浅田次郎「マンチュリアン・リポート」

2010年10月06日 21時50分37秒 | 巻十六 読書感想
蒼穹の昴・珍妃の井戸・中原の虹の続編。
ねたばれあり。

マンチュリアン・リポート
浅田 次郎
講談社


稀代の英雄・張作霖暗殺事件の真相を、
かのやんごとなき人から命じられ調査することになった一人の軍人。
彼の報告書の形をとっている作品。

しかも、非常に意外で興味深い視点だったのだが、
張作霖の「お召列車」の独り言が並行して綴られている。
この辺りは「中原」でも、清朝末期と黎明期の並行描写というのがあったが、
まさか「鉄の塊」に語らせるとは。参った。

調査報告書と機関車の独白が、
「事件」の瞬間に向かって微妙にシンクロしつつ集束していく。

史実はともかくとして、
浅田世界の張作霖は自分が逃避行の間に命を落とすであろうことを覚悟していた。
それは単に勘だけではなく、
冷徹なまでの客観情勢から嫌でも導き出されたものだろう。

それならなぜ、白虎張はあえて死地に突っ込んでいったのか。
もはやそれも天命、という諦念か。
運命という巨大な列車から、彼はついに逃げ出すことはなかった。

それにしても、浅田世界の張作霖はカッコよすぎる。
実際の写真で見るとどうもピンとこないのだが、
ここの世界ではもう文句なしのカリスマ性を帯びた主人公キャラ。
そいえば、張学良は今作に直接登場しなかったな。

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