたんです」
もちろんバスルームの様子も一変していた。
質問には無事答えられたので問題解決、Rさんはとても喜んでいた。
ほかの市から引っ越してきたRさんは、いろいろわからないことがあるというので、少し話してそれから帰った。全部で20分くらいいたかな。
またいつでも来てくださいね、家族の方々も・・・と言ってくれた。
最後に玄関でまたハグとキス。(テレビでよく見るような、ハグしてほっぺたを寄せて軽くチュッという感じの)

そのままでは気持ちがふわふわして帰れそうになかったので、いつも仲良くしていた隣の老夫婦の家に行った。
引っ越し前に話したが、それからずっと会いに行っていないので。
そこで少し新しい家の話や子ども達の話などしてやっと現実に戻って落ち着いた感じがしてきたので家に帰れた。

今思うに、もっと早く行っていたらこの日ほどに変化を受け入れられなかったかも知れない。
用事を早く片付けたほうがいいと思う反面、ちっとも足が向わなかったのはこういうことだったのか。
この日はもう、あの家がRさん一家の家になったんだと、すっかり心に落ちた。
そして、あれ以来不思議に、これまで新しい家に積んだままで開けようとする気力もなかった引っ越しの荷物を、積極的に片付けている。
Rさんも「まだ開けてない箱がたくさん車庫に入ってるんですよ」と言っていた。
うちもまだまだ・・・整理できてないものがたくさんあるし、ソファーなどまだ買えていないけど、ここでまた自分達の家を作り上げていこうと思えるようになったみたい。

自分の心ながら、本当に予測もつかない動きをするものなんだなぁとあらためて思った。




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