One Drop
きみは
突然
ぼくの前に
おちてきた
なんの
てらいもなく
ただ 当然の様に
きみは
散崋のように
ひらひら舞わずに
なにか素っ頓狂に
着地した
ぼくは思わず
踏みつけるところだった
そっと
崩れないように拾い上げた
が
それからぼくは
きみをどうすればいいのか
と
かんがえた
が
わかるはずはないのだった
きみはちっておちた
さくらのはなで
ぼくはとおりかゝったにんげんで
なんのかんけいもないのだから
でも、ひろいあげたということは
かんけいがあるということではないか
ぼくはきみのすがたをスキャンしてほぞんした
でも
もうそのすがたは
きみであってきみでないそんざいになり
ふくざつにおれまがった現実であり
世界としては
一歩前進したことになる
こんな小さな前進が
人間が誕生していらい
芋蔓式にとぎれぬ時間の
正体なのかもしれない