海外協力隊への応援歌

青年海外協力隊はじめJICAボランティアを心から応援しています。
2010年1月帰国、イエメン、青少年活動隊員より

青年海外協力隊 派遣前訓練 (生活編)

2013-03-25 | Weblog
<修論番外編(草稿より)>
第2章 JICAの制度と体制
~ 企業は安心して社員を派遣できるか ~

2.1.2 訓練生活

 派遣前訓練は男女比がどの班も同じ程度になるよう苗字50音順で生活班10班にわけられた。
 班には指導員が主、副2名配置され、訓練所からの連絡事項は彼らを通して週に1度の班の連絡会で伝えられる。二本松訓練所の場合、居室は何棟かある訓練棟が男性棟、女性棟にわけられ、1つの階に1つの生活班が配されていた。居室は個室で、机、ベッド、棚と小さいクローゼットが備えられている。居室は各フロアL字型に配され、中央は畳敷きの共有スペースで、奥には小さな流しと冷蔵庫、ガスコンロ、電子レンジ等があった。毎日の点呼や毎週の連絡会等はここで行われた。手洗い所は各フロア居室スペースを出た廊下にある。浴室は大浴場が1ヶ所で、二本松訓練所の場合は数棟先まで行っていた。民間企業の入社時集合研修や、学生で言えば林間学校のような感じである。筆者の勤務先の入社時導入研修の期間は1ヶ月であった。65日間という長期にわたる集団生活は、学生時代に寄宿舎や寮にでも入っていない限り経験しないだろう。訓練所には体育館とグランド、テニスコートの設備があった。いずれも職種の実技練習等に使うものであるが、あいている時間には利用規程を守れば自由に利用できた。

 毎朝「朝の集い」という朝礼がある。以前はここでランニングなども行われていたとのことだが、現在はラジオ体操と国旗掲揚が行われている。国旗は、日本国国旗、JICA旗、JOCV旗は雨天を除き毎日掲揚され、平日はこれに加えて派遣国の国旗が日替わりで掲げられる。BGMは掲揚される国旗の国の国歌である。国旗を掲揚するのは当番の候補生のため、その国の国旗を知っているとは限らず、上下を間違えないような工夫もされていた。アフリカの国歌が非常に類似していることに気が付くのだが、これは、アフリカ各国は国歌の前半に独立を記念する同じ曲を使っているとのことであった。

 食事は毎日決められた時間に食堂でとる。片付けは生活班ごとに1週間交替の当番制だった。食事の片付けのほか、朝の国旗掲揚当番や図書委員、講座委員等の委員があり、語学クラス、任国にはそれぞれリーダーを決めて連絡係を務める。候補生全員がなにかひとつは役割分担があった。洗濯室は1箇所で、十分な数とは言えなかったが、訓練生130人あまりが時間や曜日をずらしたりして、1週間に1~2回洗濯をするぐらいの設備はあった。ベッドリネンは毎週1回、所定の位置へ出して新しいものを受け取った。自分で洗濯をする必要はなかった。

表 訓練運営上各生活班に置かれる9の係
① 班長   (生活班毎に1名)
② 副班長  ( 〃 1名)
③ 図書委員 ( 〃 2名)
④ 講座委員 ( 〃 1名)
⑤ 自衛消防隊( 〃 6名)
⑥ 全体日直 (生活班ごとに輪番制)
⑦ 食事当番 ( 〃 )
⑧ 語学クラスリーダー(クラス毎に1名)
⑨ 国別リーダー(派遣国毎に1名)
(平成19年度3次隊訓練資料より筆者抜粋)

 必要物資の補給については、二本松訓練所は山の中腹にあり、一番近い商店のある岳温泉(だけおんせん)まで山道を徒歩約30分かかる。文房具や教材等は週に1回、出張販売があり、そこで購入したり、次週までの注文をしたりした。平日の食事は3食出るが、土日の食糧や、メニューによって不足する栄養は自分で補給する必要がある。食堂メニューはご飯のおかわりもできるなど青年でも量的には十分満足する量が準備されているが、果物がほとんど提供されないなど、予算の限界が見えていた。また菓子等の嗜好食品は訓練所内では入手できない。週末は買出しに出るか、買出しに出るほかの候補生に依頼した。時折、面会にくる家族等からのさしいれのおすそわけに預かったり友人たちが救援物資を送ってくれたりした。手紙は班のポストに届けられて連絡係の候補生が毎日班員分をフロアの共有スペースまで届けてくれるが、小包などは掲示板に貼り出され、守衛室まで受け取りにいった。荷物が届いていることを他の候補生から教えられることもあった。

 3次隊の訓練機関は10月から12月にかけて行われ、季節は秋から冬へ向かう。防寒には十分な準備をしていったつもりの衣類だったが福島県の山の中腹の冷え込みは予想以上で、追加を送ってもらったり、バスで30分以上かかる二本松の市街まで買出しに出かけるなどした。訓練所内は、当時、外気温が14度以下にならないと暖房が入らないこととされていた。居室の暖房は切ることはできても入れることはできなかった。風邪などで体調を崩す候補生も出て、その基準は見直されたようだったが、体調を崩した候補生も医療隊員などがよく面倒を見ていた。もちろん訓練所内には保健室があり、予防接種等の手配もあるため保健師は日勤していた。

 訓練所内は禁酒で、飲酒が発見された場合、その候補生は即訓練打ち切り、隊員候補からはずれて退所となる。退所は遅くても決定の翌日で猶予はない。訓練期間中に健康状態が悪化したり、辞退などの理由で退所する候補生もいる。外出は、決められた時間内なら可能で、基本的に土曜の午後から日曜は休みであったため、隊員候補生たちは岳温泉へ繰り出しよく酒を飲んでいた。女性候補生は温泉めぐりをするなどしてストレスをコントロールしていた。

 訓練所がどれだけ厳しくても、任地はもっと厳しいはずだということ、65日間いっしょにすごす候補生たちが途上国でのボランティアという同じ志を持って集まっていること、訓練所を出たあと一同に会することはもうないのだということを、どこかで候補生たちは認識していた。

青年海外協力隊の人物像

2013-03-25 | Weblog
<修論番外編(草稿より)>
(◆~◇部分は引用)

第2章 JICAの制度と体制
~ 企業は安心して社員を派遣できるか ~

1.1. 協力隊員の人物像

 2011年(平成23年)1月末現在、8分野、世界5地域 、76カ国で活動している平均年齢約28歳、2725名の青年海外協力隊隊員たち は、どのような人材だろうか。
 協力隊員に求められている人物像を概観するために、募集要項に記載されている応募にあたっての心構え、隊員に配布されるガイドに記載されている隊員適性、そして、協力隊事業創設の際に提示された協力隊員の人物像という3つの資料を見ておく。

 まず、青年海外協力隊の募集要項の記載である。協力隊に参加するための心構えとして応募の前に考えるよう、次のように示されている。
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◆ 青年海外協力隊に参加した多くの方々が高い充実感を味わって帰国されます。しかしその充実感は現地で漫然と生活しているだけでは決して得ることはできません。次に掲げる2つの重要な心構えを自分自身の中で理解し、覚悟・納得し、青年海外協力隊員としての自覚と覚悟を持ち、自立的に行動できる方々に応募していただきたいと思います。
(青年海外協力隊、日系社会青年ボランティア 平成23年度秋募集 募集要項)◇
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 2つの重要な心構えとは、「現地の人々と共に」「チャレンジ精神」としている。日本の高い技術力に対し途上国からの協力隊員派遣の要請があるが、その技術を活かすには、開発途上国の現場で、現地の人々の生活や考え方、行動様式を学び、現地の人々と同じ目線に立って活動し、信頼関係を築くことが必要であり、その上で本当に価値ある活動を始めることができる。また、現地での活動は日本と全く条件が違い、予想できない問題が次々に現れ、日本の常識も一切通用しないと考えておいたほうがよいような環境の下で、自ら発想し、行動を起こし、困難に立ち向かう勇気と忍耐力、強いチャレンジ精神が求められている、とも記載されている。

 訓練所に入所してから配布される隊員ガイド(ハンドブック)の中で、隊員の適性は次のように示されている。
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◆ 現地で現地の人々の間に入っていき活動する「民衆指向」「草の根(グラス・ルーツ)指向」の隊員として、
●持続する情熱: 協力活動の途中で種々の困難に遭ったとしても、最後までやりぬく情熱を持続させること
●健康管理: 日本とは異なる自然・生活条件の下でも健康を維持する自己管理能力を持つこと
●文化的素養: 異民族社会における人間集団の中で行動様式を観察し、理解しようとする態度
●柔軟な思考力: その中にあって様々な手法を考えることのできる思考の柔軟性
●表現力・説得力: 事実を説明し自己の考え方を理解させうる表現力・説得力
(JICAボランティア・ハンドブック【長期派遣】2007年(平成19年)10月, p9, 「1-3-1 隊員とは?」)◇
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 そして、昭和40年、協力隊の創設時にさかのぼると、協力隊員の「あるべき人間像」は次のように示されている。
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①私利私欲を超越して日本青年海外協力隊計画を推進するに必要な、ときにはいやな仕事、愉快でない仕事にもすすんでたずさわる人。
②生活の不便は勿論、孤独感におそわれ、身近に危険を感じるような状況下でも、適切な判断のもとに終始仕事に従事する情熱を持っている人。
③自分とともに仕事をする相手国の人達を理解し、融和し、他の隊員とも仲よく働くことの出来る人
④肉体的に過重な労働を必要とする、またその活動分野を広く応用し、判断を誤らず積極的に関心を以て行動できる人。
⑤宗教、文化、民族的に異なった背景をもつ国の人たちの見解、偏見に対処する態度、また、それらの国々の直面する問題の理解につとめようとする、豊かな人であること。
⑥わが国をよく理解し、わが国の正しい理解を他の国の人々にすすめていける人。
(青年海外協力隊20世紀の軌跡, p7, 「協力隊の人間像」)◇
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 これらから浮かび上がってくる自発性、民衆志向、バイタリティーと謙虚さ、基礎知識と経験、心身の健康、周囲の理解等 といった人物像は、青年海外協力隊隊員にだけ特別に要求される適性だろうか。自ら考え創意工夫し、あるものを活用し、相手を理解しようと努め、時には困難な過程を乗り越えて信頼関係を築き、協働して事業目標、業務目標を達成していくことは、民間企業で日々行われている事業活動の中で求められている人物像も同じではないだろうか。協力隊の活動先が途上国であるという違いはあり、生活環境として途上国のほうが厳しいかもしれないが、企業での業務には生活環境とは違ったストレスもあるであろうし、昨今、企業もグローバル化の波の中で勤務地が日本とは限らない。BOPビジネス の積極的な展開を計画する企業等もあり、強く、たくましく、精神的にも肉体的にも知的にもタフで柔軟な人材であることを求められる協力隊の隊員像は、企業人のそれとかわらない。このように見てくると、人材について、隊員像と社員像に顕著な齟齬はなく、自社社内で鍛える2年と、協力隊活動の2年の間で期待できる、あるいは要求される隊員、社員の人間的な成長については、どちらで過ごしても遜色ないと考えられる。

 隊員が活動を実行するにあたって必要な能力として、堀江新子によれば(注:堀江新子, 平成20年9月, 『青年海外協力隊の国際協力活動に関する研究』p50)、「隊員自身の現場における洞察力、調整力、想像力」「周囲の人々を巻き込む熱意」「これらの能力を発揮するための、言語運用能力」「周囲の人を納得させる技術力、教養」が挙げられている 。

 それでは、隊員たちはすべてがこの隊員像を満たす人材なのだろうか。ここで、隊員の選考について把握しておきたい。

 青年海外協力隊の隊員は、原則公募制であり、一次試験、二次試験を受けて合格した志望者が隊員候補生となって訓練所への入所資格を得、派遣前訓練を修了して合意書を提出して協力隊員となる。一次試験、二次試験を通じて人物と技術レベルが測られる。

 青年海外協力隊の応募の要件は、応募期間の最終日の満年齢が20歳以上39歳の日本国籍を持つ青年である。募集は年2回で、4~5月に行われる春募集と10~11月に行われる秋募集で募集される。活動任期は2年、派遣は年4回あり、それぞれの派遣時期にあわせて派遣前訓練が実施される。派遣時期については要請ごとに記載されている。協力隊参加希望者は、この募集期間に応募書類を提出する。応募書類は全員が提出必要な書類として応募者調書、応募用紙、健康診断書があり 、該当者のみ提出する書類として職種別試験解答用紙、語学力申告台紙がある。応募者調書は履歴書に該当し、応募職種に加え、希望要請を記入する欄もある。応募用紙で応募の動機や応募職種の選択理由、どのような活動が可能か、などを記述する。

 直近の平成23年度秋募集の応募用紙の質問項目の内容は次の通りで、これらの質問がA4サイズの応募用紙表裏に印刷されており、応募者は記述式で記入する。
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・ ボランティア活動に参加する動機、抱負
・ 応募者の考えるボランティア活動の意義、目的
・ 応募する職種や要請の選択理由、経験や技術適合性、セールスポイント、弱点
・ 自己PR、応募する職種に関係する経験以外で特筆すべき経験
・ 実際に派遣された場合、活動内容、日常生活も含めどのようなボランティア活動を行うか
・ 帰国後、参加経験をどのように生かしたいか ◇
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 質問の内容と記入欄の量から、青年海外協力隊への参加を考え、質問に対する自分なりの思考をまとめて記述することができれば、一次試験は合格できるだろう。この一次試験の応募用紙で応募の動機や職種選択理由、経験等曖昧な点があれば、二次試験の面接で問われる。民間企業の社員は技術系といえども業務の中で社内文書や報告書等を書くことは必須であり、論理一貫性や説得性、簡潔にまとめて理解しやすく提示することなど日々協力隊試験の訓練をしているようなものであるから、応募書類の記入にはさほど困ることはないと考えられるが、それでも合格できるとは限らない。協力隊の試験は、落とすための試験ではないと言われているが、合格者は苛酷な途上国での活動に耐えうるであろう初志と動機と体力を持ち、それを論理的に説明できる志望者であり、国家事業として派遣されるに適格な人材であると言える。

青年海外協力隊 派遣前訓練

2013-03-25 | Weblog
【修士論文「民間企業の青年海外協力隊現職参加について-希望する社員への対応に関する一考察」(Copyright: 吉備国際大学大学院(通信制)連合国際協力研究科 国際協力専攻 学生番号:M931003 All rights reserved.)】

第2章 企業が支援する理由
- 企業の社会的責任からの考察 -

2. 企業の捉え方
(略)
◆ 訓練から派遣まで

青年海外協力隊の試験に合格した隊員は、派遣前に65日間の合宿訓練を受ける。この派遣前訓練は、隊員に提供される非常に貴重な経験のひとつである。この訓練は、独立行政法人国際協力機構法に基づいて実施される 。訓練も選考の一過程と位置付けられており、隊員になるためには訓練修了が要件となる。いっしょに訓練した隊員候補生は、いわば同期隊員で、訓練後約2週間後を目処に任国へ出発する。訓練は年に4回、主に長野県にある駒ヶ根訓練所と福島県にある二本松訓練所で行われている。4月に訓練が開始される隊次は1次隊、7月開始は2次隊、10月開始は3次隊、1月開始は4次隊と呼ばれる。この両訓練所でそれぞれ100名から250名程度の候補生が同時に訓練を受ける。訓練所は派遣国によって指定されるため、各々の訓練所には、隊員の職種8分野、さまざまな職種の隊員候補生がいる。平成19年度3次隊からはそれまで別々に実施されていた青年海外協力隊とシニア海外ボランティアの合同訓練が開始されたため、年齢的にも20歳から70歳前後までの隊員候補生がいっしょに訓練を受けている。

訓練所での隊員の構成は、平成19年度3次隊二本松訓練所の例では職種は7分野、58職種、男性62名、女性69名、計131名であった。内、青年海外協力隊隊員候補生は男性39名、女性62名、計101名、それ以外がシニア海外ボランティアである。候補生全員の平均年齢は男性40.6歳、女性30.4歳、総平均年齢35.2歳、このうち青年海外協力隊隊員候補生は男性28.3歳、女性27.7歳、総平均27.9歳であった。派遣予定国は3地域28ヵ国であった。

民間企業の実施する異業種交流会や各種セミナーでも、これほどバラエティに富んだ職種や年齢層が集まる交流会は見あたらないだろう。そこに参集している隊員候補生は、途上国での技術移転を志向して試験を受け合格した専門家たちである。訓練所を出たあとは、単独で見知らぬ途上国での活動がはじまるという緊張感のもと、同期の隊員候補生たちと65日間、寝食を共にし、語学と技術、知識に最後の磨きをかけ、派遣に備える。民間企業の社員もこの訓練所で同期の人材には大きな刺激を受ける。企業の中で大切に育てられ、企業名に守られてきた社員は、自分と同世代にこれほど多様な職種の専門家がおり、すべてが途上国での技術協力を志向したボランティアであることを目の当たりにし、それまで経験したことのない広い世界を垣間見ることになるのである。

語学修得もまた、隊員候補生となった社員に提供されるメニューのひとつである。派遣前訓練のメインは語学修得である。全387時間の講座の中で、語学が258時間、総時間の約2/3を占める。平成19年度3次隊二本松訓練所では英語を含めて13ヶ国語の訓練が実施された 。訓練所を出ると通常約2週間後にはその言葉しか通じない可能性のある国へ1人、もしくは多くても数名で赴くことになる。訓練が始まって1ヶ月になる頃から同じ語学クラスの隊員候補生とは現地語で話すように指示され、65日間の訓練を終えるころには、ある程度日常会話はできるようになる。現地へ行って相手の言うことがわからない可能性はあるが、こちらの伝えたいことは、少ない語彙でも初歩の文法を駆使すれば言える程度になる。

派遣前訓練では、語学のほかに、国際協力、ボランティア事業、安全管理・健康管理等の各種講座が提供され、隊員候補生が受講する。平成19年3次隊の訓練は目的別に6つの分野で構成されていた。語学講座、ボランティア講座、任国事情・異文化適応講座、安全管理講座、自主企画、その他行事やオリエンテーション等である。日本から国の事業として派遣されるボランティアとして必要最低限の知識は網羅されている。ボランティア講座の内容は、民間企業では企業側から提供されることはまずない内容であり、企業のグローバル化もすすむ中、最低限の国際関係、国際協力の知識は、企業人としても知っておいたほうがよい内容である。「国際関係と日本の国際協力」「人間の安全保障」のほか、JICAの事業内容や処遇、制度に関する講座、「青年海外協力隊事業の理念」といった講座が必修であった。異文化適応についての講座についても、「コミュニケーション手法」「異文化の理解と適応」「異文化体験シミュレーション」といった異文化に関する必修講座に加え、「生活技法講座」「イスラム教とは何か」「日本の近・現代史」といった講座も提供された。安全管理講座は派遣先が途上国であるという特徴を表し、感染症や狂犬病、交通安全に関する知識や初歩の救急法を習得する内容となっている 。

このほか、訓練所では隊員による自主活動として時間外に各分野の専門家たちが、途上国に行ったときにすぐに役立つ知識などを提供しあう。例えば日本語教師による超初級用日本語ワンポイントレッスンの仕方講座などがあった。また、特別行事として皇室接見もあった。予防接種は毎週火曜、講堂で該当感染症やそのワクチンについての副作用等を含めた説明を受けた後、A型肝炎2回、B型肝炎2回、狂犬病3回、破傷風1回のワクチン接種が行われた 。

(中略)

訓練所の最終日には修了式と壮行会が行われる。家族が迎えに来る隊員もいて会は盛り上がる。どこかにこれから任地で一人で活動することへの緊張感を持ちながら、65日間をいっしょにすごした候補生たちと交わす旅発ちの言葉は「ありがとう」と「生きて帰ってこようね」である。平成19年度3次隊二本松訓練所で訓練を受けた隊員たちは訓練修了数週間後、自治体の表敬訪問を経てそれぞれの任地、28カ国へ向かった。

◆ (中略)

平均年齢27~28歳、入社3年~10年目、民間企業の貴重な戦力であり、企業人としても育ち盛りである社員を2年余りもの間、青年海外協力隊活動に参加させるのであるから、企業としては、社員自身が自己実現のために企業を休職してボランティア活動に参加するとはいえ、自社でその社員にその2年余りで提供できるものと、少なくとも同等か、できればそれ以上の価値のある経験を得てきてほしいと考える。企業の勤務の中では出会えない人と出会い、社員の人生を豊かにするような活動ができることを望みながら派遣する。他人の釜の飯を食べ、たくましくなって戻ってこい、という、いわば武者修行に出すような心持であろう。海外協力隊事業は、企業のこの思いに応えることが可能な事業である。

修論(1) 民間企業の青年海外協力隊現職参加について

2013-01-27 | Weblog
 協力隊から帰国し、2012年3月、通信制の国際協力修士課程を修了しました。
 提出したレポートなどはおいおい掲載していこうと思っていましたが、修士論文も支障のない範囲で掲載したいと思います。本文は、学校へお問合せいただければ閲覧可能だと思います。

 <修士論文>
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  民間企業の青年海外協力隊現職参加について
  - 希望する社員への対応に関する一考察
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   吉備国際大学大学院(通信制)
   連合国際協力研究科 国際協力専攻
   学生番号:M931003

 ※ 引用等される場合の出典は上のとおりです。
   引用に耐えるような内容があれば光栄です。
   さらに詳細が必要な場合は、学校へお問合せください。
   Copyright (c) 2012-2016 「イエメン 風のたより」ブログ管理者. All Rights Reserved.

<謝辞>
 本論文の執筆にあたり、お世話になりましたすべてのみなさまに、心より御礼を申し上げます。
 主指導教官として最初から最後まで丁寧にご指導をいただきました元研究科長高橋睦子先生、メルヴィオ・ミカ先生に。
 的確なご助言をいただきました研究科長末吉秀二先生に。
 そして2年間にわたり国際協力についてのご指導をいただきました橋本由紀子先生はじめ吉備国際大学大学院(通信制)連合国際協力研究科のすべての先生に。
 在学した2年の間サポートし続けてくださった事務局スタッフの方々に。
 応援し続けてくださった先輩のみなさま、そして励ましあった仲間たちに。
 ご多用の中、インタビューやアンケート、問い合わせ等に快くご対応くださった全ての皆様に。
 企業人としてこれまで育ててくださったすべての関係者のみなさま、協力隊関係者のみなさま、協力隊活動にあたり惜しみない支援をしてくださったすべての方々に。
 そして、家族と、論文の執筆の間長期の無沙汰をそっと見守ってくれた友人たちに。
 みなさまのお陰で本論文を完成することができました。ありがとうございました。

修論(2) 目次

2013-01-27 | Weblog
【修士論文「民間企業の青年海外協力隊現職参加について-希望する社員への対応に関する一考察」(Copyright: 吉備国際大学大学院(通信制)連合国際協力研究科 国際協力専攻 学生番号:M931003 All rights reserved.)】

<目次>
第1章

第2章 民間企業の現職参加対応状況
1.派遣状況
2.現職参加の必然性
3.企業の対応状況
 3.1. 現職参加支援策の4類型
 3.2. 休職制度導入状況
 3.3. 現職参加規定内容
 3.4. 企業との交渉
 3.5. 企業の対応事例

第3章 企業が支援する理由
1.企業の社会的責任
2.企業の捉え方
 2.1. 企業が果たそうとしているCSR
 2.2. 社員にもたらされるもの
3.実際果たされているCSR
 3.1. 青年海外協力隊はどのようなボランティアか
 3.2. ボランティア事業評価調査の結果に見る青年海外協力隊の国際貢献
 3.3. 協力隊の活動によって日本にもたらされたもの
 3.4. ボランティア事業評価調査の結果に見る途上国との友好親善・相互理解の深化
4.企業にもたらされるもの
 4.1. 本業に直結している例
 4.2. 活動が復職後の業務に直接役に立っている例
 4.3. 展開例
 4.4. 社員の成長と企業にもたらされるもの

第4章 企業が支援を見送る理由
1.企業の負担
 1.1. 費用負担、事務負担、安全確保
 1.2. 良質労働力の不在期間
2.企業のリスク
 2.1. 社員の退職リスク
 2.2. 継続雇用しなければならないリスク
 2.3. どんどんあとに続く社員が出てくるリスク
 2.4. 広報的なリスク
3.支援見送りの決断による影響の少なさ
 3.1. 協力隊認知度と評価の低さ
 3.2. ボランティアに対する理解のばらつき
4.支援を見送るその他の理由
 4.1. CSRの方向性とのギャップ
 4.2. グローバル人材像間のギャップ
 4.3. 研修としての可能性

第5章 結論
1.結論
2.新しい動き
3.おわりに

図表出典(複数出典で脚注に示していないもの)
謝辞

引用文献、引用ウェブページ
主要参考文献、主要参考ウェブページ

添付資料

修論(3) 第1章

2013-01-27 | Weblog
【修士論文「民間企業の青年海外協力隊現職参加について-希望する社員への対応に関する一考察」(Copyright: 吉備国際大学大学院(通信制)連合国際協力研究科 国際協力専攻 学生番号:M931003 All rights reserved.)】

