2013年の新年を迎え、すべての有名サイトでNO1に輝いた当ブログ人気作品─新青春うたものがたりシリーズ『風のある町』─が、Googleサイトにおいて約115,000,000 件中1位を獲得するという大快挙を成し遂げました。それを記念して新シリーズとして─新青春うたものがたりシリーズ『風のある町』─を 再スタートさせて頂くことにしました。前回の連載同様どうぞよろしくお願い致します。
企画 / 下家 猪誠
作 / 猪 寿
第4話/ 愛の命を賭けた訴え
~私にはもう時間がないの・・・~
人にとって一番の 幸せってなんだろう
人にとって一番の やすらぎってなんだろう
ふとそう思って思い悩んだとき ふっと心の中に浮かんだのは
それは・・・いつも手を伸ばすと・・・ 真実の優しさや温もりにすぐ触れられる
家族や愛する人が いつもすぐ傍にいてくれることかも知れないと・・・・・
◎前回のあらすじ
大輝が、愛と再会し“風のある町”に帰って来てから、一ヶ月近くになろうとしていた。
だが悲しいことは、愛の「大空を飛んでみたい・・・」という彼への最後の頼みに対して、彼の彼女の望(願いごと)みをなんとしてでも叶えてあげたいという焦る気持ちとは裏腹に、まだ未だに何ひとつとしてそれに対する名案は見つかっていなかった。
ある日、大輝が偶然に町の本屋の前を通りかかった時に、彼の目に一冊の本が目に留まった。
それはスカイダイビングの本であった。
大輝は、「大空を飛んでみたい・・・」という、愛の望みを叶えてやるのは「これだ!」直感した。
しかし、それを実行に移すためにはふたつの大きな問題が、彼の前に立ちはだかった。
それは、スカイダイビングに掛かる大輝と愛の二人分の費用が、大学生の彼にとってはすぐには用意するのは難しい、大金の五十万円ほどかかることと、いくら愛の「大空を飛んでみたい・・・」という望みを叶えてあげるためだといっても、彼女の体調のことを考えると、おそらく彼女の家族や病院側がそれを許してくれないだろうという、現実の大きな壁だった。
大輝は、まずは第一の問題である金のことを、田舎の両親に電話をし理由を話して必死で頼んだが、父親に「大学生の分際で・・・」と怒鳴られたあっさりと断られた。
そうなると、頼みの綱はもうひとつしか残っていなかった。
それは、一番今回の事情を良く知っている愛の母親百合子に、直談判することだった。
大輝はそう決めると、居ても立ってもいられなくなりすべてのことを取り止めて、すぐに風のある町を出て夜行列車に飛び乗り、愛の実家がある東京の成城に向かった。
その時、愛に残された余命は、あとわずか四ヶ月あまりだった。
京都の寺などでよく見かける、日本庭園風の庭が窓ガラス越しに見える、二、三十畳はあろうかと思う応接間に通されると、例の大輝が愛の家を最初に訪問したときに会った、家政婦の吉田恵子がいかにも高級そうなコーヒーカップに入ったコーヒーと、モンブランケーキを持ってきてくれた。
さすがに当初は、大輝の突然の訪問に百合子も驚いていたが、彼と愛との真実の関係を一番良く知っている彼女は、彼の訪問を快く出迎えてくれた。
大輝には都合よく、愛の成城にある実家を訪ねると、着いたのがもう時間が午前十時を回っていたせいか、彼女の父親の泰三は会社に出掛けていなく、愛の母親である百合子が応対してくれた。
―ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン・・・・・―
「ところで亀梨さん、今日は突然連絡もなしに訪ねてくれるなんて、何かあったのですか?」
百合子は、大輝の不意の訪問を不思議がりそう尋ねた。
「実は、今日僕がお邪魔したのは、愛ちゃんの望みを叶えてあげたくて、ご相談に来たんです・・・」
「それに、すみませんが連絡をしないで来たのは、おそらく電話でその相談をすると、その時点で断られることが分かっていたからです・・・」
「愛の望み?」
『そうです。お母さんも一緒に病院に行ったときに聞いていたでしょう。愛ちゃんが僕に対して「大空を飛んでみたい・・・」と話していたことを・・・』
「ずっとあれから、愛ちゃんの望みをどうやったら叶えてあげられるかを考えていたのです・・・」
「そして、やっとその方法が見つかったのですが、今の僕の身分ではどうすることもできないのです・・・」
「その方法は、お母さんは知らないかも知りませんが、鳥や飛行機のように空を自由に飛ぶことが出来て遊覧飛行や空の散歩を楽しめる、スカイダイビングというものなのですが・・・」
「ですから、こうやってお母さんに相談に来たのです・・・」
「それってどういうことですか?」
百合子は、大輝の話をじっと黙って聞いていたが、彼の言っている事情がまったく呑み込めず、再び彼に問い返した。
「愛ちゃんの“大空を飛んでみたい・・・”という望みを叶えてあげるためには、僕なりに考えたところこの方法が一番いい方法ではないかと思うのですが、そのためにはふたつの大きな問題があって・・・」
「ふたつの大きな問題って?」
「そのひとつ目ですが、スカイダイビングを行うためには入会費や会費、受講料など必要で、僕と愛ちゃん二人分に費用を合わせると、僕のような貧乏学生の身分ではとても用意できない五十万円近くもの大金が必要であるということと・・・」
「そして、そのふたつ目ですが、愛ちゃんにそのスカイダイビングをやらせることを、お母さんたち家族や病院側が許して貰えるかということなんです・・・」
「・・・・・」
さすがに、大輝の話を聞き終えて事の真相を理解した百合子も、いくら愛の望みを叶えることだといっても、彼の唐突すぎる内容には頭の中が混乱して、どう返事していいのか判断がつかずに言葉に詰まった。
ただ、だんだんと落ち着きを取り戻し心の整理がつくと、自分の率直な思いを明確な口調で大輝に伝えた。
「亀梨さんには悪いけど、お金のことならともかく愛の病気のことを考えると、とてもスカイダイビングなんてやらせられないわ・・・」
大輝は、当初から反対されることは分かっていたとはいえ、百合子の言葉を聞いて愕然とした。
ただ、今ここで「はい、そうですか・・・」と引き下がってしまうと、愛が大輝に託した望みを彼女が生きている間に叶えてあげることはとても無理だという思いが、彼の心の中では強く働いていたので、彼は涙ながらに百合子に土下座して、何とかその返事を考え直してくれるように頼み込んだ。
さすがに、百合子もそんな大輝の姿を見ていると心を動かされ、しぶしぶ愛の父親である泰三や愛の主治医の堂本誠と交渉してくれることを承諾してくれた。
百合子が、泰三に連絡を取り大輝から聞いた話の内容を伝えると、当初は彼女と泰三が電話で話す姿を見ていると、かなり泰三は彼女に対して怒りをぶつけているようだったが、どうやら最後は彼女に説得されてしぶしぶ承諾したようで、愛が入院している病院の一階の受付の前で、会社の仕事が終わる午後七時に待ち合わせることになった。
そして、百合子は同時に緊急に相談したいことがあると言って、愛の主治医である堂本誠とも会う約束を取り付けてくれた。
大輝と百合子が、タクシーで病院に向かい病院に到着すると、約束の一階の受付の前で泰三が大柄な躰をイラつかせるように揺り動かしながら、彼の運転手の河本輝夫と一緒に待っていた。
「お前たち、遅いじゃないか・・・」
「すみません・・・」
まだ約束の時間の七時まで十五分も前だというのに、相変わらず泰三は横柄な態度で百合子に文句を言っていたが、さらに今回の大輝の計画には相当腹を立てているようで、彼が挨拶をしても彼とは一切口を聞こうとはしなかった。
愛が入院している七階の受付を尋ねると、百合子が連絡を入れていたこともあり、愛の主治医である堂本誠が待っていてくれて、診察室と隣接した場所にある入院患者や、その家族への病状の説明に使われるカンファレンス室を用意していてくれていた。
堂本は、百合子の話を聞いたとたん、「そんなこと、本気で言っていっているんですか?」と言い、あっさりと百合子の話を断った。
そして、その堂本の言葉に同調するかのように、その話を隣で聞いていた泰三が、「こんな馬鹿げたことで、俺まで呼び出すなんて・・・」と、吐き捨てるように言った。
「せ、先生なんとかお願いできませんか?愛ちゃんが僕に最後に託した望みなんです・・・」
「亀梨くん、君のようなド素人が何を言うのかね。だいいち、家族でもなんでもない他人の君が、先生にそんなことを話すなんて大変失礼ことなんだぞ・・・」
「まあ、まあ、そう怒らずに落ち着いてください。彼も彼なりに愛ちゃんのことを思って一生懸命やったことでしょうから・・・」
さすがの泰三も、愛の主治医である堂本には頭があがらないみたいで、ブツブツ口ごもって愚痴は零していたものの、大輝に対してそれ以上何かを言うことはなかった。
これでもう、愛の「大空を飛んでみたい・・・」という望みを叶えてあげることは、すべて絶たれてしまうことになった。
「せっかくお見えになったんだから、愛ちゃんの病室を寄って行ったらどうですか?」
堂本の勧めもあって、もう通常なら面会の時間はとっくに過ぎていたが、堂本が同行するという条件で病院側から許可を得て、三人は愛の病室に立ち寄ることにした。
大輝たちが愛の病室を訪ねると、彼女は病気の治療のための点滴を受けている最中だったが、すぐに大輝の姿に気がつくと満面の笑みを浮かべながらベッドから起き上がり、点滴用のスタンドを片方の空いている左手で押しながら、彼の方に向かって近寄って来た。
そして、大輝に分かるようにひと言ひと言ずつ大きく口を開いて、「今日は、何をしに来たの?」尋ねた。
大輝は、愛のその言葉の意味を理解すると、ショルダーバッグの中から以前に彼女と話した時と同じように大学ノートと取り出し、彼女の問い掛けに対して返事を書いた。
