大同マルタ会

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アフリカンプリント生産の仲介者たち

2016年06月08日 | 文化

 

  アフリカンプリント生産の仲介者たち

 先週末、オランダで見つかった 大同プリントの話が詳しく聞けるというので、立命館大学アートリサーチセンターの「糸・布・衣 循環史研究会」に参加しました。法政大杉浦未樹教授、立命館大鈴木桂子教授、京工繊大青木美保子、上田文両先生、正路佐知子福岡市立美術館学芸員他、各地の大学教授・研究員20数名(男性は講師を入れて5名)が出席し、研究発表を聴いた。

 最初に、国士館大阿部武司教授の基調講演「日本繊維産業の構造変化」があり、その後、本題の「アフリカンプリント生産の仲介者をめぐって」4っの講演はいずれも『大同』の名前が出てきて、興味深く、嬉しかった。

 上田先生は「京都のアフリカンプリント生産と西澤(株)」のテーマで、大同マルタ染工とアフリカ輸出の時代背景、大同コレクションを紹介、西沢のアフリカ貿易の実際・デザイン創出の工夫など良いお話しだった。質疑応答はグリーンワックスに集中、「色はどうして出すのか」「なぜ捺染が難しいのか」「この色はなぜ他の染料で出ないのか」「なぜアフリカでグリーンが好まれるのか」など、皆さん興味深々で、質問がこちらにフラれるたびに補足説明した。

 大阪芸術大学上岡学正先生は「オランダから京都へ : アフリカンプリントの生産流通比較」というテーマだった。持参されたオランダの見本資料は大同コレクションの中に入れて下さいと工繊大に寄付された。

 杉浦先生は「オランダは日本のアフリカンプリント産業をどう見たか」のテーマでフリスコ(旧ブリシンゲン)社で見つけられた1960年の極秘日本調査報告書から、ライバル会社の視点で日本のアフリカンプリント生産・流通組織を解説。当時の日本とオランダの立つ位置、関連性と、日本の力量を注目していたと話された。(大同訪問の記録の部分を、翻訳して送ってくださるようお願いした)

 正路佐知子福岡市立美術館学芸員は、フリスコ社アーカイブ調査から「日本製アフリカンプリント及びカンガのデザインと流通」というテーマで、オランダと日本の関係を、集められた見本資料を例に紹介された。

 学界の研究発表会の形式で、講演と質疑応答が半々、皆さん熱心で、ここでも、女性のすごいパワーを感じた。

 上田先生は、この研究会で、7月 カナダのアルバータ大学に行かれ、京都のアフリカンプリントについて英語で講演されます。『大同コレクション』もいよいよインターナショナルになってきました。

   東山十条86