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ウクライナ危機PARTⅨ 映画で実感できる、狡猾で残忍なソ連・ロシアの侵略弾圧の手口

2022-06-03 17:35:40 | 軍事
●公開された2018年に観ていたら、ウクライナの身勝手なプロパガンダ映画、酷い映画だと世界中が批判しただろう。

2018年公開のウクライナ映画。日本語タイトル「バンデラス ウクライナの英雄」
原題「Позивний Бандерас」
(ウクライナ語:Pozyvnyy Banderas(発音:ポゼニー バンダーラス):コールサイン バンデーラス)

(アマゾン DVD)

もし筆者が2018年公開時にこの映画を観ていたら、次のような感想を抱いたと思う。
「そこまでロシアを悪者にするか」、「ウクライナも酷いプロパガンダ映画を作った」、「ちょっとやりすぎ」

だが2022年5月に観た筆者の感想はこうだ
「このような工作・手口でウクライナを貶めるための自作自演の襲撃を行い、親ロシア派住民を扇動して増やしていったのか」、
「ウクライナ軍に潜入したロシア工作員による暗殺、洗脳した占領村での獣心むき出しの兵士によるレイプ、住民虐殺の偽旗作戦、・・。米のレオン・パネッタ元CIA長官(のち国防長官にも就任)が非難した通り、プーチンは手段を選ばず、何でもあり」、
「プーチンは20年かけてロシア領土拡大の野望そしてチェチェン、グルジア、ウクライナ侵攻を画策。着々と布石していた。今回のウクライナ侵攻は予定路線」 

映画のストーリーは、アマゾンに出ていた「Oricon」データベースを借りると、
「2014年9月、ウクライナ東部のドネツク州。政府軍と親ロシアの分離派勢力による衝突が激化するヴェセレ村で、乗り合いバスが何者かに襲撃され多くの住民が死亡した。首謀者は村近くに駐屯する政府軍部隊に潜入しているとされるロシア人活動家ホドックと断定した軍上層部は、同村出身のアントン率いる特殊部隊を現場へ派遣した。ホドックの目的は、次の休戦会議を混乱に陥れることだった…。」

別のまとめ方をすると
ロシアのFSB、GRUなどの扇動工作の後押しで親ロ・分離独立派ウクライナ人部隊に占領された同国ドネツク州ヴェセレ村。ウクライナ軍と分離独立派部隊は休戦状態で対峙。ロシア側が仕掛ける偽旗作戦による襲撃は、ウクライナ軍の仕業とされ、村人のウクライナ軍への感情は悪化。さらに対峙するウクライナ軍内でも暗殺が発生。事態を重視したSBU(ウクライナ保安庁)は、同村出身で凄腕のスパイ、アントン・サエンコ大尉(オレグ・シュルガ)率いる特殊部隊を派遣し、ロシア側のスパイを捜索・追跡するが、やがて大きなロシアの野望が・・。

ロシアの侵略の手口が、「そういうことか!」と腑に落ちる戦場スパイ・アクション!ウクライナ軍も協力した戦闘シーンは圧巻。現状のロシアの無差別砲撃を再現しているかのようで見ごたえあり!


●バンデラスは実在した「ウクライナの英雄」。だがスターリン・プーチンは「ナチの手先・ロシアの敵」として侵略の口実に

映画の主人公のアントン・サエンコ大尉のあだ名が「バンデラス」。映画の中で主人公のアントン・サエンコがアントニオ・バンデラスに似ているからというセリフがある。しかし筆者には似ているようには見えなかった。「コールサイン、バンデラス」というタイトルに、クリミヤを強奪したロシアの暴挙に対する映画製作者の悔しい思い、「バンデラスよ、再び」の願いが込められたタイトルである。


ステパーン・バンデラスは1909年1月1日生まれ、西ウクライナ出身。(Wiki)

<蹂躙され続けた民族独立の歴史>

1917年 ロシア革命。帝政ロシア崩壊。社会主義革命と労働者階級独裁を標榜しボリシェビキが台頭。
 〃   ポーランドとロシア帝国により分割されていたウクライナもウクライナ人民共和国を宣言するが・・。
1919-1921年 ポーランド・ソ連戦争で、再びウクライナ西部をポーランド、東部をボリシェビキ赤軍が支配。
1922年 ソ連邦成立。ロシア共産党書記長にレーニン就任。
1924年 レーニン死去。トロッキーとの権力闘争を制し、スターリンが党書記長に

<コールサイン バンデラス>

1928年 バンデラス19才 UVO(ウクライナ軍事組織)参加。
1929年 20才 OCN(ウクライナ民族主義者組織)参加。
1932-1933年 スターリンによるホロモドール(飢餓ジェノサイド)で数百万人が餓死
1933年 24才 OCN幹事長に就任。
1936年 27才 ポーランド共和国・内務大臣暗殺事件への関与疑いで死刑判決。(のち終身刑に減刑)
1939年 30才 WWⅡ、ナチス・ドイツ軍がポーランド第二共和国を崩壊させ、バンデラス解放される。
1941年 32才 バンデラス、OCN総裁に就任。ウクライナ東部を支配していたソ連。「ソ連からの解放軍」と早合点し、独ソ戦にはドイツ側を支持。
このことがソ連・ロシア側から見た「ナチの手先・ロシアの敵」の視点の理由。
だがバンデラスが「ウクライナ国家再生宣言」を発表すると、ドイツ占領軍に逮捕され、ザクセンハウゼン強制収容所に送致され、ソ連とドイツ両方と闘う象徴となった

1944年秋 35才 獄中のバンデラスに、敗戦濃くなったドイツ側から反ソ連武力闘争を提案されたが、協力を拒否
1945年  36才 ドイツ降伏により連合軍により解放されたバンデラスはソ連占領下のウクライナへ戻れず、ドイツ南部に移住。
1952年  43才 OCNからは離れたが、ソ連軍に抵抗していたウクライナ蜂起軍とは連携していた
1959年  50才 西ドイツ・ミュンヘンでソ連KGBのスパイ(西ウクライナ人)により毒殺された。


<ソ連下のロシア化教育を受けたウクライナ人にもファシストとして教えていた>

バンデラスはウクライナ民族主義運動のリーダーで象徴、生涯をウクライナ独立に捧げた人物である。1991年のソ連崩壊まで、ソ連は反ソ運動を後押ししたバンデラスを「ファシスト」、「ソ連の敵」と位置づけ、歴史教育を行ってきた。
ソ連が崩壊した1991年以降、ウクライナ共和国として独立したことで、バンデラスを「ウクライナの英雄」として評価する機運が広まった。反ソ連的言動が罪に問われなくなったからだ。

彼の銅像は、西ウクライナ・テルノーピリのタラスシェフチェンコ(ウクライナの詩人、画家)公園東側に立像されている。また各地に「Stepana Bandery Ave」と「通り」の名前にも付けられている。マンションやレストランにも冠されているところもある。




●スターリンによる飢餓ジェノサイド、残酷なホロモドールを描いた映画。耐えきれない空腹で自分の息子を食った。

2019年公開のポーランド・ウクライナ・英国の合作映画。
日本語タイトル「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」
英語原題「Mr.Jones」


(アマゾン DVD)

英語原題の「Mr.Jones」は、当時ソ連により封鎖されていたウクライナに潜入し、この人為的な飢餓虐殺を目の当たりにした、実在の人物、ガレス・ジョーンズ(英国人ジャーナリスト)を指している。

この映画をより理解するためには、スターリンが世界を欺いて恐怖のペテンを行ったことを知る必要がある。目標達成には手段を択ばず、多くの人命が失われることも厭わない。プーチンと同根の身勝手な残虐性が存在していたことを知る必要がある。

過去記事「ウクライナ危機PARTⅣ 殺戮者プーチンを生んだ国。キエフ大公国→ロシア帝国→モスクワ・クレムリン→スターリン」でもスターリンについて詳述したが、もう一度概括してみよう。


レーニン死後、その後釜に座ったスターリンは全権力を掌握し、独裁を確固たるものにするため、政敵、官僚、逆らう国民を容赦なく粛清した。そして国家目的(農業・工業の中央集権化)を達成するためには、どのような非道なことをしても許されるとした。
ソ連崩壊で、グラスノスチ(情報公開)によって公開された文書からスターリンの恐怖の語録や世界観、人物像がわかってきた。
「1人の死は悲劇だが、数百万人の死は統計だ」、「人は誰でも怯えて生きている(だから怯えさせれば人を支配し言いなりにできる)」、「猜疑心が強く用心深い男」。

公開文書からの推計では、粛正した人の数は約4000万人にも上り、ロシア史上の戦死者を全部合わせても、スターリンが虐殺した人の数には及ばないとも。その恐怖を与えるための暴力装置として、秘密警察(NKVD:エヌカーヴェーデー、のちのKGB)を創設した。

(ヒストリーCH「ヨシフ・スターリン」)



<さてここから映画関連の話>

1929年、NYウォール街の株価大暴落から始まった世界大恐慌。だがモスクワだけは例外で繁栄を謳歌していた。スターリンはソ連の工業化を進めるため海外資本の呼び込みが必要だった。そこで世界に向けて共産主義国家の誕生と成功を宣伝するプロパガンダをマスコミに流すことにした。各国から有名な新聞記者やジャーナリストらを招来し、酒・女で篭絡させ、スターリンが言う通りの記事を書かせ発信させた。
当時のプロパガンダ映画の1つ、「The song of THE HARVESTERS OF THE UKURAINE(ウクライナの収穫者たちの歌)」の映像では、ウクライナから豊富な「穀物を積んだモスクワ行きの貨物車両は黄金の流れのようです」と強調している。

だが主人公の英国人ジャーナリスト、ガレス・ジョーンズはそれを疑った。ソ連の監視官の目を逃れウクライナに潜入したジョーンズが見た光景は、想像を絶する飢餓地獄だった。

(映画「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」)




ウクライナ危機PARTⅧ パスパルティザッツヤ(ロシア人になるか、それとも強制移住か) ヘルソン市

2022-05-01 16:26:09 | 軍事
●頑強なウクライナの町 ヘルソン

2022年4月25日 ヘルソン市議会がロシア軍に占拠された。イーホル・コリハイエフ市長はロシア軍から一方的に解任された。ロシアの狙いはロシア軍の監視・占領下で行われる「住民投票」による「ヘルソン人民共和国」の独立宣言である。

ヘルソンはロシアの次の軍事目標であるオデーサやモルドバへの侵攻に欠かせない補給兵站都市として、またクリミヤを「ヘルソン人民共和国」に併合するための都市として、さらに不足する兵士の供給都市としての価値があり、マリウポリのように焼野原にするわけにはいかない。

だが市民や市・州議会の激しい反対デモにより、4月27日に予定されていた「住民投票」が延期されている。

日経新聞2022.4.27


ロシアから一方的に解任されたコリハイエフ市長は、はやい段階からロシア侵攻を受けてその暴挙を非難し、いかなる侵略者にもヘルソンは屈しない決意を持っていた。そして第二次世界大戦時にナチス占領からの「ヘルソン解放記念日」である2022年3月13日に
ヘルソン市は常に頑強なウクライナの町
と題してSNSに発信した。

UKRINFORM 2022.3.13(ウクライナのマルチメディア報道プラットフォーム)


手を焼いたロシアは、FSBやロシア軍による強制圧力でまずヘルソンの中枢、市長、知事、州議会議員を親ロシア派の人間に入れ替えることにした。
親ロシア派議員で新ヘルソン市長のキリロ・ストレモウソウらが実行支配する「ヘルソン人民共和国」政権は、「許可のない集会に対する制裁と制限」についての文書が発行されており、反対デモを弾圧するための一方的な公的根拠を流布させている。



●プーチンのウクライナ人奴隷化計画小説「паспортизация(パスパルティザッツヤ)」

Passportization>Wiki:パスポータイゼーション

ウクライナなどの他国民にロシアのパスポートを与えてロシア市民として扱うこと。
他国で圧政に苦しむムロシア人を保護・解放するためにというロシア侵攻の理由付けに利用される。
2014年のクリミア侵攻の以前からFSBを中心にクリミヤの親ロシア系ウクライナ人に発行していた。
また2019年7月にはウクライナ東部のドネツク、ルガンスクの両州の住民に対してもパスポート発給を始めていた。

(日経新聞2019.7.18)


