居間塵(imagine)

居間塵、と書いて、イマジン。その日その時、流れゆく時の川から、思いつくままに掬いあげる。絵図とポエムの棚

ボレロ

2012-06-20 22:35:23 | ポエム

ボレロ(*)

 

つまさきを
刃物のように
研いでとがらせて
時速1メートルで
まえに身を乗り出して
堅固な壁のような
なにか重いしきたりの配下にある
邪悪をおしのけてゆく
微妙なその速度
それ以上でも以下でも成り立たない
慎重なチカラの球が
手足と顔立ちを
夕日のなかで
燃えたたせながら
いくたびも耐えながら
次々とクラヤミを
ほうりなげながら
何処までもそのチカラ
リズムのチカラを
バルコンの蔭と夕日と
やきつくような視線の束と
いくつもの意志をしたがえて
希望や理想など問わないで
飛び立つ赤々とした
燃え立つ羽の痕をのこす
鳥影となって
灼熱の茜空へとけてゆく

                   

                                                                                 (*)モーリス・ラヴェル作曲のバレーのための曲

 


ミステリー

2012-06-20 17:06:38 | ポエム

ミステリー

 

花がない
花がみつからない
どこに咲いているの
何時咲くの
なにも知らない

いちにちじゅう
あるきまわっている

意味がない
意味がみつからない
どんな意味があるの
何時わかるの
なにもわからない

社会という山壑
自然という原野

そこにある岩石
そこにある草木

いやそんな偉大なところではない
隣の家の軒の下
向かいの家の屋根の上
そういうところに
ひとが目もくれないところに
どっさりと
すがたをかくしている

そんな気がする
ひと時のなかの
妖怪