※ テキストコピーのため、字下げなどの処理がされていません。
  読みづらい点ご了承ください。

第1章

1.研究の課題
青年海外協力隊事業には、勤務先のある有職者が退職しないで参加することのできる「現職参加」という制度がある 。民間企業の社員で勤務先を退職せずに協力隊活動に参加する隊員には例外なくこの制度が適用される。毎年100人近い民間企業の社員がこの制度の下で派遣され、帰国後はその企業に復職する。一方で、毎回、勤務先の企業からこの制度の適用を認められずに退職したり、無給休職で参加する例も継続している。
45年以上にわたる国家事業であり事業開始当初より現職参加の実績もある青年海外協力隊事業において未だにこのように企業の対応にばらつきがあるのはなぜか、またそれが容認されているのはなぜか。これが、本研究で解明したい課題であった。

2.研究の背景
青年海外協力隊事業は、技術協力による開発途上国の発展への貢献と友好親善、派遣される日本の青年育成を目的とする国家事業である。独立行政法人国際協力機構(Japan International Corporation Agency、以下JICA )により実施され、予算は日本政府の政府開発援助(Official Development Assistance, 以下ODA)である。1965年(昭和40年)に初代隊員が派遣されてから45年以上、3万5千人を超える隊員が派遣されている。隊員の平均年齢は27~28歳、訓練及び派遣は年4回実施され、現地での任期は通常2年である。
隊員の募集は年2回、20歳以上39歳 の日本国籍を持つ青年が広く一般から募集され、現在の職業の有無にかかわらず自由に応募できる。その中で、勤務先を退職しないで参加することを「現職参加」と呼び、これを実現できる制度が「現職参加制度」と呼ばれる。民間企業の社員で勤務先を退職せずに協力隊活動に参加する隊員にはこの制度が適用される。
協力隊事業開始当初より途上国からの要請を満たすのに必要な人材を質、量ともに確保することは、日本全国からの公募といえども無職の人からだけでは難しかった。しかし、終身雇用という日本の雇用環境の下で2年のボランティア活動への参加のために退職することは、有職者にとってはリスクが大きく、休職という形で退職しないで参加できることが望まれた。
これを解決するのが「現職参加」であり、「現職参加制度」であった。社員は勤務先を退職しないで協力隊活動に参加でき、企業は社員を失わずに社員の国際協力を支援することができる。国は企業で実務経験を積んだ、途上国の要請を満たす能力と技術を持った隊員を派遣することができ、その隊員の帰国後の就職先の心配もない。
現職参加者に対する民間企業のスタンスは、一般的に一定期間社外業務に従事するための休職を認可であり、協力隊活動に参加したいと手を挙げた社員に、自社の支援制度を適用して2年間の個人的なボランティア活動に従事するための休職を認めその後の復職を保証するという支援のスタンスである。この支援の根拠は、CSR (Corporate Social Responsibility、企業の社会的責任、以下CSR)を果たすことであり、社員は企業のCSR上のステークホルダーのひとつである。社員の協力隊活動への現職参加を支援することが企業の基本的なスタンスであるが、青年海外協力隊事業の内容上、その支援が国家事業への協力、国際協力、国際貢献にもつながることになる。
一方で、協力隊への参加志願者が、所属先の企業から現職参加制度の適用を認められずに退職して参加する例、有給休職を可能にする協力隊事業の制度の適用が認められず無給休職で参加する例が継続しているなど現状は企業による対応の振れ幅が大きい。CSRの考え方は、消費者の購買行動に影響を及ぼすほど日本の一般社会にも浸透しており、企業でも自社の存続要件として看過できなくなっている。青年海外協力隊事業は歴史もあり、現職参加を支援するJICAの制度も比較的整い、その利用実績も多く、民間企業にとっては社員の多様性を認め自己実現を支援する意味でも無視できないCSRメニューのひとつである。この環境の中にありながら企業によって対応の差が存在し、それが許容されているのはなぜかという疑問が浮上し、本研究のテーマに至った。

3.研究の目的と意義
本研究は、青年海外協力隊事業への現職参加を希望する社員に対する民間企業の対応の現状を把握し、対応に至る理由を解析することにより今後の企業の対応について考える一助とすることを目的とする。
また、研究の意義としては、次項のように先行研究の調査の中で民間企業の視点からの青年海外協力隊への社員の現職参加派遣についての研究は見当たらなかったため、これまでの研究にこの視点を補うと考えられる。

4.先行研究について
先行研究の調査では、「青年海外協力隊」を題に含む論文は多数存在するが民間企業の現職参加という視点で取り上げた研究を見つけることはできなかった。青年海外協力隊に関する文献調査については、社団法人青年海外協力協会(Japan Overseas Cooperative Association, 以下JOCA)の受託を受けて実施された東京大学大学院総合文化研究科による調査で詳細に報告されている 。
国立情報学研究所CiNii論文検索サイトで検索語「青年海外協力隊」の検索では450件表示された が、本研究と同様の内容、「青年海外協力隊」「現職参加」「民間企業」の3つのキーワードをタイトルに含む論文を検索したところ該当する論文は表示されなかった。
450件の研究の内容は、青年海外協力隊事業内容の研究、青年海外協力隊隊員の活動内容やその効果に関する研究、活動中の隊員の状態について異文化適応、メンタル面やストレスについての研究、隊員の帰国後についてのキャリアパス、日本再適応、社会還元に関する研究等であった。
「青年海外協力隊」「民間企業」で検索すると、いくつかの論文が表示されたが、内容は青年海外協力隊の民間企業の社員の現職参加についてではなく、民間企業が青年海外協力隊員と連携して行った事業等についての研究や論文であった。「青年海外協力隊」に「現職参加」という検索語を加え表示された論文は、「現職参加」の対象である公務員、教員と民間企業のうち教員への現職参加制度導入に関する論文だった。このうち、文部科学省のプロジェクトでの斉藤泰雄の報告 は、研究を開始した当時、資料を暗中模索していた中で最初に現職参加についての歴史や考えかたの糸口となった報告書でその後も研究の基本としてたびたび参照し非常に参考になった。
範囲を広げインターネットの通常検索を行った。「青年海外協力隊」「現職参加」「民間企業」の3語に加え、「論文」という検索後を追加して検索を行った結果 、1件本研究と非常に類似している題を含む修士論文が存在したが非公開であったため参照できていない 。また、現職参加自体を扱った研究ではないが、次の2つの論文が非常に参考になった。1つは岡部恵子の修士学位論文 で、第2章「青年海外協力隊の変容」部分は協力隊事業の開始に先立つアメリカ平和部隊の創設から協力隊事業の開始、その後の変容について体系だって詳細に述べられており、協力隊事業の基礎概念や変化の流れを理解する上で非常に参考になった。もう1つは堀江新子の博士論文 で、3つの点で非常に参考になった。1つは他国との比較等興味深いデータも交えて詳細に述べられていた青年海外協力隊事業の概要の把握、2つ目は、筆者が一旦断念した青年海外協力隊隊員報告書を隊員活動の重要な情報源として収集し、丁寧に読み込み分析、解析して結論に至っていること、そして3つ目は、筆者が研究を始めてから、初めて現職参加について否定的な意見の所在 の情報を示していた資料であったことである。斉藤の報告を含め、研究開始当初にこれら3本の報告書や論文に出会い、手がかりとなって資料収集も広がっていった。
以上のように、先行研究の調査では本研究の扱う青年海外協力隊への現職参加について民間企業の対応という視点での研究は見当たらなかったため、本研究は、青年海外協力隊事業が国家予算であるODAによって実施されている公共事業であることから、この事業についての記録や評価といった公開された資料の存在が予想され、次の方法でこれらの情報収集に基づく論考を試みることとした。

5.研究の方法
本研究にあたっては、青年海外協力隊事業に関連して公表、開示されている誰でもアクセスが可能である情報、資料、データを基本として収集し、これに基づいて考察を行った。これらの情報源は、青年海外協力隊が政府のODA予算によって実施されている公共事業であることからその公共性を考慮し、客観性、中立性、公平性、公正性、透明性のある情報を取得するよう配慮した。
主な情報源として、青年海外協力隊事業についてはJICA(国際協力機構)や協力隊の支援団体、政府関係から開示されている資料や調査研究から、民間企業については、経済団体連合会(以下、経団連)や経済同友会(以下、同友会)等の資料から収集した 。公開されているデータが古い場合、該当団体に直接問合せをして更新されたデータを入手したものもある。更新されたデータが入手できなかったものについては、入手できた範囲で最新のものを利用し、データの期日を明記した。また、協力隊活動における具体的な内容等は、公開、公刊されている資料のほか、青年海外協力隊隊員に配布される資料等を参照したものもある。これらの資料を利用する際には、内容に大きな変更がないかJICAに問合せをし、変更がある部分は内容を更新して利用した。
情報管理については細心の注意と配慮を行う。企業や個人から得た情報で非公開情報の場合は個人、企業が特定されないよう配慮する。書き起こしたデータの管理も、外部へ漏洩することのないよう情報管理には細心の注意を払い、個人の同意を得て保持する資料以外は研究の終了後に完全に滅却する。また、筆者は青年海外協力隊OGであるため、2011年11月に青年海外協力隊事務局と電子メールのやりとりにより「青年海外協力隊隊員の派遣に関する合意書」第7条(禁止行為)規定に基づき必要な届出等手続きについて青年海外協力隊事務局に確認したところ、活動期間を終えている元隊員の修士論文提出についての届出は不要であるが、本文の中でJICAの資料を使用する際は出典を明記すること、また、個人が特定される記述で現在活動中の隊員の情報を記載する場合には、隊員自身が所轄の在外事務所に届出を出して承認を得る必要があるとの回答であった。これら留意点に従って適切な情報管理を行うにあたり、本論中、出典が複数にわたる数点の図表については、脚注ではなく巻末に図表出典を添付した。

6.本論文の構成
本論文は、5章から構成される。
第1章では、研究の課題、研究の背景、先行研究調査の状況、研究の方法、目的と意義、論文の構成を記述し、本研究の枠組みを提示した。
本論第2章は「民間企業からの現職参加状況」として、青年海外協力隊への民間企業からの現職参加について、派遣実績や企業の制度整備状況等から企業の対応の現状を把握する。
第3章「企業が支援する理由」では、民間企業が現職参加を支援する理由を主にCSRの観点から考察する。企業は一般的に、青年海外協力隊事業への社員の現職参加については、社員というステークホルダーの自己実現への支援というスタンスである。が実際は、青年海外協力隊事業は国家事業であり、その協力先が途上国であることから、国家や途上国、国際社会というステークホルダーへの責任も果たすことになる。企業の支援によってこれらそれぞれのステークホルダーにもたらされるものを確認し、この支援によって企業がどのようなCSRを果たしているかを検証した。また、事例からこの支援によって企業自身にもたらされる果実も考察した。
第4章「支援を見送る理由」では、第3章で見たようにCSRが企業の存続要件と言われるほどの社会的要請の中で、民間企業が青年海外協力隊への社員の現職参加の支援を見送るという決断をする企業側の理由を考察する。社員の現職参加を支援することによって生じる企業の負担やリスク、企業への影響、その他の要因等からの考察である。
第5章「結論」では、以上の民間企業の青年海外協力隊事業への社員の現職参加支援の現状とその現状が容認されている理由について解析、検証、考察の結論を述べる。また今後について、青年海外協力隊事業の新しい動きに言及し、本研究を総括する。
巻末には、文献リストのほか、図表出典、資料を添付した。

注)<すみません、脚注の掲載は編集中です 2013/1/27現在>
1) 添付資料1「現職参加とは?」参考
2) 「JICA」の略称が使われるようになったのは、1974年(昭和49年)以降であるが、本文中はそれ以前もJICAと表記した。添付資料2「JICAの変遷(青年海外協力隊関連)」参考
3) 募集〆切日の満年齢
4) 東京大学大学院総合文化研究科「人間の安全保障」プログラム(2009)『国際協力における海外ボランティア活動の有効性の検証』青年海外協力隊(JOCA)受託調査研究報告書2007年-2009年,東京大学大学院総合文化研究科 (2012年12月10日取得, http://www.joca.or.jp/upload/item/43/File/report01.pdf).
5) (2011年12月4日再度取得, http://ci.nii.ac.jp/search?q=%E9%9D%92%E5%B9%B4%E6%B5%B7%E5%A4%96%E5%8D%94%E5%8A%9B%E9%9A%8A&range=0&count=20&sortorder=1&type=0).
6) 斉藤泰雄(2009)「青年海外協力隊『現職教員特別参加制度』の成立経緯と制度的特色」文部科学省平成21年度国際開発協力サポートセンタープロジェクト「青年海外協力隊『現職教員特別参加制度』による派遣教員の社会貢献と組織的支援・活用の可能性」第Ⅰ部第二章。
7) 2370件表示(2011年12月4日再度取得, http://www.google.co.jp/search?sourceid=navclient&hl=ja&ie=UTF-8&rlz=1T4ADBS_jaYE318YE336&q=%e9%9d%92%e5%b9%b4%e6%b5%b7%e5%a4%96%e5%8d%94%e5%8a%9b%e9%9a%8a%e3%80%80%e6%b0%91%e9%96%93%e4%bc%81%e6%a5%ad%e3%80%80%e7%8f%be%e8%81%b7%e5%8f%82%e5%8a%a0%e3%80%80%e8%ab%96%e6%96%87).
8) 立教大学大学院修士論文(筆者名非公表、表題のみ)(2008)『民間企業社員の青年海外協力隊現職参加における現状と課題』(2011年12月3日取得, http://www.rikkyo.ac.jp/grad/i-c/program02.html#s08).
9) 岡部恵子(2006)「青年海外協力隊帰国後のキャリア形成―国際協力人材情報の共有にむけて」, 東京大学大学院総合文化研究所 超域文化科学専攻(文化人類学分野)「人間の安全保障」プログラム2006年度修士論文
10) 堀江新子(2008)「青年海外協力隊の国際協力活動に関する研究」, 山口大学大学院東アジア研究科 平成20年度博士論文
11) 添付資料6「経済団体概要」参考

協力隊秋募集

2012-10-21 | Weblog
2012年秋募集もいよいよ佳境です。締切日も近くなってきました。

みなさん、合格されるといいですね。
一次を通らないと二次へすすめませんので(当然ですが)、ぜひ応募書類はがんばって書いてください。

私は2007年に青少年活動で応募しました。
いろいろ迷いながらの応募だったことを思い出します。

応援しています!

協力隊〆切まであと3日です。

2011-11-05 | Weblog
 迷ってるかた、応募してみてはいかがでしょう。合格するかどうかわからないですし、合格して二次試験の通知がきてから考えることもできます。まずは一歩踏み出してみて、自分がどう感じるか見てみるというのもひとつかと。健康診断が間に合わないかな。とりあえず諦めないで、7日(月)に協力隊事務局へお電話ででも問合せをしてみるとか。(これが奏効するかどうかはまったくわかりませんが。半分お役所みたいなところもあるし無理だったらごめんなさいね。)
 あわてないで、次回春募集っていう手もありますけれどね。39歳の人はご注意ください。青年海外協力隊は、募集〆切日の年齢が39歳以下だったと思います。

一年

2011-01-14 | Weblog
去年の1月9日、イエメンを発った。1月10日、日本へ帰着した。14日、会社に復職、出社し、グループ調達部配属となった。辞令はなかった。社内イントラの掲示板に出たと思うが見落とした。

1年たったかあ。もう、協力隊の期間の半分と同じ期間が過ぎたんだなあ。

アマルさん、元気かな、メルサールさんは。門番のタウフィ~ク、毎朝ハグしてキスしたおそうじのムニーラさ~ん!
ハーディー先生、苑先生、お元気ですか。
幹部はどう?アズバン氏、ちゃんと給料払ってくれてますか。

イエメンで、苑先生とよく行ったトルコ料理屋は爆破されて見る影もなくなったときいた。イエメンに一軒しかなかったケンタッキーでも爆弾テロがあったという。アメリカ大使館の近くの公道で、外交ナンバー車両狙いの自爆テロがあり、車のボンネットにばらばらになったテロリストの首だけのっかった写真が新聞に載ったとかのらないとか。

よくもまあ、一般市民の生活圏で次から次へとテロを起こしてくれるもんだ。協力隊も引き上げになった。これじゃ当分復活できない。

それでも、イエメンの一般市民たちは、心のどこかでアルカイダを支持している部分があるときいたことがある。一般論とはいえないかもしれないし、全員がそうじゃないかもしれないが、でも、そういった無意識に共通の価値観だか文化だか気持ちだか空気だかが根底にあるんだろう。真剣に忌み嫌われていたら、こんなに日常社会に登場できない。

どうか、みなさん巻き込まれませんように。命を、大切にしてください。

門番とのミーティング  <協力隊活動より>

2010-05-04 | Weblog
協力隊活動の2年で、2回、大激怒したことがある。下のメモはその1回目のあとの打ち合わせ内容。

このとき激怒したのは、門番の出社時間遅れについてだった。過去に何度も注意、この2~3日も続けて昼の休憩上がりの時間に遅れたのを指摘しつづけ、本人にも意識はあったが、荷物の運び入れがあるその日も10分遅れてきて、車が入れず立ち往生している中、謝りの言葉もなく、笑って戻ってきたので、来るなり思いっきり「なんで遅れたの!きのうも言った、おとといも言った、その前も言った!なんで!毎日、毎日、毎日!!」(アラビア語力がないので、これくらいしか言えない。門番はアラビア語しかわからない。)

叱りとばしながらも、とりあえず、荷物を運び込んだ。門番ははじめはあっけにとられ、そのうち怒りだし、門番小屋へ入って大声を上げて泣きながら暴れていたので、秘書が「手伝いなさい」と言ったら「手伝うもんか!」と言い返してきたので、私は、「手伝わなくていい!さようなら!仕事のほしい門番はいくらでもいます!」

あとで、一応、理由をきいて、いきなり大声で叱り付けたことを謝った。門番も、謝った。それでおしまい。後くされはなかった(と思う)。イエメン人はけっこう、忘れっぽい。私も忘れっぽい。

イエメンに限らず、10分の遅れぐらい、どうってことない国のほうがふつうだ。むしろ、10分は上出来なくらいだ。協会でも、行事の開始が30分遅れたりすることもあった。が、基本的には時間を守ることを教えていたし、受け手も理解していた。日本は、電車が時刻表どおりに来る国だ。

門番は、その日、お昼の休憩の開始が別件で遅れ、うちへ帰ったらランチに遅れたことを叱られ、協会へ戻ってきたら私の罵倒に遭った、ということだった。ごめんごめん、お気の毒さまでした。が、私は、彼が、日本人が時間を守ることを知っていること、彼が日本の技術や品質の高さを尊敬していること、そして、彼がそんな日本と関わるところで働くことにちょっと誇りを持っていることも知っていた。

翌日だったか数日後だったか、秘書の協力を得て、門番と3人で次のミーティングをした。秘書も英語はほとんどわからない。が、門番に話をしてもらうのは秘書しかいないので、次のメモを一緒に見ながら、門番にこういうことを伝えたい、ということを、私のアラビア語の限りを尽くして説明した。

門番はまだ22、3歳で、仕事らしい仕事をするのははじめてだったと思う。始めて数ヶ月たっていただろうか、まじめにやっているし、ごまかそうという感じもしないし、骨があると見込んでいた。少ない給料で、よくやっている、とも思っていた。いつか、このモチベーションを確固たるものにしておく必要があると思っており、タイミング的にはちょうどよかったかもしれない。

秘書は、メモを見て、私の言いたいことが何かわかる、と言った。門番のことを言っているんじゃない、仕事って何かを言ってるのね、と。毎日毎日、くりかえし話してきた仕事に対する姿勢の話、もう、言わなくても秘書はわかるようになっていた。

「だいじょうぶ」秘書は日本語で言い、このメモを持って、いっしょに門番小屋へ向かった。「タウフィーク、アナ アシュティー アタカラム マーカー」(タウフィーク、あなたと話がある)「こわいよう」と笑いながら出てきた門番と秘書と3人、花壇の石にすわって、打合をした。

以下、打合のメモ。英語の拙い部分はご容赦を。これを、私との事前打合で理解した秘書が、門番にアラビア語で説明してくれるのを、私は横でうなづきながらいっしょにきいていた。メモは、門番にも、一部、きれいなコピーを渡した。

・・・

2009年8月8日(土) August 8, 2009
イエメン日本友好協会 Yemeni-Japanese Friendship Association

タウフィークさん 打合
Meeting with Tawfeek-san

・ 協会の仕事は、たいへんです。お給料は安いですが、スタッフはみんな、お給料以上に働いています。その覚悟はありますか?

Your job in this association is not easy. You have to work hard even though your salary is low. That’s what all the staffs and teachers are doing here. Are you ready to join our team?


・ 勤務時間は、仕事最優先です。このあいだのように、お昼ごはんを食べていても、(休憩時間を除き、勤務時間中は)協会の仕事があったら、途中でやめて協会の仕事をしてください。休憩時間は、11時半から1時半、ここに仕事がかかったからといって、ほかのところでのカバーはありません。(協会から前もって要請した場合を除きます)

The 1st priority during your working time is your job. Even though you are eating lunch like the other day, you stop your lunch and do your job first when YJFA needs. Your lunch break is 11:30 – 1:30; enjoy your break. Please be advised that even though you enter the lunch break late, your break ends at 1:30pm. Your break time is fixed, except YJFA asks other tasks for you in advance.


・ 門番の仕事は協会にとって、とても大切です。学生たち、スタッフの命を預かっているといっても過言ではありません。若いタウフィークさんには少し責任が重いかもしれません。が、先日、協会の裏口があいているのに気がついて、閉めていってくれたのは、門番として立派です。これからも、その気持ちを忘れないでください。

Your job is very important for YJFA. You are responsible for all the lives of students, visitors, and staffs here. It may be a little bit heavy task for you since you are young; however, what you did the other day was excellent as a guard. You noticed the back door was opened, then closed the key. We see you know your job and responsibility. Keep your sincere attitude toward your job.


・ 協会の要請はとても厳しいですから、辞めたければいつでも辞めていいです。この要請にこたえられる人でなければ、大切な協会のガードは任せられません。どんな門番がいい門番か、自分でも考えてください。

We know YJFA requirement for you is hard. So, if you think it is too much, you can leave at any time. The task of guard here is very important. We need a good guard who really understands the importance and works hard. Please consider what you should do to be a good guard.


・ 以上のことに同意していただけますか?スタッフは、チームです。いっしょに、協会のために、世界の平和のために、働いていきましょう。

If you would agree with above, we welcome you to our team. Let’s work together for our YJFA and the peace of the world.


・ わからないことがあったら、スタッフと相談してください。私たちはチームです。

If you have any questions and/or concerns, please do not hesitate to ask staffs and teachers. We are in one team.


・ 3年後には、すばらしい門番になっていることを期待します。

We expect you to be the best guard in Sana’a.


以上
Thank you.

青年海外協力隊 平成19年度春募集 応募用紙

2010-04-25 | Weblog
(実際に提出した内容)

19春 青年海外協力隊 (B)応募用紙

記述された内容をもとに書類選考を行います。具体的にわかりやすく手書きで記入してください。

氏名:****
職種名:青少年活動
職種番号:624

1.下記の質問について、お答えください。
(1)ボランティア活動に参加する動機、抱負について記述してください。

 「無知をなくす仕事」「病気をなくす仕事」「差別をなくす仕事」。学生時代教育学の講義で心に響いたこの3つの仕事のどれかに、いつも関わりつづけていたいと考えている。ボランティアで、この仕事に従事できることが動機。だから、これに関わることができれば、派遣国や要請の内容にこだわりはなく、派遣された場合は要請に応えられるよう、自分のあらゆる知識、技術、経験、能力を最大限活用して要請内容とその目的を実現することに全力を尽くしてきたい。

(2)ご自身が考えるボランティア活動の意義、目的を記述してください。

 ボランティア活動の意義は、利益のためでなく、純粋に人間の幸せの追求を動機として活動ができること。そしてそれが、いずれは豊かな世界をつくる基盤となること。
 活動の目的は、世界中の人々が、出自等の外部要因によらず健康で文化的で、豊かに幸せに暮らせる世界をつくること。 ボランティア活動は、自分の実労働を提供することで、その目的に貢献できるところに意義がある。


2.選択した職種に関し、次の①~④の項目について具体的に記述してください。
① この職種を選択した理由

 自分のあらゆる知識、技術、経験、能力を最大限活用して取り組める職種だと考えたから。現在活動中の音楽ボランティア、日本語教授ボランティア、20年近くにわたる民間企業での業務経験や海外赴任生活などが活かせる。また、「無知をなくす仕事」、地球の宝物である青少年に関わる活動をしていたい、という希望に合致する。要請に応えるための日々の活動は、自分自身も成長させる、と考えたから。

② この職種に対するご自分の経験(実務等)、技術適合性(セールスポイント)を具体的に挙げ記述してください。

 3つのセールスポイントを挙げたい。1)社会人経験、2)音楽活動経験、3)日本語教授の資格と経験。
 1) 社会人経験:約2年の米国子会社赴任(カリフォルニア州)を含み、入社以来18年目、社会人のプロを自負。業務スキルは当然として、メンタルヘルス、体調管理も社会人スキルのうち。企業にいればよくも悪くも業務上、柔軟性や計画変更に臨機応変であること、突発事項への緊急対応は求められるし、冷静な態度やクールフェースも必要。人間関係や業績に悩んだときなどは精神的にタフでなければやっていけない、自己管理が要求される。また、入社以来、いつどの国にどのような職種で異動辞令が出るかわからなかったため、常に世界のどの地域や文化の中でも仕事をする覚悟はできている。現在は国際本部に所属、海外相手の営業、マーケティング、輸出業務を担当し、常時やりとりをしている国は10ヶ国以上、週に一度は想定外の国からひきあいがある。直近例ではウルグアイ、南アフリカ、イスラエルなど。海外相手だと、日本の常識は通用しない方が普通。米国赴任時は、先進国のアメリカでさえ日本とはまったく文化が異なることを体感し、鳥肌がたつようだった。米国で学んだ最大の収穫は「You are special」の文化。青少年育成の根幹となる。これと、日本の青少年教育の考え方「魚の釣り方を教える」を青少年活動の2つの柱とする。自分は年齢的に高度成長を目の当たりにしており、開発途上国の青少年との活動の中で、自分たちの力で未来を切り拓く、国を発展させる、世界平和に貢献する、という夢を共有したい。
 2) 音楽活動経験:音楽との関わりは30年以上、最近は「たいとう(台東)ミニピアノ楽団」というおもちゃのピアノを使った音楽ボランティア活動をしている。「誰でも楽しめる音楽活動」を目指しており、楽団には初心者も楽譜の読めない人もいる。希望の派遣先、モンゴルの要請では、情操教育の一環として孤児院での活動に音楽は大きな柱、素材となる。日本文化の紹介が要請される場合、日本の歌はその一つであり、「さくらさくら」などはその音の美しさで世界の人に感銘を与える可能性もあるが、青少年相手の場合はもっとビートのきいた音楽の方が楽しいだろう。机や壁をそのまま打楽器に見立てて使うなど、その場の雰囲気に合わせた編曲や即興で、一緒に楽しい時間を共有してきたい。
 3) 日本語教授の資格と経験:2005年に日本語教育能力検定試験に合格、1年ほど前から区の団体でボランティア活動をしている。主に初級を担当。協力隊として派遣された場合、派遣先の国には「日本語環境」はないことに留意した指導が必要になってくる。ただ、今や日本の企業は世界中どこにでもあるので、自分の民間企業での折衝経験を活かしてそれらの企業と連絡をとり、派遣先の国の子供たちと日本人との接触の機会をつくる企画もしたい。海外赴任していた自分の経験上、民間企業の駐在者でも現地の子供たちに日本語で話しかけるボランティアぐらい、いつでも引き受けるよ、という企業人は少なくない。
 このほか、家庭教師の経験(小学生から中学生10名程度)は学習指導に役立つだろうし、書道暦は10年以上で指導可能、あやとりや折り紙、なわとびや外あそび、絵本のよみきかせ、手作り紙芝居、かるた、絵本の製作経験など、過去の経験のひきだしからいろいろ素材が出てくる。派遣先では自分自身が異文化であることを利用して楽しい活動を展開してきたい。

③ 自己PR <割愛>

④ この職種に携わる際に想定される自分の弱点

 若くないこと。募集年齢ぎりぎりなので、体力だけを比較したら20代の頃の自分にはかなわない。その分、健康維持には留意、無茶をしないし、業務スキルは圧倒的にあるが・・・。
 日本語教授の際は準備が必要。即興で実施できるほど完璧ではない。

3. 実際に派遣された場合、どのようなボランティア活動を行うのか、活動内容、日常生活を含めて具体的に記述してください。

 要請に応える活動を計画、清々とこなす。スケジュール化してもマンネリ化することなくひとつひとつのメニューで青少年の知的好奇心を刺激し続けるよう入念に準備する。希望のモンゴルに派遣された場合、主役は対象者の孤児達。目一杯の愛情を注ぎつつ、卒業後も自力で知識や世界を広げていけるような自習方法の体得等サポートする。現地日本人や日系団体とも交流し協力を仰ぐなど、派遣先施設との橋渡しをする。

4.帰国後、参加経験をどのように生かしたいか記述してください。

 帰国後参加経験を即、直接仕事に生かすことは考えていないが、2年間全力で青少年の育成にあたるという経験によって広がった人間の幅や視野はその後の仕事にも役立つと確信する。そして、いずれまた、海外でボランティア活動をする際の経験基盤としたい。また、実際に経験した隊員生活やJICAの活動をまわりに語ることで、ボランティアにためらう人の背中を押す手伝いをしていきたい。

カンボジア出張

2010-04-24 | Weblog
青年海外協力隊へ行く前、国際部にいた頃、カンボジアへ出張した。
アンコール・ワットのあるシェムリアップで開催されるセールス・ミーティングに出席するためだった。

詳細は忘れてしまったが、ミーティングが終わって夜、現地代理店社長の息子と夕食会へ行ったとき、レストランにはビールを売る若いウエートレスさんがたくさんいた。彼女らは、ビールのキャップ(王冠)1つでいくら、というキャッシュバックをもらうのが報酬となっていた。仕事の少ない現地では仕事があること自体貴重なことで、さらに女性が、うまくいけば結構な収入を得られると、人気の職種だった。ビール会社ごとの契約のため、不必要なほどの人数がいた。(と思う。彼女たちの待遇等も詳細は忘れてしまった。)

きれいなウエートレスさん、かわいいウエートレスさん、愛嬌のあるウエートレスさん、明るいウエートレスさん、ちょっとはにかんだウエートレスさん、賢そうなウエートレスさん・・・。

みんな、18歳から20代前半。もし、この国の、ここに生まれていなかったら、どんなに将来の可能性を拓けたことか。逆もあり、はおいておき。

愛想をふりまいて、お金を稼いで、家族の幸せな顔を見て、それを「幸せ」と思う。否定しない。そして、それは、本当に幸せなのかもしれない。

でも、私にはそう見えなかった。もっと違う未来がある。その選択肢がない、考えたこともない、知らない。そしてそのまま一生終わってしまう。見ているだけで息が苦しくなった。代理店の社長の息子はいい人だったが、ウエートレスはウエートレスとしか見ていない。その国のその構造に、なにも疑問を持っていないように見えた。

そして彼女たちの兄弟や子供たちは、また同じ価値観の中で育ち、ウエートレスをするのだろうか。きれいな服を着て、にっこり笑って、ビールを売って稼いで。

協力隊に駆り立てられる、ほとんどいっぱいになっていたコップの水への最後の数滴のうちの1滴となった出張だった。

翌日追記:
にっこり笑ってビールを売って、を、どうして肯定できないのか、どうして正視できなかったのかを考えた。このとき、ジェンダーを問題にしているのではなかったにも拘わらず。
ジェンダーの問題を含んでいるかもしれないが、私は、女性がにっこり笑って人をハッピーな気持ちにすることには、実はそんなに異議を持っていない。
> みんな、18歳から20代前半。もし、この国の、ここに生まれていなかったら、どんなに将来の可能性を拓けたことか。
のあとに続く-「そして、その可能性は世界のために使えたかもしれない。」
明らかに聡明なウエートレスさんを見て、その聡明さの使い方が「間違っている」と思ってしまった。この考え方自体、間違っているのではないかとだんだん自信がなくなってくる。

2.隊員報告会内容 (最終報告)

2010-04-18 | Weblog
(最終報告会で使用したパワーポイント資料)

最終報告
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  配属先:イエメン日本友好協会
  平成19年度3次隊 青少年活動
  派遣期間:2008年1月11日~2010年1月10日
  最終報告:2009年12月9日


報告内容
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1.配属先概要
2.配属先要請と本当のニーズ
3.当初課題と解決策 進捗状況 今後の課題
4.活動状況、結果


