国立天文台講演会/第25回アルマ望遠鏡講演会
宇宙には、冷たいガスやちりの雲が浮かんでいます。この雲はあまりに冷たいので光を出すことができませんが、電波を出します。アルマ望遠鏡は、この電波をキャッチする電波望遠鏡です。暗く冷たい宇宙の雲の中で星や惑星が生まれる様子を、アルマ望遠鏡はつぶさに写し出してきました。本講演では、電波で宇宙を調べることの意義から、アルマ望遠鏡のしくみと成果の概要までをご紹介します。
平松 正顕(ひらまつ まさあき)
自然科学研究機構 国立天文台 アルマプロジェクト/総合研究大学院大学 助教。東京大学大学院 理学系研究科 修了、博士(理学)。台湾中央研究院天文及天文物理研究所 博士後研究員を経て、2011年から現職。学生時代から星形成領域の電波観測を行い、現在はアルマ望遠鏡の広報を主な業務としている。
講演2:アルマで働く、アルマを動かす
アルマは、国際協力で進める世界最大規模の地上観測装置プロジェクトです。日々の運用の成果が、日進月歩の天文学に直結しています。国立天文台職員も、アルマ望遠鏡のあるチリ共和国にて観測運用に貢献しています。本講演では、インターナショナルな現場で日々奮闘する私たちの仕事の様子をお伝えするとともに、そこから生まれる科学成果、若手の育成、さらにはアルマの将来を紹介します。
高橋 智子(たかはし さとこ)
自然科学研究機構 国立天文台 チリ観測所/総合研究大学院大学 准教授、合同アルマ観測所。総合研究大学院大学 物理科学研究科 修了、博士(理学)。日本学術振興会 特別研究員、台湾中央研究院天文及天文物理研究所 博士後研究員、国立天文台 助教を経て、2020年より現職。2013年よりチリ共和国にある合同アルマ観測所にて観測運用に携わる。専門は星形成領域の観測的研究、電波天文学。
講演3:アルマ望遠鏡が追う星のヒナ誕生までの10万年
星の卵は、分子雲コアと呼ばれるガスが濃く集まった塊です。星の卵から赤ちゃん(ヒナ)が生まれるまでの成長時間は10万年以上と非常に長く、ヒナの時間はそれよりもずっと短いので、卵の成長を調べるには工夫が必要です。アルマ望遠鏡を使って分子雲コアをたくさん観測することにより、卵からヒナが誕生するまでの成長記録を描き出すことに成功しました。星の卵と誕生後間もないヒナの姿をお届けしたいと思います。
徳田 一起(とくだ かずき)
大阪府立大学 理学系研究科 客員研究員/国立天文台 アルマプロジェクト 特任研究員。大阪府立大学大学院 理学系研究科修了、博士(理学)。日本学術振興会 特別研究員を経て、2017年より現職。銀河系およびマゼラン雲の分子雲を観測し星誕生メカニズムの解明を目指している。大学院生時代は電波望遠鏡に搭載する装置の開発にも従事した。