コンポーネントの11速化に伴い、ロードバイクの完成車にアセンブルされるクランクセットが一時50/34のコンパクトから52/36のミッドコンパクトへシフトされた時期がありました。CAADで知られるcannondaleもその例外ではなく、2014年モデルからは11速ロードは52/36のミッドコンパクトクランクが採用されていたので、CAAD12に買い替えを考える時にまず頭に浮かんだのが、このクランクのチェーンリング問題でした。
個人的に坂が苦手で、年々リアスプロケットが大きくなっている中で、アウターの52はともかく、インナーの36は悩みの種だったからです。私のCAAD10はULTEGRAの10速(R6700)のコンパクトクランクセットで組んでいますので、リアスプロッケトは32Tまで利用できました。近年は12-28Tではなく11-32T(CS-6700)スプロケットを使用する機会が増えていたのですが、完成車にアセンブルされている新型ULTEGRAのR8000(11速)のリアディレイラーはキャパが30TまでのSS(ショートゲージ)になってしまっていたのです。つまり、完成車の新型ULTEGRAでリア32Tのスプロケットを使うためにはリアディレイラーをGS(ロングゲージ)に交換しなければならないという新たな問題も発生してしまったのです。
イメージとしてあれこれ悩むより、実際にコンパクトとミッドコンパクトでどれ程の違いがあるのかを考えるために、ギア比をコンパクトクランク(50/34T)とミッドコンパクト(52/36T)で詳細に比較してみました。リアのギアは実際にSHIMANOで販売されているロード用スプロケットの数値です。
cannondaleはSupersix EVOでもCAAD12でも11速モデルの完成車リアスプロケットは11-28が標準なので、インナー36-リア28のギア比は「1.29」になります。一方、現在の私の状況はインナーローは34-32で「1.06」ですから、激坂や長い登りではかなり厳しいと言わざるをえません。ちなみに、図で見るとコンパクトギアだと「1.29」というギア比はリア27(1.26)と25(1.36)の間ということになります。
この「1.06」というギア比を考えるなら52/36Tではどうしても34Tというリアギアが必要になります。幸い、新型ULTEGRAにはCS-HG800(11-34)というワイドレシオギアが用意されていたのです。このスプロケットなら36-34の組み合わせでギア比は「1.06」になります(図の黄色の部分参照)。
ちなみに「ギア比」とは「足を一回転させた時に、ホイールが何回転するのかを表すもので『前ギアの歯数÷後ギアの歯数』で計算し、数字が大きい方が重いギア、少ない方は軽いギアということになります。
このスプロケットCS-HG800-11Sは他のULTEGRAのカセットスプロケットと型番が違っています。他のULTEGRAのカセットスプロケットはCS-R8000なのです。SHIMANOのカタログにはCS-HG800-11Sを「11S対応のロード用フリーボディに取り付けの際には、1.85mmのスペーサーが必要です。」という注意書きがあります。つまり、このスプロケットは唯一SHIMANOの10速用ホイールでも使える11速カセットということになるのです。但し、完成車の場合はリアディレイラーはGS(ロングゲージ)に交換しなければ使えません。
このスプロケットの歯数構成は11-13-15-17-19-21-23-25-27-30-34(図緑色下段)となっていて、フロントインナーギアが36の場合でもギア比は34で「1.06」、30で「1.2」、27で「1.33」ですから、CS-6800(11-32)でフロント34の場合に比べギア比はインナーローでは32と同じ、30「1.2」と27「1.33」ではCS-6800(11-32)の28や25よりやや軽くなるのです(図参照)。これまでのイメージではフロントインナー36はキツイという印象が強かったのですが、このように数値を細かく見て行くと、CS-HG800のおかげで、52/36というクランクもなんとか使いこなせそうだという判断からCAAD12のULTEGRAモデルを購入したのです。
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