昨今、直江兼嗣や伊達政宗をはじめ、戦国武将ばやりのようです。以前持っていたコミックに、「花の慶次」というのがありました。北斗の拳の作者が画を描き、戦国武将の生き様を描いたマンガです。その中に先述の武将たちなどもたくさん出てくるのですが、その中に以下のようなくだりがあります。
当世、名を馳せた武将たちが、「天下人」になった秀吉の招きで集います。行事がすみ、一杯やりながら露天風呂につかっていると、そこはそうそうたるメンバーの中から、誰からともなく「いっそ、俺たちで天下を取ってやるか!」と、酔いにまかせた冗談とも本気ともつかない話が出はじめます。盛り上がりかけたその時、湯気の向こうから初老の男性が声をかけます。「お主ら、天下を取るというならば、ワシがその方法を教えよう」
しわがれた声の主は誰あろう、時の天下人、秀吉公その人でありました。いくさ場では勇名で鳴らした猛者たちも、このときばかりはばつが悪い顔をして押し黙ります。秀吉が笑みを浮かべて睨みをきかせ、辺りを見まわしたその時、主人公である前田慶次が一人、面と向かって秀吉に語りかけます。「ほほう、では、天下のとり方とやらを、吾人にうかがおうか」
ぎょっとする一同を尻目に、秀吉は静かに語ります。もとより本気で怒ッていたわけではない秀吉は、かつての自身を、一同に重ねて見ていたのでしょう。
「俺は、何も最初から天下を狙っていたわけじゃない。信長公に報いるために、夢中になって働いただけなのさ。足軽の時には裸足で突進し、馬に乗るようになってからは夢中で戦場を駆け抜けた。信長公の背中だけを見て、ただ、夢中だった。それは偉くなってからも同じだった。いつも、夢中になって信長公を追いかけていただけなのさ。そして・・・」
ふっと息を吐くと、秀吉は続けて話します。
「信長公亡きあと、まわりを見渡したら・・・俺より力のある奴がいなかった。それだけのことだ」
・・・この秀吉、かっこいいと思いませんか!?
このシーンそのものは恐らく、作者の創作なんだろうと思います。でも、天下人になった秀吉の、本当の夢は、もしかしたら違うことだったのかも知れません。が、目の前のカベを一つ一つ乗り越えて、気づいたら頂上に立っていた・・・それが案外本当かも知れません。
夢は、叶えるものではあるけれど、叶う叶わないは別としても、眼前のカベから逃げずに努力する、その道程にこそ、意味があるのかも知れません。
天下統一のような野望とはいかないまでも、私も大きな夢や目標を、いくつになっても持ち続けていたいな~(^^)