
ミトコンドリアは、絶えず融合と分裂を繰り返し、独自のDNAを持ち、細胞内で別の生物のように振舞っています。ミトコンドリア独自のDNAはミトコンドリアDNAと呼ばれています。太古の地球で生息していたミトコンドリアが生物の体内に取り込まれて共生し、現在の形になっているという「細胞内共生説」もあるほどなのです。

ミトコンドリアは必要があれば分裂し増殖します。ミトコンドリアには細胞内でエネルギーを作る発電所の役割があります。ミトコンドリアは体内に取り込まれた酸素の最終到達地点なのです。ミトコンドリアの密度が高いほど効率よくエネルギーを作る事ができることになります。ミトコンドリアは刺激を受けて増殖しますが、ミトコンドリアを刺激するのは運動によるシグナル分子の活性化です。シグナル分子には以下の3種類があります。
1)エネルギーを燃やすこと(運動)によるATP/AMP比の変化
2)カルシウムのイオン濃度の変化
3)活性酸素、メカノストレスの増加
※メカノストレスとは細胞が物理的な力や変形に対して感じるストレスのこと

ミトコンドリアを増殖させるためには、シグナル分子を活性化させる必要があります。短く、きつい運動がシグナル分子を最も活性化させます。血中乳酸濃度も、ミトコンドリアの増殖に影響を与えます。他の要因を同じにして血中乳酸濃度のみを変化させたマウスを使った実験もあります。この実験では、血中乳酸濃度が高い方がミトコンドリアが増殖しました。

ただ、短時間・高強度の運動のみがミトコンドリアを増殖させるわけではありません。ジョギングやウォーキングなど低強度・長時間の運動でも、シグナル分子が活性化されミトコンドリアは増殖することが分かっています。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます