![]() | ベルナルト=ハイティンク指揮,(旧)アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団, 同合唱団, リンツラー(独唱)このアイテムの詳細を見る |
「BABI YAR(バビ・ヤール)」は、旧ソ連キエフ近郊の地名。
第二次大戦中にこの谷で、
ナチスドイツにより数十万というユダヤ人らが虐殺されたとされている。
ショスタコーヴィチは、エフトゥシェンコの作詩したこの事件へのレクイエムを第一楽章にそえ、
同詩人のほかの詩も用いて、全5楽章の交響曲をつくった。
反ユダヤ主義という微妙な問題を扱ったが故にソ連当局ににらまれ、
歌詞の改定を余儀なくされた、問題作でもある。
ということでいかにも暗そうな曲だが、
実際暗い。
部屋を真っ暗にして聴くと怖い曲ベスト5には入る。
第四楽章のチューバを聴いてご覧?
おしっこちびるよ(笑)
(ショスタコ効果)
---------- キリトリ -----------
と、ここまで書いたのが
2006年の1月(一部改訂)。
2年近く「草稿」状態で寝かせた導入部。
このバビ・ヤール」は、
先日東京で生演奏を聴き、
自分の中での位置付けがより重要な曲となってきた。
今日なんか、
仕事中に口ずさんでいたのは
この「バビ・ヤール」と「祝典序曲」!
どっちもショスタコーヴィチ!
ちなみに「祝典」は着メロ使用中!!(笑)
---------- キリトリ -----------
15曲あるショスタコーヴィチ先生の交響曲の中で、
この第13番はもしや最高峰に位置する曲ではないかという気持ちが、
以前にも増して強くなってきている。
あ、好き嫌いとは別次元で。
好きなのはやっぱり第10だし。
何といっても、エフトゥシェンコの詩の内容。
反ユダヤ主義への糾弾という衣を着て、
実は社会に巣食う「俗物根性」や「長いものに巻かれろ主義」を突き刺す視線。
なにも、
全体主義的体制であったソ連社会への「一刺し」だけではない。
この我々が生きるリアルな社会のあり方に対する、
必要十分な「自己批判」ではないかと思うのだ。
ショスタコーヴィチのすごい所は、
それをあのソ連時代にカタチにしたことだ。
第13番交響曲として、実際に音にしたことだ。
恐らく、想像以上の困難と障害があったに違いない。
ショスタコを主に「政治」や「社会」の文脈で語ることの愚かさは承知の上で、
それでもなお、
いや、だからこそ
この「バビ・ヤール」は金字塔ではないかと思う。
---------- キリトリ -----------
…とかなんとか偉そうなことを言いながら、
13番の演奏をそんなに多く聴きまくってる訳じゃない。
そんな狭隘な経験の中で言わせてもらえれば、
冒頭で紹介したハイティンク盤は凄い。
背筋が凍る。
例えば、
コンドラシンやロジェストヴェンスキーも
ある意味凄みという点では勝っているかも知れない。
(そっちはそっちで好きだ。)
でも、
秀逸な録音状態も含めた印象として、
このハイティンク盤の鬼気迫り方は
まったく以って尋常ではない。
聴き終わっても決して爽快ではない。
終楽章の
取ってつけたような明るさがまた「鬱感」を誘う。
救いはどこにも無いんだよなあ。この曲。
少なくとも自分には、見出せない。
悲観主義者なのか?
社会主義リアリズム的には
失格者だ!
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