――今日は、君がこの前来た時に僕に話した「大空を飛んでみたい・・・」という、君の望みを叶えてあげたくて、君のお父さんやお母さんそれに主治医の堂本先生にお願いに来たんだけど、どうやら君の病気(体調)のことを考えると、とても難しいという結論になってしまって。だから、ごめんね。君の望みを叶えてあげられなくなって・・・――
その大輝が大学ノートに書いた文章を読んだとたん、愛は泣き狂ったように点滴用の器具を自らすべて取り外して床に投げ捨てると、無菌室の扉を勝手に開けて四人がいる病室の外に飛び出して来た。
そして、泰三や百合子や主治医の堂本の制する言葉にも耳も貸さずに、自ら四人の足元に跪いて床に顔を押し付け、大粒の涙をボロボロ零しながら大声で訴えた。
「お願い、私にはもう時間がないの・・・」
「それは、本当はパパやママもそうだけど、先生だって知っていることでしょう・・・」
「だから、私は自分の命と引き換えにしても、大輝との残こされた時間を少しでも大切にしたいし、自分の望みを叶えたいの・・・」
「ねえ、パパもママも先生も、私のそんな気持ちを分かってくれてもいいでしょう・・・」
さすがに、愛のその行動を目の当たりにしたら、どんなに頑固な泰三であろうと、心を動かされずにはいなかった。
もちろん、それは百合子も主治医の堂本も同じ思いだった。
渡部猛夫
◎プロフィール
職業:あおぞら整骨院院長
出身校:帝京医学技術専門学校
出身地・居住地:神奈川県横浜市
好きな言葉:心得
すべてに感謝し
生かされている自分は
人に感謝の念を持って施術に入る
電話:勤務先045-581-0715 携帯 080-4072-8306
ウェブサイト:http://www.facebook.com/l.php?u=http%3A%2F%2Faozora.jisseki.net%2F&h=ZAQDhfWU0
http://ameblo.jp/aonofujitora/
メールアドレス:aozorabs@gmail.com
◎紹介コメント
一言でいうと、とても魅力ある人間らしい方です。それは、誰に対してもこまやかな心遣いと愛情を持って接し、勇気(元気)や希望を与えられる方だからです。僕は、そんな渡部さんの人間としての、人柄の尺度の大きさが大好きです。
Happy New Year! 2013
お友だちのみなさん、新年明けましておめでとうございます。
今年は、新たな「日本の天地創造」の時だと思っています。
それに伴い、いよいよ僕自身も自らの人生の最終章に向かう年だと思っています。
そこで、これまで僕は僕自身がやり残したことを、すべては出来ませんが出来る限りやって行こうと決心しました。
その最後の答えが見つかるまでは試行錯誤すると思いますが、これまでのように絶対に自分を甘やかせないで生きることにしました。
ただ、やる目的は決まっていますので、後は自分自身の努力次第でそれが本物になるか、しょせん偽物で終わるのかが決まると思います。
つきましては、これまで以上にすべての物事に対して本気で立ち向かって行こうと思っていますので、お友だちのみなさんの中でぜひ僕に対してどんな小さなことでもいいですので、ご支援やご指導を頂ける方がいましたら、下記のメールアドレスまでどうぞご一報いただけますようよろしくお願い致します。
連絡先
m_ishizaka518@yahoo.co.jp
icchi0720@ybb.ne.jp
平成25年1月吉日
下家 猪誠
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クリエーター情報なし | |
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gooブログ「おとぎのお家と青い鳥」
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おもしろくて初めから読みふけっちゃいました。
オレもブログ始めようと思うので参考にしたいです。
内容は、最近感動したことなんですけど、
この前のバレンタインデーに
うまれてはじめてチョコもらいました!!(27年目にして初)
感動して、うまく気持ち表現できずに
「ありがとう」
ってぶっきらぼうな感じで言ってしまって…
でもその後、一つ食べた瞬間に言葉あふれてきて、
「おいしい」「ありがとう」を連呼しちゃってて。
最後にそのとき言うつもりじゃなかったのに
「つきあってほしい」
って言葉がもれて
その時の女の子が、今僕の彼女としてとなりにいます。
ブログを読ませていただきながらラブラブです。
すみません、初コメでこんな自分勝手な事かいてて
また一緒に遊びに来ます★
ちなみにオレ達のちょっと変わったキューピットは▼でした。
始まりが人と違うから合わない人に無理かもだけど、僕たちには最高の場所です♪http://exeair.net/doll/835