29erという言葉が何かとても真新しいもののように流布しているようですが、要するに29インチのタイヤを装着したMTBのことのようです。シクロクロス用の700C×34というタイヤはめずらしくはありませんがこれは29erとは呼ばれないようです。勿論、29erは単に径が29インチのタイヤを意味する訳ではありません。タイヤの径が29インチということはホイール径は700C(リム径:622mm)ということになるのですから・・・
従って29erの定義はあくまでも29インチタイヤを装着したMTBということになると思います。29erはMTBの生みの親の一人であるゲーリー・フィッシャー(Gary Christopher Fisher)が2002年に考案提唱したといわれていますが、そもそもMTBのタイヤサイズはなぜ26インチでなければならないのでしょう?この解答はどうやらMTBが世に出始めた70年代当時最も普及していたのが、 26インチのビーチクルーザータイヤやリムであったということであるようです。
山道などのオフロードを走ることを考えれば一見径の小さいタイヤの方が小回りが効いて良さそうに思いますが、実際は「タイヤの大径化により路面の凹凸の影響を受けにくく、26インチに比べて 6%も減速しにくい」とか「縦方向のタイヤ接地面積が26インチと比較すると圧倒的に広くなり、泥や砂地でタイヤが沈みにくくなる」といった29erならではのメリットも少なくないというのが実情です。
タイヤ径が大きく幅広になるので加速に難はあるようですが、29インチの減速しにくい特性の方が影響が大きく、結果として巡航スピードは26インチよりも速くなるはずです。にもかかわらず30年以上もの間、MTBのタイヤ径を大きくするという考えを抱かなかったことが不思議なくらいです。根強いMTBライダーの中には「フォークが長くなることでハンドルが高くなる」「日本人の体型には合わない」といった29erに対する否定的な意見を持つ方もいるようです。確かにサイズの問題は深刻かもしれませんが、CANNONDALEも2012年モデルからTRAIL SL 29erにSサイズを発売するといった市場の変化があることも確かです。バイクショップでTRAIL SL 29erのMサイズに跨らせてもらいましたが身長が170cmに満たない私にはかなり大きく感じました。他のCANNONDALEの製品ではMサイズで何の違和感もないので、29erのフレームはかなり大きい造りになってしまうことは確かです。欧米人と比べて手足の短い私たち日本人の場合はサイズ選びは慎重にする必要があると思います。ロードバイクやクロスバイクのサイズより一サイズ小さ目の選択が必要かもしれません。
私の場合、29erはあくまでも冬用として考えていますので、タイヤ径の大きさと幅の広さは雪の中を走る上では欠かせない要素だと思っています。29インチのスパイクタイヤがまだまだ高いのが難点ですが、雪国に暮らす者にとっては天の恵みとさえ思えてしまうほどです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます