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コロナ検証 長島誠一①世界のコロナパンデミック 発生から

2025年03月12日 20時47分51秒 | コロナ検証

新しい社会経済システムとしての21世紀社会主義 現代資本主義シリーズ;5(1)

長島誠一(東京経済大学名誉教授) 2024年 東京経済大学学術機関リポジトリ より

 

第 7章 コロナ・パンデミックと現代資本主義

2020 年初頭から世界は新型コロナのパンデミックに襲われている。人類誕生以来ウィルスとの戦いは繰り返されてきたが、近代になってからは100年に一度ぐらいの間隔で大きな感染症に見舞われてきた。新型コロナはまだ収束に至っていないが、本章では現代資本主義の歴史的危機との関連でこの新型コロナパンデミックを考察してみたい。

新型コロナパンデミックは、二つの世界戦争や 1970 年代のスタグフレーションや 2007-9 年間の世界金融危機に匹敵する現代資本主義の危機であり(第 1 節)、日本の新型コロナ対応も失敗続きであり、新型コロナ感染者は2023年5月時点で累計33,803,572人、死者74,694人にもなっている(第2節)。第3 節では新型コロナが世界・新興国・発展途上国・日本の経済と社会に与えた衝撃が考察され、第4節では新自由主義が医療体制を弱体化しコロナ対策に与えた影響を日本にそくして考察している。第5節ではコロナ感染症との闘いが具体的に検討され、第6節で今後のコロナなどの感染症に対処できるための医療制度(体制)構築の目標を考察している。第7節はコロナ危機によって現代資本主義の危機の深化と現代資本主義の歴史的限界が論じられている。補論は感染症の歴史を簡単に紹介しながら、今回の新型コロナ危機を人類史上の危機管理対象の一つであることを論じている

第1節 世界大戦や金融危機に匹敵するコロナ危機

2019 年暮れから新型コロナ(COVID-19)感染症は中国・武漢市で発生し、中国政府が 2020 年1月5日に公式発表した。新型コロナは瞬く間に世界に拡散し、コロナ・パンデミックが世界を襲ってきた。大きな感染症パンデミックは世界的に100年ぐらいの間隔で発生してきたが、パンデミックは人類的危機であり、その対策は危機管理や災害対策に匹敵し、また国の安全保障上の問題でもある深刻な危機である。現代資本主義にとっても、1970 年代のスタグフレーション危機や 2007-9 年の世界金融危機に匹敵ないしそれ以上の経済的・社会的影響をもたらしている。

第1項 世界のコロナパンデミック

Ⅰ 新型コロナ(COVID-19)

新型コロナ(COVID-19)は新型コロナウィルス感染症のSARS2の変異株であり、最初に「イギリス型」(アルファ株)が2020年9月に発見され、その感染力は従来の1.4~1.9倍も強かった。感染症ウィルスは人間との戦いを繰り返し、ウィルス抗原薬が発見され開発されるとまた新たな変異株が生みだされてくる。コロナウィルスも「イギリス型』が医学によって克服されるとすぐに、「南アフリカ型」(ベータ株))を誕生させ(2020 年 5 月)、感染力は「イギリス型」の 1.5 倍と強化された。さらに、「ブラジル型」(ガンマ株)(2020 年 11 月)は感染力 1.4~2.2 倍、「インド型」(デルタ株)(2020 年 10月)は感染力 1.95 倍と感染力が拡大し、2023 年現在オミクロン株とその亜種が蔓延している。このオミクロン株は 2021年 11月 24日に南アフリカで発見され、その感染力はデルタ株の約 4倍と報告されているように、「より速いスピードでより多くの人に感染させてクラスターになりやすい」と恐れられている。

Ⅱ 世界のコロナ感染の波

2020年の動向

第1局面(2019年12月31日~)・新型コロナウィルス検出 中国武漢市で発生し、市は全域で市民の移動を制限(都市封鎖)習近平国家主席は政治局常務委員会で「感染症の拡散を断固防止する」と宣言(12 月 25 日)。中国政府はツアー禁止令を出し、中国との往来を制限する国・地域がではじめる。中国政府は世界保健機関(WHO)に「武漢市で原因不明の肺炎の集団感染」、と報告(12 月 31 日)武漢市は医療崩壊状態に陥り、中国政府は都市封鎖をする。WHO のテドロス・アダノム事務局長は、緊急事態宣言を見送ってしまった。

第 2局面(2020年 1月 29日~)・中国の感染者が SARSを超え、世界各国への拡大が本格化。世界の累計感染者数6,169人 韓国で集団感染が発生し患者が急増、中国に続いて感染者が1千人超える。

第3局面(2020年3月11日~)・感染者126,527人に 「WHOがパンデミック(世界的大流行)と認定イタリアやイランでも急拡大し、移動の自由が大きい欧州に一気に広がる。中国やイランからの入国を規制していた米国が対象を欧州に広げるなどの往来制限が世界に広がる。

第4局面(2020年4月11日~)・感染者1,729,165人 世界の死者が10万人を超え(4月11日)。イタリアなど欧州で深刻化。イタリアは全土で不要不急の外出を禁止するが(3月 10日)、ウィルス封じ込めに失敗、イタリア北部は「医療崩壊」危機に直面。WHO のデドロス・アダノム事務局長「致死率はインフルエンザの10倍」と推定し危険性を訴える。中国では14億人が多くの時間引きこもり、コロナによって失業者が2,000万人を超え、中国経済が急落した。

第5局面(2020年6月28日~) ・感染者10,004,643人 感染者1千万人超え、北南米を中心に急増 ブラジルではアマゾン最奥地の町・カラウアリアにも到達した。米国が世界で最多、ブラジル2番目となる。WHO 事務局長「世界は新たな危険な局面に入った」と警告。コロナは新興国と途上国で凄まじく、世界の死者が50万人超える。

第6局面(2020年8月12日~)・感染者20,092,855人 感染者2千万人以上となる、インドの増加が顕著インドは脆弱な医療体制で医師や集中治療室が不足、主要7カ国首脳会議2度の先送り。アルファ株が発見された 2020年 9月には 25,761,430人(1日)から 33,364,077人(9月 30日)と猛威をふるった。

第7局面(2020年10月14日~)・感染者33,978,492人(2020年10月2日) 欧州に第2波到来、欧州全体に広がる。フランスのパリなどが夜間外出禁止、英国ではイングランド全域で都市封鎖(ロックダウン)、スウェーデンも対策強化。米国トランプ大統領が陽性デルタ株がインドで発見された 10月には、33,652,960人(10月1日)から45,041,948人(10月31日)と1.34倍と増加し、ガンマ株がブラジルで発見された 11 月には、感染者 33,652,060 人(1 日)から 45,041,948 人(31 日)と 1.34 倍増加した。

第 8局面(2020年12月12日~)感染者 71,931,343人(12月 13日)、感染者 7千万人超え死者約 160万人。最多の米国に第3波、ニューヨークの公立校の授業再びオンライン化、バイデン次期大統領はマスク着用や多人数の集まりの自粛を呼びかける。

2021年以降の動向

 中国政府が世界保健機関(WHO)に「武漢市で原因不明の肺炎の集団感染」と報告した2019年12月31日から1年たった12月31日には、コロナ感染者は8,198万6277人で179万415人が死亡した。2021年1月28日には感染者は1億人を超えた(1億28万6643人、死亡者215万7790人)。8月6日に2億人を超え(2億 26万 9244人、死亡者 455万 7056人)、翌年の 1月 8日には 3億人を超えた(3億 31万7508人、死亡者547万2694人)。翌年の2022年の2月10日には4億人を超え(4億84万6690人、死亡者576万4834人)、4月14日には5億人を超え(5億90万7811人)、8月28日には6億人を超えた(6億11万0360人、死亡者648万4461人)。2023年1月16日時点で、感染者は6億6678万6373人であり、死亡者は672万2699人に達した。日本国内の感染者は3,144万3,876人、死亡者6万3,019人であり、死亡者は日本が最多の状態であった。3月13日時点で、世界の累計感染者6億7657万人・累計死亡者688万人であり、5月9日時点で累計国内感染者数33,803,572人・死亡者74,694人である。


日本のコロナ対策 倉持仁院長に聞く 皆保険制度崩壊 早期治療ないがしろ

2024年06月09日 16時17分12秒 | コロナ検証

金子勝 @masaru_kaneko Oct 13, 2023

【コロナの教訓とは】倉持仁医師は民間医療機関で先頭で新型コロナウィルスに立ち向かってきた。早期発見早期治療の原則をないがしろにし、結果として国民皆保険制度を崩壊させた医療の進歩についていけない厚労省技官たちの犯罪性をきちんと総括すべきだ。

 

日本のコロナ対策 倉持仁院長に聞く(上) 皆保険制度「崩壊させた」 早期治療 ないがしろに

2023年10月12日 東京新聞

「コロナでは医療を受けられずに亡くなった人が大勢いた」と語る倉持院長

 

 「一番問題なのは国民皆保険制度を崩壊させたこと」。地方のクリニックで、3万7千人の新型コロナウイルス感染症の患者を診療してきたインターパーク倉持呼吸器内科(宇都宮市)院長の倉持仁医師(51)政府の新型コロナウイルス対策をそう批判する。皆保険崩壊とは、肝心なときに診てもらえない患者が続出したことを指す。その真意を聞いた。 (杉谷剛)

 

 -日本の新型コロナウイルス感染症対策の問題点を、どう考えますか。

 コロナという新しい感染症に、昔からの体制や制度のみで対応しようとしたことです。重症患者だけを診ればいいという、本来の臨床医療から外れた対策であり、コロナ病床を作らずに、場当たり的な一般病床の転換作戦を変えなかった。

 第1波や第2波の反省をせず、第3波以降、医療にかかれない患者があふれ、自宅で亡くなった方が多数いた。それにもかかわらず、緩んだとか、国民にお願いとか、「あなたたち、何を言っているんだ」という思いだった。医学的に意見を述べるべき専門家も政治的事情に巻き込まれ、妥協の産物を専門家の意見として出してしまった

 

 -新型コロナの治療の基本をどう考えますか。

 当たり前ですが、早期検査・早期治療が大切です。当初、「PCR検査は不正確で不十分」などと、今となっては明らかなデマが、専門家といわれる人々の常識や医学的根拠になっていました

 コロナは早期に治療をすれば治る病気です。感染症治療は、ウイルスが体内で増殖し、いろいろな臓器障害が出る前に治療して進行を防ぐのが原則。それなのに、そんな「医療の当たり前」をないがしろにして、自宅療養やホテル療養が当たり前になった。熱と酸素飽和度だけを測って放置されているのは、医療上はあり得ないです。

 パンデミック(世界的大流行)への備えを怠り、対応できないからといって、軽症者には医療は不要などという愚かな政策を場当たり的に行うのでは、健康被害は防げない。

 特にデルタ株による第5波では、医療機関にたどりつけずに亡くなる人が続出した。重症化リスクは年齢や基礎疾患だけで、形式的に判断できるものではない最初の診断をしっかり行い、そこで重症化する患者を見逃さないことが重要なんです。

バスを利用した新型コロナ接触者外来とインフル検査所=宇都宮市のインターパーク倉持呼吸器内科で

 

 -著書などで、コロナで国民皆保険は崩壊したと指摘しています。

 第6波のオミクロン株の流行後は感染者が爆増し、受診ができない状況が当たり前になりました。政府や自治体では苦肉の策として、症状のある人が自分で抗原検査をして、症状が軽ければ自宅で治るのを待ち、元気になったら活動を再開するという「発熱外来自己検査体制」になった。とんでもないことです。

 軽症なら自宅にいればいいというのは、他の病気も含めて発見に遅れをきたし、治療の遅れは重症化の原因となる。コロナが深刻なのは後遺症がひどいことです。オミクロン株以降、医療から見捨てられた感染者が増えていることが、後遺症を悪化させているのではと心配です。

 もともと国民皆保険制度は、保険料をきちんと払えばだれでも希望時に、速やかに受診できる制度のはずです。しかし、コロナは初期段階から、医療へのフリーアクセスや皆保険制度からはずれていました。医療者側も「軽症は対応していない」とか「重症は対応できない」となっていました。

 

 -コロナ2年目以降もコロナ患者を診ない医療機関が多く、医療逼迫(ひっぱく)や崩壊の要因にもなりました。

 厚労省はコロナ1年目の2020年3月、感染が疑われる患者の診療拒否は医師法上は認められないとしながら、「診療が困難である場合は、少なくとも帰国者・接触者外来や診療可能な医療機関への受診を勧奨すること」という玉虫色の通知を出し、コロナ疑いの患者は診なくてもよいという流れができました。

 たとえ診療しても、かかりつけ患者に限定している医療機関も多かった。当初はマスクや防護服が不足していたが、その後は足りているし、換気や一般外来との区分けなどの感染対策も分かってきたのだから、本来はインフルエンザのように、一般外来で患者を診るようにすべきです。 (続きは10月19日に掲載)

日本のコロナ対策 倉持仁院長に聞く(下) 検査・診療 受ける権利を保障せよ

2023年10月19日 東京新聞

 《前回は、政府の新型コロナウイルス感染症対策や、コロナ患者の診療拒否の問題点を指摘した》

「検査や診療を受ける権利を保障せよ」と訴える倉持院長

 -日本医師会のコロナ対応に問題点はなかったでしょうか。

 医師会にはコロナ診療を広く担うべき民間のクリニックをまとめる責任がありますが、当初からコロナ患者の受け入れに消極的でした。医師会は本来、患者サイドからの意見を積極的に発するべきでしたが、結果として風見鶏的な動きに終始してしまった感じです。存在意義が問われる面もあるかと思います。

 

 -なぜ、診療拒否が多かったのでしょうか。

 医師側は「自分はコロナが分からないから、責任を持って患者を診られない」という感覚が強いのでしょう。コストをかけて院内をつくり直すこともできず、今かかっている患者だけを診ればよいと思っていたのでしょう。新型コロナが一般的な感染症になってきた現状もあり、今後は変わらざるを得ないと思います。

 国も感染対策が間に合わないなら診療しなくてもいいという診療拒否を認めたり、患者が多いから受診するな、軽症なら病院にくるな、という医療制限をすべきではありません。罰則も含めて原則診療を義務化することが必要でしょう。永続的な診療報酬や、公的な場所を使った臨時の医療供給体制簡単に安く検査ができることなども必要です。

 

 -政府の「診療の手引き」の問題点は。

 わかりやすい手引きがあれば医療現場では助かる面もあるのですが、基本的に海外の論文を基に「これがエビデンス(根拠)だ」として作ったものだと思います。国なり関係する組織なりが力を集結して、データを集めて検証し、対策を取るという仕組みになっていない。オミクロン株になっても診療の手引きの重症度分類は変わりませんでした。それまでの基準で、軽症と判断されたら、体調が急変して亡くなる方を見逃してしまう。手引きは現場感覚とずれていました。

 

 -第5波の最中、旧ツイッター(X)で「ここに至ってなお保身のみ執着するならば厚労省 医師会 存在意義ない」などと激しい批判をした真意を聞かせてください。

 医師も厚生労働省も国民の健康と生命を守るために、ずっとやってきたという自負があると思います。それが本来の目的を忘れ、できないことの言い訳に終始しているように感じたので、強い発言をしました。良い方向へ変えていく努力と工夫が必要ですが、正しい現状認識ができていない状態を継続することは、とてもリスクがあります。

 まず国が守るべき医療の最低ラインを法律で定めるべきです。感染したら検査を受けて医師の診療を受ける権利を保障する。そこから逆算して医療提供体制をつくればよいのです。 (聞き手・杉谷剛)

 

くらもち・じん> 1972年宇都宮市生まれ。東京医科歯科大医学部卒。同大大学院、同大医学部付属病院を経て2015年にインターパーク倉持呼吸器内科院長。東京医科歯科大客員教授。コロナ問題の専門家としてテレビ出演多数。22年から佐藤佳・東京大医科学研究所教授らと共同で、科学雑誌「Nature」「Cell」「The Lancet」などにコロナの研究論文を複数発表。著書に「倉持仁のコロナ戦記」「日常を取り戻すために必要なこと コロナ戦記2」など。