つづき。
私の父親は私と同業者であり、その職業に対する世間一般のイメージそのままに、極めて真面目で前例踏襲主義。
それでも、ついこの間まではあまり気にならなかった。
気になり始めたのは、母の死から。
まあ、俗な一言で言えばテンパっていて。テンパり過ぎ。
常に動き回って、ブツブツ独り言を言いながら、葬儀に纏わる段取りに没頭していた。
二言目には「◯◯しないとだめだ」
そう、こうあるべきという考えが強すぎる。
故人を送る儀礼はこうでなければ、と。
まともに飯も食わぬ。休みもせぬ。
誇張ではなく、一瞬たりともジッとしていなかった。
さすがに私はかなり強めに何度も窘めたし、そしてかなり意外なことにあの大人しき末弟が父親に対して罵倒するが如き諫言を口走っていた。
もどかしい。
故人に対する義理や隣近所に対する見栄にしか見えない父親の行動。
もっと楽に振る舞って良いはずなのだ。
令和のこの世の中、冠婚葬祭の伝統的因習を完遂しなかろうと誰も責めはしないだろうに。
しかしね、その一方でなんとなくわかる気がするのだよ。
じっとしていることが苦痛なのだよね。
唯一の伴侶、生涯を最期まで共にするはずだった妻を亡くした悲嘆は察するにあまりある。
とりあえず何かに没頭していれば、その間は辛いことを忘れることができるのだ。たぶん。
ロス、は続く。
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