この方法はウクライナだけでなく、ジョージア、モルドバその他でも行われていた、あるいはこれからも他国で行われるかもしれないロシアによる侵略行為の一環である。


<ヘルソン脱出>

集団住宅 ヘルソン市。
隣人のミコラ・プリシェフがあわてた様子でスラバの部屋に入ってきた。
「おい、市議会がロシアに占拠されたぞ!」
「そんな話はTVではやっていないぞ」おっとりした口調でスラバが答えた。
「当たり前だ。TVも既に占拠されていてロシア寄りのフェイク・ニュースだらけだ。本当のことを知りたいなら、ラジオやネット配信のススピーリネ(ウクライナの公共放送、日本のNHKに該当)を視聴しろ」
そうしようかとスラバはまだ落ち着いた様子だった。いら立つミコラが訴えるように言った。
「そんなのんきなことを言っている場合じゃない!俺はこれからヘルソンを出る。車にはまだ乗れるので、一緒に行こう!」
「行くって、どこへ?」
「とりあえず北東のクリビーリフを目指す。ススピーリネの放送ではまだロシアに占領されていなくて、多くのヘルソン脱出者が殺到しているようだ」
「クリビーリフといえばゼレンスキー大統領の故郷だな。遠いな。車で3時間はかかるだろ」
「車は途中までしか使えない。既にロシアの検問所があっちこっちにできているそうだ。検問所を避け徒歩で行くしかない。ウクライナ軍も脱出に手を貸してくれている様子だ。荷物は徒歩での脱出を考えて最小限の手荷物だけだ。とにかく急げ!」
スラバはミコラの急な脱出話に戸惑った。家も家財もすべてを捨てて、行ったこともないクリビーリフへ行こうという。糖尿病の持病を持つ妻アナスタシャも行きたくないと反対するだろう。息子のユーリイも仕事を捨てて無職になってしまう。独り身のミコラのように自由に動ける者とは状況があまりにも違いすぎる。
「急には無理だ、ミコラ。申し出には感謝するが、すぐに結論は出せない。家族とも相談して、もう少し様子を見たい」
「ブチャの虐殺を前にも話しただろう。TVしか見ないあんたは半信半疑だったが。助かってもプーチンの奴隷にされるだけだ」それでもスラバは決心がつかない様子だった。ミコラは説得をあきらめた。
「仕方がない。俺はもう行くよ。俺の部屋の鍵を渡す。自由に使ってくれ。元気でな」
「あんたも気を付けて」2人はハグをして別れた。

<パスパルティザッツヤ=Passportization>

ヘルソン市役所内。
長い事務机が5台並べられていた。各机には分厚い数冊のバインダーファイルとパソコンが載っていてロシア人とウクライナ人の事務職員がペアで椅子に座っている。各机の前には5列のヘルソン市民たちが長蛇を成していた。四隅には銃を持ったロシア兵が監視していた。
「はい、次」受付を終了し事務机の前に座っていた老婆が椅子を立った。受付を担当していたロシア人が列に向かって言った。
列に並んでいたスラバ一家3人が事務机の前に進み出て簡素なパイプ椅子に腰かけた。
「名前は?」ロシア人の問いに、スラバ・クリヴォフ、妻のアナスタシャ、息子のユーリイと答えた。
ロシア人は隣のウクライナ人事務職員に目で促した。彼女はパソコンを操作した後、バインダーファイルの束と格闘し該当するページを見つけロシア人の前に差し出した。ロシア人はそのページを黙読した。そのあと3枚の書類をスラバの前に差し出した。
「そこにサインしなさい」書類はロシア語で書かれていた。同じキリル文字で書かれているがウクライナ語と若干の違いがある。
スラバは55歳。1991年のウクライナ独立までのソ連邦時代をロシア語で過ごさざるを得ず、独立後は公用語となったウクライナ語に慣れてきた。23歳の息子は最初からウクライナ語教育を受けていたので、ロシア語、ポーランド語も読み書きできる。
書類を読んだスラバがロシア人に訊いた。「ロシアのパスポートを発給してもらえるんですか?」ロシア人がダーと答えた。
「貧乏なのでロシアに旅行する機会は今後ともないと思いますので、あまり必要とは思えないのですが」スラバはロシアの企みが分からないので、警戒しながら注意深くサインを拒否しようとした。
「ヘルソン人民共和国で自由に暮らすにはこのパスポートが必要です。身分証明書ですから常に携帯するように。あなたの今の立場は外国人です。今後は共和国の行政サービスを受けられなくなりますよ。きつい言い方をすると、あなたは共和国の資産である集団住宅に不法に許可なく住んでいることになる」
「そんなバカな!」ロシア人の顔に不快感があらわになったのを見て取ったスラバは、声を荒げてしまったことに後悔して謝った。「すみません。動揺してしまいました。乱暴な言葉を使ったことを謝罪します」ロシア人は表情を和らげた。
スラバは妻と息子と小声で話し合い、3人ともにサインすることにした。

<徴兵義務>

サインが終了し、3人が椅子から立ち上がり帰ろうとした。ロシア人が言った。
「あなたと息子さんはあちらの部屋に行ってください。奥さんは帰ってもいいです」
不審がるスラバと息子のユーリイは指示された小部屋に入った。事務机が1台と私服と軍服のロシア人2人が椅子に座っていた。ロシア軍兵士が1人、小部屋のドアにいた。
促された2人は机の前のパイプ椅子に座った。
軍服を着たロシア人が2枚の書類を2人の前に差し出して言った。
「あなたたちはこれから軍務についてもらいます。そのための宣誓書です」
「ロシア軍に参加しろというのですか!」予想もしない展開に驚いた2人が同時に問い返した。
「すぐに戦闘に参加するわけではない」軍服が平然と答えた。「軍職も幅広い。軍勤務中の態度で戦場勤務になるものもいる。ロシアへの愛国心が評価基準となって決められる」脅しだった。
「息子さん、ユーリイ君だったね。23歳、IT会社勤務。ウクライナ国立工科大学、情報学およびコンピュター工学部卒。立派な履歴と学歴じゃないか」私服が懐柔するような口調で褒め始めた。目つきが鋭く嫌な雰囲気が漂う男だ。FSB(ロシア連邦保安庁)かもしれないとユーリイは感じた。
「今ここで私が断言できる立場ではないが、ユーリイ君の能力ならロシア対外情報庁(SVR)勤務が有力勤務地となると思う。兵士として戦場に出ることはないだろう」私服は目を通していた書類を机上に置いた。おそらくスラバとユーリイの経歴が書かれた書類だろう。ロシア人2人はサインを促すような表情で沈黙した。
スラバとユーリイは互いに目を合わせたが何もせずにいた。2人の沈黙を破るように私服が言った。
「君たちは先ほどロシア国籍を取得する書類にサインした。ロシア連邦法を順守すると誓ったのだ。この宣誓書にサインをしないなら、ロシア連邦法によって処罰されることになる」最後通牒だ。
「どうなるのですか?」不安と恐怖を押し殺してスラバが訊いた。
「君たちはサハリンやシベリアに行ったことは?」薄ら笑い浮かべながら私服が訊いてきた。2人は黙ったままだ。
「ロシアは今、ウクライナのネオナチ勢力との戦いに全力をあげている。愛国心のあるロシア人ならこの正義の闘いに微力でも奉仕しなければならない。傍観は許されない」ロシア僻地での強制移住と強制労働をほのめかしているのだ。

スラバはヘルソン脱出を決意したミコラが正しかったことを実感した。そしてその言葉を思い出した。「プーチンの奴隷にされる」

<フィルターキャンプ>

ヘルソン市庁舎 食堂、午後10時。
アレクサンドル・ゴロノフは今日の疲れるパスパルティザッツヤ勤務の監督を終了して部下と一緒にネミロフ(ウォッカ)を飲んでいた。ヘルソン市庁舎の諸部署に置いてあったウクライナ産の酒を一方的に接収したものだ。ゴロノフはFSBの軍事動員課からヘルソンへ派遣された監督官だった。酔っぱらった部下が威勢のいい口調でゴロノフに訊ねた。
「パスポートを発給したウクライナ野郎はほとんどが反抗的でした。ゴロノフ主任、なぜそんな連中に甘い顔をするんですか?さっさと強制移住させればいいのに。疲れるだけですよ」
別の部下も同調して言った。「そうですよ。反抗的な奴らは面従腹背でいずれ反旗を翻しますよ。そんな奴らは強制移住させ、本当にロシアに忠誠心を持つ人間にだけパスポートを発給すべきだと私は思います。そうすれば安定的なヘルソン統治ができますよ。間違いなく」
ゴロノフは部下たちの愚痴を笑いながら受け流していた。しかしゴロノフも相当酔っていた。部下が知らない情報をゴロノフは知っていた。迷いがあったが、酔いが優越感を後押しした。
「お前たちは知らないと思うが、フィルターキャンプを知っているか?」部下たちは誰も知らなかった。
「マリウポリ、ハリコフなどの都市から連行したウクライナ人が送られるところだ。そこで思想信条をフィルターにかけるんだ。親ロシア派の人間かどうかを判別する。当然反ロシア的な奴らはシベリアなどへ強制移住させる。ところがチェチェンの連中やフィルターキャンプの意味を理解していない部署の者に選別を任せたら、奴ら反ロシアのウクライナ市民を平気で殺している」

(読売新聞 2022.5.4)


そこでゴロノフが一息ついた。また少し迷いがでた。これ以上話していいかどうか。だが部下たちはゴロノフの話の続きを待っている。仕方がない、教えてやろう。ネミロフはもう一杯煽って言った。

「実は親ロシアに転ぶウクライナ人が少なかったのだ。上の連中が当初予想して見積もっていた数をかなり下回っているのだ」部下たちにも意外な話だった。今回の作戦はウクライナのネオナチ化を防ぐ軍事作戦で、多くのウクライナ人から解放作戦を喜んで歓迎されると思い込んでいたのだ。
「ヘルソンにきて分かったのだが、当初のやり方で反抗的な連中を全員強制移住させて、フィルターキャンプで選別された親ロシア派住民をヘルソン市民として移住させたら、どうなるか。スカスカの過疎都市になることが分かったんだ」
部下に知らせてはいけないことだった。まずい。念押しをしておかないと。
「このことはここだけの話だ。お前たちの毎日の大量パスポート発給の苦労がわかっているので事情を説明した。終わりの見えない退屈な繰り返し作業だが大事な仕事だと分かってもらいたい。わかったな」部下たちは生返事を返すだけだった。

部下たちもウクライナが頑強に抵抗することが不思議だったが、その理由がわかり始めた。




ウクライナ危機PARTⅦ プーチンの脇腹へCIAが攻撃開始。2人の娘の情報公開でプーチン激怒。

2022-04-10 09:51:00 | 軍事
●CIAがプーチンへ嫌がらせ。娘2人はこれで永久にロシアから出られなくなった。

2022年4月06日、米ホワイトハウスがロシアへの追加制裁として、ロシア最大手のズベルバンク銀行などへの米国内の資産凍結、取引停止を発表した。その際プーチンの娘2人と元妻やラブロフ外相の妻と娘らの資産凍結も発表した。米側の理由として、「プーチン氏の資産の多くは家族によって隠されている」と説明した。

だが普段の報道と違うのは、プーチンの娘二人の顔写真や動画、名前、経歴が詳しく報道されたことだ

海外の報道もネット記事もラブロフ外相の娘や妻の顔写真はおろか名前すら報道していない。米側はプーチンの隠れた資産凍結が主な理由としているが、これは表向きの理由でプーチンが最も恐れていることは2人の娘の情報が公開されることだと知っているからだ。プーチンは2人の娘の情報を公開したものを刑事罰に処するよう厳命していた。
プーチンも娘2人も互いに親子であることを公言することを頑なに避けていた。

(FNNプライムオンライン2022.4.7)



●初の大統領選(2000.5)で落選したら、「1つのことだけ考えた。子供をどこに隠す?」

筆者の過去記事「ウクライナ危機PARTⅤ われはロシアなり プーチンを剥ぐ」でも書いたように、プーチンが最も恐れていたのは、権力を失ったときに護衛が無くなり無防備になってこれまでのプーチンの悪行に対する復讐が子供に及ぶことだった。

2015年7月、クレムリンにおいて米・映画監督オリバー・ストーンがプーチン大統領に単独インタビュー(ナショナルジオグラフィックCH)したときに最も恐れを抱いていたことを吐露した。

初めて大統領選に出ることに不安や躊躇があったことをほのめかした。なぜか?
プーチンは次のように説明した。

官僚を続けていけるのか、解雇されるのかもわからなかった

エリツィンはプーチンを「大統領代行にする」と言っているのに、なぜ「解雇されるかもしれない」という話がでてくるのか?
これは「大統領にする」という話ではないからだ。エリツィンから大統領代行に指名されても大統領選で負ければ、無職となる。つまり解雇されたのと同じだ。悪行の数々をしてきて多くの人から恨みを買ってきたプーチンにとって、ただの人になることは恐怖だったのだろう。そして次の発言でそれがはっきりした。

私は1つのこと考えていた。“子供たちをどこに隠す?
なぜ?とストーンが問い返す。
考えてみてくれ。私が解任されたら護衛が外される。どうやって生きていく?どう家族を守る?

(ナショナルジオグラフィックCH「プーチン大統領が語る世界」から)


CIAはプーチンの脇腹、アキレス腱を知っていたのだろう。だがプーチンの暴走を止めるには、権力を剥奪するか、弱点を突いて止めさせるしかない。
もし残虐で手段を選ばないFSB(ロシア連邦保安庁)が反逆しプーチンを失脚させたいなら、2人の娘を拉致して体の一部をプーチンに送りつけ辞任を迫るかもしれない。
だがそこまでの非道な手段が取れないCIAは、いままで秘密のベールに隠されていた2人の娘の情報、特に顔写真や名前、経歴を公開してプーチンの不安を煽ることにしたのだろう。

下記記事は7年ほど前のNewsweek(2015.7.22)記事。

「プーチン大統領の娘と噂される女性が、まだ若いのに名門モスクワ大学で4つのポストに就いているらしい・・大学の副学長代理にも就任し、・・モスクワ大学からはコメントを得られず・・大統領報道官もカテリーナ・チホノワなる人物は知らないと政府関与を否定・・」チホノワはプーチンの義母の旧姓。

つまりこれまでは大統領の権力で娘まで特権に浴していたが、娘かどうか不明だったので公平・公正かの追求ができなかった。「やはりプーチンの娘だったか!」と世間に知れわたると権力の私物化や泥棒政治(クレプトクラシー)の仲間という目で見られるようになる。
中にはプーチンによって、暗殺・毒殺・射殺・不明の事故などで殺された遺族や政敵の復讐の標的になる可能性も出てくる。

2人の娘、マリア・ボロンツォワ氏(姉37歳)とカテリーナ・チホノワ氏(妹36歳)は、今後の行動を大きく制限されるだろう。殺戮者プーチンの娘と顔が知れてしまっては海外に出かけることは大いに難しくなる。特にウクライナに観光に行くことはやめたほうがいい。親日家で日本が好きらしいが、日本人はもうあなた方を受け入れない。
父親のプーチンは常にマッチョなロシアの男を演出していたが、案外神経質のようだ。ロシアの平均年齢は68歳、プーチンは今年の10月で70歳。多分今回のウクライナ侵攻は相当のストレスとなり寿命を縮めることになるだろう。

ソ連邦の人民約4000万人を粛正したスターリンは74歳で死亡。プーチンはスターリンほど独裁環境がよくないのでそこまで生きられるかどうか。プーチン亡き後、そこから娘や孫の地獄が始まるだろう。

(Newsweek2015.7.22)



●ポリティック・スリラー小説「プーチンの弱い裏口」

ウクライナの首都キエフにあるウクライナ大統領府から北西に約1.3kmのところに、キエフ大公国時代の中央門だった黄金の門がそびえ立っている。赤いレンガ2段の城壁門の上に教会が建てられている。そこからさらに約2km北西に行くと通りに面したアメリカ大使館がある。その3階建ての一角をCIAキエフ支局が占めていた。
格付けではCIAモスクワ支局の方が上だが、諜報活動では監視・妨害の多いモスクワよりキエフ支局の方がより成果を上げていた。

攻囲していたロシア軍が北に撤退したためキエフ市街地への攻撃の危険度は下がってきた。街は少しづつ平常状態に復帰しつつあった。CIAケースオフィサーのジョン・アンデルセンは米本土からの支援兵器、特攻ドローンのスウィッチブレード、対戦車ミサイル・ジャベリン、対空ミサイル・スティンガーなどをウクライナ軍へ配布する支給リスト調整に忙殺されていた。

大使館には元米軍所属の「義勇兵」も多く出入りしていた。彼らは、形式上は米軍を「除隊」していた。志願して除隊し義勇兵となりウクライナに入りウクライナ軍の支援をしていた。民兵、義勇兵らの軍事訓練、対地対空携帯火器の取り扱い要領、偵察用カメラの設置など多岐にわたっていた。中にはスペシャル・フォースの中でも特に優秀と言われているフォースリーコン(米海兵隊偵察部隊)隊員やレンジャー隊員もいて、DoD(米国防総省)やSOCOM(特殊作戦軍)から大使館付きになった上級職員が彼らとの連絡調整に当たっていた。DoDやSOCOMの連絡官との調整もジョンの任務の1つだった。

<COVERT OPS:Backdoor>秘密作戦:バックドア

大使館前のシコルスキー通りに1台の泥だらけでおまけに傷だらけのトヨタマークのSUVが止まった。中から薄汚れたジャンパーを引っかけ、痩せて背の高い無精ひげを生やした白人の男性が下りてきた。キエフ支局長のフィリップ・パークス、私の上司だ。鉄格子前の歩哨に身分証を見せて中に大股で入ってきた。
「ジョン、準備はどうだ?」
「見ての通り、不足していたパソコン、タブレット、通信機、モニター、ケーブル、アンテナは揃いました。椅子、テーブルなどは大使館の余っていた備品をかき集めて間に合わせました」
「OK!それでは開店できるのだな」支局長は嬉しそうに両手を合わせこすった。
「残念ながら発電機が到着していません」キエフ市内のインフラ電源はいまだ不安定だった。
「なんてこった!」支局長が汚い言葉を吐きながら天を仰いだ。
「先ほどリビウの仮補給処に催促しました。明日やって来る義勇兵がほかの物資と一緒に持ってくるそうです」
「まあいいだろう。そうだ、ジョン。お前のプラン「バックドア」にラングレー(CIA本部)からGOサイン許可がでたぞ。北部の惨状視察ですっかり忘れていた」
「そりゃいい!で、いつから始めればいいですか?」
「開始時期はお前が決めろ。金もかからずプーチンにストレスが加えられるならいつでもいいだろう」
「了解、ボス。すぐ始めます。ところで北の様子はそんなに酷い状況だったのですか?」
「ああ、ウクライナ軍の将校とSBU(ウクライナ保安庁)職員たちの査察チームに同行して、ブチャ、ボロディアンカ、ホストメリを回ったが、ウクライナの連中は全員が激怒していた。中には涙を流す者もいた」
「ひどいですね」
「ロシア野郎は本物のクソだ!何とかしないと」

(グーグルMAP)



