「大同コレクション」のその後の続き(Ⅴ)
―「大同コレクション」が遂に学会誌に掲載されるー
「大同コレクション」は現在、京都工芸繊維大学美術工芸資料館に保管されています。(整理番号AN-5680) 2年程前から、資料館染織関連資料調査会が「大同コレクション」の再調査をするこしになり、佐藤忠孝、萩原理一、吉岡 悠、等が毎週1回これに当たって、今年に入りほぼ終わりました。資料は展示会当時 《341点》だったものが、 その後、あちこちから寄付があり 《456点》に増えています。
ボランティァ活動のつもりで、のんびり楽しんで大学に通っていましたが、調査会担当先生から、レポート提出を求められた。あわてて3人で試行錯誤しながら手分けして、メインの『アフリカンプリントと大同コレクション』についてなんとかまとめました。
京都工芸繊維大学美術工芸資料館蔵・大同マルタ染織資料コレクション(AN.5680)から見たアフリカン・プリント 佐藤忠孝、吉岡 悠、萩原理一、佐々木良子 京都工芸繊維大学美術工芸資料館染織関連資料調査会
これが、今月(7月)発行された「繊維機械学会誌『せんい』July,2019 Vol.72,No.7」 に私たちの論文が掲載されました。
「大同コレクション」の本が青幻舎から発行されたのも驚きましたが、権威ある繊維業界の学会『繊維機械学会誌』に掲載された方がもっと驚きました。内容はいままでのものと変わりありませんが、体裁は整えてあります。
1. はじめに .
2. アフリカン・プリント各論.
2.1 リアル・ワックス・プリント
2.2 ジャワ・プリント
2.3 ファンシィ・プリント
2.4 イミテーション・ワックス・プリント
2.5 グリーン地プリント
2.6 カンガ
3. 大同マルタコレクションについて
3.1 大同染工のアフリカ向け輸出状況
3.2 大同コレクションの来歴
東山十条89
「大同コレクション」のその後の続き(Ⅳ)
先にお知らせした「大同コレクション」の本が、本屋の店頭に並べられています。表題は『アフリカンプリント』となっていますが、お客が手にとってパラパラ見ていると嬉しくなります。一般の人が、2.500円もだして読んでくれるのかと思いましたが、結構興味をもっている人がいるみたいです。
以下、7月28日(日)付き 読売新聞の朝刊 文化欄に書評が載っていましたので、紹介します。 東山十条89
7月28日 (日)付け 読売新聞の朝刊 文化欄 の書評
並木誠士、上田文、青木美保子著
「アフリカンプリント」
アフリカンプリントとは、もともとヨーロッパ各国がアフリカ市場を意識して制作した綿布を指す。
風呂敷縫製を生業とする京都の家に育った私は、布に対して少なからず関心をもっているが、1950~60年代の京都でアフリカ輸出用生地が作られていたとは、初耳だった。
2008年、京都の大同マルタ染工株式会社が閉鎖された際、多くの資料が廃棄されたが、ある一群の段ボールが助け出された。本書では、そこに見つかった同社製作アフリカンプリントの断片、資料としての現地収集品、1957~73年の「生産技術部研究ノート」などが紹介される=写真=。 図版はもとより、プリント技法の解説、植民地支配と布の関係、第2次世界大戦後、GHQ復興推進策により輸出を伸ばした話など、歴史背景も興味深い。
今人気のアフリカンプリントを扱うショップ案内も嬉しい限り。
(青幻舎、2500円) 評・通崎睦美