大同マルタ会

大同マルタ会の方々が自由にこのブログに集い、会員の思いや写真などを思い存分に披露できる開かれた広場にしたい。

オランダで見つかった大同プリント

2016年02月21日 | 文化
一昨年、福岡市美術館で「更紗の時代」の展覧会に『大同コレクション』が展示された。その縁で正路佐知子学芸員から、先日突然、お会いしたいと連絡があった。これがまた、嬉しいビッグニュースで、久しぶりに驚きしびれました。 
彼女は「更紗の時代」の展示会以降、担当した「日本が生んだアフリカの更紗」に興味をもった。 そして、世界の輸出捺染の研究・調査のため、オランダの『フリスコ社』まで出かけた。そこでの収穫の報告を兼ね、聞きたいことがあるというのが用件だった。
『フリスコ社』は100年以上の歴史を持ち、現在もアフリカンプリントの世界一のブランドである。前身は大同のアフリカ輸出最盛期の頃、よく耳にした『ブリシンゲン社』である。 リアルワックス、ジャバプリントなどを最初にアフリカへもっていき、確固たる地位を築いていた。
(1960年代前半、大同は主力の「イミテーションワックス」が東南アジア各国や現地工場の安値競争で苦戦をしいられた。そこで高級品の開発をめざし目標にしたのが、ブリシンゲン社の『グリーン地ジャバ』である。その時開発したのが、起死回生の新製品『グリーンワックス』である)。

『フリスコ社』の膨大な見本は年代ごとに整理されていて、そのデザイン管理もすばらしいそうだ。 彼女は日本のアフリカ輸出を調査する目的で1960年代~1970年代の見本を丹念に見ていた。そこに他社製品という一括りの山を見つけた。誰も見る者もなく、フリスコの担当者も忘れていたそうだ。それを片っ端から写真に撮った中に、面白いものを見つけた。大同の「グリーンワックス」によく似た色・柄の見本があったので、それらを確認して欲しいというのである。
出てきた沢山の写真を見て驚いた。「/なんだこれは/どれもこれもみんな/『グリーンワックス』ではないか !!・・・」。グリーンの色彩、特徴あるボーダー、見覚えのある柄域、まず、間違いはない。耳ネームに『 Daido 』の名前はなかったが『 Real Java 』、『 Grand Java 』と入ったものがあった。その他、大同捺染らしい『ブリード捺染』、ロータリーの『ファンシィプリント』もあったが、50年前のあやふやな記憶では役にたたなかった。
どちらにしても当時、天下の「ブリシンゲン」が『グリーンワックス』を強力なライバル視し、こんなに大同見本を集めていたとは !! 。彼らも大同に、注目・研究していたと思うと愉快だった。 当時の大同の営業報告によれば、開発してから数年間、大同のジャバプリントはアフリカ市場の人気を独占した、と。 それに嬉しいことに大同製品は『リアルジャバ』と呼ばれ、短期間ではあったが、アフリカ中を席捲したと記録されている。 それを裏付けるような、なつかしい、嬉しい、みやげ話でした。
 東山十条85

     寫眞提供 正路佐知子







マリンバの演奏会

2016年02月12日 | 文化
昨日東日本震災から4年11ケ月のメモリアルコンサートがありました。
珍しく3人の美女によるマリンバ演奏です。
石川さん夫妻も見えて一緒に演奏を楽しみました。
マリンバは思っていたより迫力のある演奏で、流れるような響きにもうっとりさせられる響きでマリンバを再認識しました。
小一時間の演奏会でしたが心が洗われるようでした。
また来月の演奏会での再会を約束して別れました。演奏会は今回で52回でした。震災から5年よく続きました。

ポリネシアの民族衣装

2016年02月07日 | 文化
大学美術工芸資料館蔵

ポリネシアの民族衣装「タパ」

2013年の大同コレクション「京都からアフリカへ」展で、会場の京工繊大 美術工芸資料館 第四室の入り口附近に、人の背丈を超す大きなボーダー柄のユニークな民族衣装『タパ』があったのを、覚えておられる人は多いでしょう。
大同コレクションの中には、もう二度とつくれない貴重なプリントが沢山ありますが、こんな大きな見事な「タパ」も、今では現地でももう見られない。

地球は約13.000年前最後の氷河期が終わり、石器時代に入った。狩猟・採取の時代から農耕・牧畜の時代に移行し、人類は肥沃な土地に定住し始めた。最初、動物の毛皮を纏っていた「衣服」も、小枝や蔦から籠や網を作った技術で、植物や動物の繊維から「糸」をつむぎ、それを織ったり編んだりして「布」をつくり、着るようになった。
世界の国々に古来から伝わる民族衣装は、それぞれ独自の形・デザイン・文様・色彩を持ち、それを表現するためにその染織技術を発達させた。9,000年前、麻の手細工の小片がトルコの遺跡から、またエジプトの遺跡から6,500年前の織機で織った麻の織物が発見されている。棉を紡いで織った物は5,500年前のものがパキスタンの遺跡から発掘されている。

布の歴史はこんなに長いのに、ポリネシアの人達は近代まで、「タパ」という樹皮布を纏っていた。南の島で、年中裸で暮らす人々には織物の文化がなかった。「タパ」は和紙のような不織布に独特のプリントをした儀式や踊りの衣装である。
原料は桑科の梶の木、内側の樹皮を剥いで水に浸し、柔らかくしたものを木の槌で叩き伸ばす。折り畳みまた、叩き伸ばすことを繰り返し、2~3日かけて、薄く平らにする。大木を横にした台の前に並んで、「タパ」をつくる女性達の歌に合わせて、リズミカルに叩く音が島々の村でよく聞かれたという。6~7倍くらいに伸ばし薄くなったものを複数枚、叩いてつないで大きな1枚にする。
模様を附けるには、手描きと型を用いる方法があり、広い地域に散らばった島々によって夫々模様は違う。特に、大同コレクションの「タパ」は、最も技術の高いものと言われるトンガ、フィジー諸島のものが集められている。型染めには広い葉を持つバナナやパンダヌスの葉に文様を切り抜き、我が国の型友禅と同じ孔版捺染技法である。彩色は自然の顔料を使ったアースカラーが独特である。
また、面白いのは左右上下長さが不揃いなのに、数を変えて幾何学模様を繋ぎ、少しぐらい形が斜めになっても気にしない。花や幾何学模様で中心を埋め尽くした明快な文様である。大同はアフリカの輸出柄に、こんなデザインも参考にしたのでしう。

先月末の同染会に大同OB 61名が集まり、捺染の話に花が咲きました。ワックス・カンガのボーダー柄を懐かしく思いだしました。        
 東山十条85