ツール・ド・フランスの第11ステージの個人TTでクリス・フルームが異次元の強さをまざまざと見せ付けた。33kmの平均速度がなんと54km/h。コンタドールより平均時速が4kmも速かったのである。
山も登れてTTでのこの強さを見せ付けられては、他のライバル達には成す術がないのではなかろうか?総合2位のバルベルデでさえ既に3分25秒もの大差を付けられているのだ。コンタドールは無難に走りきり総合で4位まで順位を上げてはきたが、タイム差は3分54秒にまで広がってしまった。
この状況で一番怖いのが、ライバルたちが2位・3位を巡る表彰台争いに切り替えてしまうことだ。既にツール・ド・フランスの総合優勝を2度経験しているコンタドールは別としても、ここまでツール・ド・フランスでは活躍できていないバルベルデはどうしても表彰台は確実にしたいところだろう。
実際、第8ステージでフルームが丸裸になっているのに、総合2位だったリッチー・ポートの追い落としに賢明になり過ぎた結果、フルームを引き連れてのゴールとなってしまたのだから・・・本来であればコンタドールが仕掛けるところなのだが、生憎調子が上がっていないようなのだ。ツール・ド・フランスも折り返し地点を過ぎたというのに、ここまでコンタドールは全く動きを見せていないのが、かえって不気味な気がする。
いかにコンタドールといえども4分近いタイム差は、1つのステージではどうしようもないはずである。唯一、コンタドールにとって好材料といえるのが、スカイのチーム力が昨年とは比較にならないほど落ちていることなのだが、自らアタックできず他力本願でいる限りは1分たりとも詰められる可能性はないのである。今週末から始まるアルプスでは一か八かの勝負が必要である。
とはいえ、4分近いタイム差がある以上、フルームを慌てさせることができるかどうかは疑問ではある。ただ、フルームの性格から判断すると、挑発には乗ってくる可能性もゼロではない。
サクソ・ティンコフではクロイツィゲル、モビスターではクインターナとルイ・コスタが波状攻撃をかけてフルームを揺さぶる作戦が妥当だが、この2チームだけでフルームを攻撃するのではいささか心もとない。第8ステージではガーミンの積極的な攻めでスカイのチームが解体された。ホアキン・ロドリゲスを擁するカチューシャやエヴァンスのBMCなどにも積極的な攻撃を期待したいのだが、いかんせんエースが個人TTでは遅れてしまっているので、フルームを慌てさせるような攻撃にはならない可能性もある。
このままフルームに何もなければ、フルームのパリのポデュウムの頂上はほぼ確定だ。唯一、他チームの選手に可能性があるとすればフルームのオーバーペースかもしれない。昨年は3週間走りきり2位になっているが、昨年とはチームの安定感とペースがまるで違っているので、フルーム対他チームという展開が今後も続くようなら、後半でバッドデイがないとは断言できない。
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