2019年の記録
青空に映える大聖堂、上海の空も驚くほど綺麗になった。現政権の唯一の成果か?
上海の常宿も変遷があるが、今は、徐家匯の大聖堂のホテルを常宿にしている。僕にとって、とても便が良い。その気になれば、出勤前に大聖堂へ寄ることもできるし、部屋から大聖堂を見下ろすこともできる。(ただし視界を遮るビル建設中)
東トルキスタンでは、イスラム教施設はもちろん、キリスト教施設までもが閉鎖されていたことを見てきたが、上海では、ミサもあり、自由に参列することもできる。「上海で許される信仰の自由が、東トルキスタンでは、なぜ許されないのか?」 簡単に答えれば、「上海には多くの外国人が住み、海外の目があるから」ということである。意外に思うかもしれないが、中国政府は、海外の目を気にしている。
ちょっと脱線するが、外国人が来る国際空港は、驚くほど綺麗にしている。(2000年頃まで中国で最も綺麗な公衆トイレは、上海浦東国際空港の国際線のトイレだったと思う) インターネットも同じで、上海ならばアクセスできる海外のサイトが、地方に行くとアクセスできないとか、アクセスできてもコメントが送信できないとか、なんてことは、よくある。海外から「中国政府は、情報統制している」と批判されたくないのだ。と、書くと、「嘘だろ!」の声が聞こえる。確かに今の国際社会での中国の“やりたい放題”の振る舞いは、海外の目を気にしているとは思えない。きっとGDP2位の経済大国に成長した過信と、元来の周囲に無頓着な国民性の悪しき結実なのかもしれない。
中国政府の肩を持つ訳ではないが、地方では情報を統制しなくてはならない真っ当な理由もある。地方には、ネットに氾濫するフェイクニュースをフェイクと判別できない人も少なくない。海外の怪しいサイトを自動翻訳した奇怪な情報が流布されれば、大混乱になる。ちょっと昔の話だが、遥か彼方の福島原発事故の時、「食塩に含まれるヨウ素が放射能汚染を防ぐ」といった情報が中国で拡大し、食塩の高騰と買いだめの大パニックになった。確かにヨウ素には、放射能汚染を防ぐ効能があるものの、食塩に含まれるヨウ素は微量で、効能が得られるほどのヨウ素を摂取するには、気が遠くなる量の食塩を摂取しなくてはならない。ヨウ素の効能を得る以前に塩分の過剰摂取によって、健康を害し、ひとつ間違えれば死んでしまう。そんなこと、考えれば、わかるはずだが、考えないで行動する人が、地方にはゴマンといるのも現実なのである。
すっかり堅苦しい話になってしまった、次回は、もう少し柔らかい話にします。
旅は続く