ただ、残念だったことも少なくありません。その第一はセーヌ川の水質問題でした。多額の費用を投じての大計画でしたが、結局、トライアスリートに被害が出てしまいました。主催者の都合で選手に健康被害が出るのは最悪の事態です。東京オリンピックでもマラソンと競歩の開催地を急遽札幌に移すことで事なきを得ましたが、札幌の夏も決して涼しくはないのです。
その二は審判の判定に関してです。VARの問題には触れませんが、とにかく開催国に有利な判定が多かったように思います。同調圧力のようなものかもしれませんが、審判は中立であって欲しいものです。ケイリンでも不可解な判定があり、日本はメダルを逃してしまいました。スプリントでも不可解判定の末、イエローカードをもらっていた太田海也選手がこの日のケイリンの準決勝でも4位に入りながら、マレーシアの選手のアピールで降格、決勝に進んだ中野真嗣選手の落車の原因を作ったのもこの選手でした。
スプリントでも先に肘を出していたのはイギリスのカーリン選手で、太田選手はその肘を払いにいっただけなのです。これはビデオでも流れていて、先に肘を出し太田選手を妨害(これを妨害と見るかも疑問ですが)していたのは明らかにカーリン選手でした。
ツール・ド・フランスでもゴール前のスプリントに関して降格になった選手もいますが、これは明らかに斜行し進路を塞いだと判定されてのことです。ロードレースではプロトン内での身体の接触や押し合いなどは日常茶飯事のことなのです。今回のトラック競技の審判は総じてレベルが低かったように思います。これは東京大会から日本を指導してきたフランス人ブノワTD(テクニカルダイレクター)も同じ指摘をしています。その上で、他国のコーチ陣とともに、国際自転車連合(UCI)に報告書を出すとまで言っているようです。
少なくとも世界レベルの自転車競技においてレベルの低い選手は出るべきではないし、出すべきではないのです。IOCの理念に反するかもしれませんが、高速域での落車は選手の命に係わる問題なのですから。UCIはワールドツアーに参加するチームには厳しい基準を設けています。これは選手の安全面を考慮してのことなのです。それはトラックレースでも同じはずです。ただ、トラックは路面が反発力のある板なので、ロードレース程の大怪我にはならないのかもしれませんが、実際に落車で骨折する選手はいるのです。
ただ、自転車競技はトラックでも世界の速さの前に歯が立ちませんでした。日本記録を出しても、あっさりと世界新記録で上書きされてしまう。ロードレースもそうですが、機材の進化で速度がどんどん速くなっています。お家芸のケイリンでも駆け引きはともかく、単純なスピード比べではなかなか勝てなくなってしまっているのです。
今回の日本選手にはV-IZU TCMという2千万円近い価格のバイクが提供されていたのですが、歯が立ちませんでした。このトラック専用バイクについては改めて書くつもりですが、中野選手や太田選手は元々競輪のトップ選手ですが、普段レースで使用しているのはクロモリの競輪専用バイクなので、トラック競技とはトップスピードが違い過ぎるのです。今後はプロの競輪選手にもトラック専用のトレーニングを強化して行く必要があるのですが、彼らはプロ選手なので、おそらくそのあたりの調整が難しいのかもしれません。
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