オリンピックが始まるとメダルメダルとメダルにばかり注目が集まり、これを批判的に見る向きもあります。ただ、競技者にとっては勝利することメダルを取ることを目的にするのは当然のことでしょう。しかも、メダルを取ることで自分たちの競技環境を整えることに繋がると考えれば、選手側からしてもプレッシャーにはなることが分かっていてもメダルを取ることを一番の目的にせざるを得ないという現実もあるようです。
2014年まで選手強化費は日本オリンピック委員会(JOC)が担っていました。しかし2015年10月1日に文部科学省の外局としてスポーツ庁が設置され、スポーツ庁から費用が交付されることになりました。スポーツ庁は文部科学省、JOC、JSC、日本パラリンピック委員会、日本体育協会などが一つにまとまり、選手強化や施設整備をするのが狙いです。2020年の東京五輪・パラ五輪でのメダル獲得も目的の一つでした。
スポーツ庁の予算額は年々増資され、2015年度の予算額は約290億円でしたが、2016年度の概算要求額は約367億円となっています。中でも選手強化活動支援、若手選手の発掘・育成を行う「競技力向上事業」については、前年度の予算額は74億円でしたが、2016年度は103億円を割り当てています。その後も同等の予算が割り当てられ続けているのです。この国のオリンピックでのメダル獲得数増加の背景にはこの予算があるのです。
その典型的な例がフェンシングでしょう。国内の競技人口は2000人程度とされる競技で、北京オリンピックで太田選手がメダルを取る迄注目すらされてこなかったのですが、このたったひとつのメダルから始まった改革はパリで5つのメダルという成果に繋がったのです。フェンシング発祥の地フランスでこの活躍で、競技に対する認知度は勿論、競技人口の増加に繋がって行くことは間違いないでしょう。ここ数年間のフェンシングに投じられた強化費は3億円を超えていて、且つては僅か4面しか無かったステージが、今は国立トレーニングセンター内に40面もあるそうです。
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