1.配属先概要
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1)配属先名:イエメン日本友好協会
2)配属先事業概要
  個人実業家の出資による慈善事業、メンバー制
  日本語講座を中心に日本文化の紹介等、日本とイエメンの文化交流活動を行う
3)組織
  会長 - 協会幹部(2名) - 協会職員(2名)、日本語教師、JOCV
4)予算状況
  協会全体年間 USD46,000、内家賃USD24,000、光熱費等USD15,000
  内日本語講座関連 USD7,000 講師謝礼、消耗品、イベント支出等
5)沿革
  1990年代はじめ:社会問題・労働省文化部門担当者によって設立
  2002年3月:在イエメン日本大使館の日本語教室を引き継ぐ。
  2005年12月:初代JOCV派遣受け入れ(短期隊員派遣後、現在2代目)


2.配属先要請と本当のニーズ
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1)配属先要請
 ・ 講座(日本文化、日本語)・イベントの企画運営
 ・ イエメンと日本の文化交流
 ・ 受講者数の増加
2)真のニーズ(要請に潜在)
 ・ 要請内容を協会スタッフで「継続的」「安定的」に「無理なく」運営できる
   状態にすること
 ・ 受講者を増やすことは可能だが、まずは将来に向けた運営の基礎固めをする
   → 魅力的な組織なら受講者は自然に増える(受講生推移後述)
3)達成のための年間計画
  初年度:トライアル事項試行、現地スタッフとの協業により経験蓄積
  次年度:初年度試行事項の取捨選択、ブラッシュアップ、現地への移管
  結 果:当初計画は達成、次世代JOCVによりさらに現地移管を推進 


3.当初課題と解決策 進捗状況 今後の課題
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1)課題1:組織、意識、環境に雑然感 → 組織の運営に
  解決策:理念、目標の設定、意識共有、業務分担
       → 業務遂行により意識は自然にかわる
  進捗状況:スタッフ協業体制、インフラ整備(図書室、教室設備等)
  今後の課題:現地スタッフへの運営完全移管、拡大に伴うインフラ整備継続

<理念> 世界平和に貢献する人材 →  「市民講座か教育機関か」
<目標> 単なる語学学校ではない
     ・ 自分自身への深く落ち着いた信頼を醸成
     ・ 異文化を理解し、尊重する人格を形成(異文化人になるのではない)
     ・ 協会全体で、受講者の成長を見守る
<キーワード> 分業、信頼関係、事実直視  - 下らない感情に巻き込まれない

2)課題2:教師・協力者確保
  解決策:短期・長期にわたる優良講師の発見、依頼、勧誘、育成
  進捗状況:日本人講師ライセンス取得、アシスタント講師制度断念、先輩制度導入
  今後の課題:講師レベルの維持・向上、重層化、いつでも協力を申し出られる体制

3)課題3:経済的自立(要請はされていない)
  2009年2学期より受講料値上、2009年4学期より全員会員制制度開始


4.活動状況、結果 (→ 後日記載予定)
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1) 受講生推移、受講者の変化
2) 講座収入推移
3) 実施講座状況
4) 今後のスケジュール

活動総括と協会理念

2010-04-16 | Weblog
第5号報告書より
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        第5号報告書(最終報告書)
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   青年海外協力隊 平成19年度3次隊
   派遣期間:2008年1月11日~2010年1月10日
   職種:青少年活動
   配属先:イエメン日本友好協会

1.活動総括
 私の配属先イエメン日本友好協会での2年間の活動は、次の協会理念に凝縮されると言っても過言ではないだろう。この実施、認識共有に専念してきた。内容は、実行がとても容易ということはないが、特に難しいということもなく、常識的な内容の理念だと考える。
 可能ならば、今後も協会の帰属者がこの理念を共有し、実行していくことで、将来にわたって当協会が発展し続けることを願う。

・ 添付資料
  イエメン日本友好協会 理念 (以下。元資料はパワーポイント)

■ 「協会理念」の設定
(スライド)
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جمعية الصداقة اليمنية اليابانية
イエメン日本友好協会
Yemeni-Japanese Friendship Association
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(ノート)
・ 活動期間を通して、最も重要視し、常に基本にしたのが「協会理念」
・ これを講師、スタッフ、学生ほか、協会に関与するすべての人で共有し、
  すすむ方向を一本化する
・ 年齢を問わず、帰属者の「大人の集団」を目指すことにより、協会内の秩序を保ち、
  全員がハッピーでいられる協会をつくる
・ いっしょに成長していこうというチーム意識、ここにいれば自分も成長できる、
  という手ごたえを得られるように
・ 協会に通う人には、常に新鮮さ、いつもなにか新しい発見がある躍動感、
  エキサイティング感を提供、かつ「わたしの協会」、来たらいつでも居場所が
  ある、という安心感を提供する
・ 理念の共有、実行により、今後もメンバー定着、増加につながっていく(だろう)


■ 協会理念
(スライド)
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إحلال السلام العالمي
تسهم في إحلال السلام في العالم وذلك YJFA
من خلال معرفتنا و فهمنا و إحترامنا لثقافاتنا بعضنا المختلفة

異文化の理解を通して世界平和に貢献します
いぶんかの りかいを とおして せかいへいわに こうけんします

Yemeni - Japanese Friendship Association will contribute
to the peace of the world through the experience, understanding,
and respect for the different cultures.
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(ノート)
・ シンプルで、わかりやすく、かつエキサイティングな理念
・ 「世界」に目を向けることで、日本、イエメンの文化でカバーしきれない部分、
  日本やイエメン独特で世界に通用しない文化を客観的に見られる基礎概念を提示
・ 日本文化を異文化理解のための「素材」とすることにより、日本語や日本文化を
  イエメンで学ぶことに意義を持たせる


■ 日本語講座の目標
(スライド)
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اللغة اليابانية في جمعية الصداقة اليمنية اليابانية
تدريسنا للغة اليابانية هنا
يهدف لتعليم مهارات اللغة اليابانية الفصحى للنتواصل معاً بسلاسلة

教育を受けた人の気持ちよい日本語を目指します
きょういくを うけたひとの きもちよいにほんごを めざします

Targeting Educated and Diplomatic Japanese Language Skills and Manners
for Good Communications
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(ノート)
・ アニメなどの影響により友達ことばに流れがちな学習者に、「教育を受けた
  日本語」「全世界で生涯にわたって使い続けられる日本語」を提供することを
  理解させ、学習したことと、よく耳にしたり使われたりする日本語との矛盾を
  解決する
・ 学生自身を守ることができる日本語を教える。です・ます体を基本にする、など。
  教師はこれに対する学生からの批判には毅然とした対応をする
・ 「ありがとうございます」についてはうるさいほどに教えた。理解、協力して
  くださったほかの先生がたに感謝


■ 運営について
(スライド)
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تدار جمعية الصداقة اليمنية اليابانية
تدارعن طريق المنحين و المتطوعينYJFA

寄付とボランティアで運営されています
きふと ボランティアで うんえい されています

YJFA is operated by donation and volunteers
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(ノート)
・ 個人実業家の寄付で運営されていることを告知することにより、資金的な
  問題をかかえている認識を共有してもらう。
・ 学生自身、ほかの協力者のみなさんがボランティア(無償の活動提供)を
  すすんでできる動機を与える
・ 資金はおさえたいが講座料はおさえたい、という矛盾の解決のため
・ 将来的には、サポート会員からの寄付で運営をまかなうことを目指す
  → 今学習している学生が、ここでの学習や活動が自分のためになったと
  思ったら、自活するようになったとき、後輩のために寄付をする、という
  サイクルをつくりだす


■ メンバーシップ
(スライド)
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٣ أعضاء جمعية الصداقة اليمنية اليابانية هم
طلاب دورات اللغة اليابانية النظامية، وأعضاء الأنشطة
و الأعضاء المانحين

3つのメンバーシップ
日本語講座受講生、アクティビティ会員、サポート会員
にほんごこうざじゅこうせい、アクティビティかいいん、サポートかいいん

3 Memberships: - Japanese Language Regular Course Students,
Activity Members, and Support members
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(ノート)
・ ソーシャルネットワークの手法を利用。広告や宣伝でなく、ここに関連する
  人の紹介で広がることにより、宣伝費用をかけずにメンバーを増やしていく
  ことが可能で、また、帰属意識も醸成できる
・ 協会の建物に入るためには、なんらかの形でメンバーになっている必要がある。
  IDカードを発行、門でのチェックにより安全面も確保
・ 全員のメンバー化(2009年8月~)により微々たるものながら収入源の
  確保になる