<CIA→アセット→ツイッターバード>

<CIA>

工作が失敗したときに敵が元を辿れないように仲介役のようなワン・クッションを置くのは常識であった。「区画化」の1つだ。ジョンはハンドラー(調教師)としてアクセス・エージェント(仲介役)にメールを送った。
「バックドアが開いた」

<アセット>
仲介役のアセット(資産)はハンドラーと直接会ったことはない。これまでハンドラーからの依頼で簡単な仕事をしていて、そのたびにキチッと報酬が支払われてきたのでハンドラーを信頼していた。
メールを見たアセットは以前に受け取っていたキーを入力し、暗号化された添付ファイルを開いた。簡単な文でクラウド・ファイルのURL、解読キー、操作手順が書かれていた。アセットはクラウド・ファイルをダウンロードした。ダウンロードと同時に原本のクラウド・ファイルは削除された。クラウドを設定したアカウントも削除された。ファイルをじっくり読んだアセットはテレワーク・アプリを起動し、ファイルにあったツイッターバードに「ビジネス依頼」のメールを手順に従い送信した。

<アセットとツイッターバード>
ツイッターバードはビジネス依頼メールに添付されたURLをクリックし、通話アプリを起動した。
「ビジネスの内容は?何をしてほしい?」ツイッターバードは警戒しながら単刀直入に訊いた。メールには安全な紹介先が示されていたが、初めから信頼するわけにはいかない。
「あんたに買ってほしいファイルが2つある。そのファイルをうまく使って売れば買った値段の何倍にもなるだろう。リスクは少しあるが」
「リスクのない儲け話はおいしくないか、やる価値のないものと昔から決まっている。問題はリスクの大きさだ」
「そうだな。よろしい、1つ目のファイルはプーチンの娘、孫、隠し子らの最新情報だ。名前、住んでいる住所、警護チームの情報、最近の行動などだ」
「おい、まさか俺に殺しや誘拐をやれと言うつもりじゃないだろうな!」声から動揺が伝わってきた。
「そんなつもりはない。あんたの取り扱いリストに殺しや誘拐がないことは承知している」逃げないでくれよ。「もう1つのファイルはプーチンに恨みを持っているオリガルヒなどの情報だ。名前、連絡ルート、プーチンから受けた被害などの情報が載っている」
「なるほど」利にさといツイッターバードがニヤリと笑ったような雰囲気が声から感じられた。「オリガルヒたちに娘たちの情報を売れということか」ご名答!アセットは声には出さなかった。
「いくらだ?オリガルヒの人数は?」値段と人数を答えるとしばらく沈黙があった
「よし買おう」
「もう1つ条件がある」なんだ?とツイッターバードが問い返したので「プーチンに娘たちの情報をオリガルヒらに売ることを事前に知らせること」
「必須条件か?」そうだとアセットが答えた。
「俺は絶対に約束を守ることをビジネスルールの1番目にしている。だが例えばの話だが、うっかり忘れる場合もある。ファイルを買ってオリガルヒらに売ったが、プーチンに伝えることを忘れていた場合、どうなる?」
「プーチンにこの話をすれば、娘や孫たちの警備が強化されたり、住所が変更されたり彼女らの周辺環境に変化が起きる。あんたがファイルを買って2週間以内に環境変化がなければ、あんたがファイルを買ったことをプーチンに知らせる」
「わかった。俺はうっかり忘れたりすることはない。記憶は素晴らしく良いほうだ」アセットは笑いながら「わかっている」と答えた。


<ロシア、秘密の地下壕>
「大統領閣下、お嬢様から至急のお電話がありました。どうしても伝えておいてほしいと仰っておりました」大統領秘書官がインターホンで伝えてきた。
「なんだ?」プーチンがイライラした声で訊ねた。戦況も欧米の経済制裁も国内の反戦空気も何もかも頭にくる報告ばかりだった。
「メールを受け取っております。見ればわかると仰っておりました。お手元のアドレスに転送いたしましょうか?」
「転送しろ」嫌な予感がして胃が痛い。娘たちには余程のことがない限り連絡しないよう厳命していた。今は娘たちより孫たちのほうが可愛い。一番上の孫はもう小学校の上級生だ。大きな病気にでも罹ったのか?

プーチンは転送されてきた娘からのメールを開いた。
「パパ、助けて。何とかしてほしいの。誰か知らないけど脅迫文が届いたの。このメールに添付してあるから見て。私たちのことを詳しく調べてあるわ。イタズラとは思えない。パパに敵対する人たち全員に知らせたと書いてあるわ。カテリーナの方にも同じようなメールが届いていると言っていたわ。家から一歩もでないようにしているけど怖い。どうすればいいの?急いで連絡してください。 愛するパパへ。マリアより」

プーチンは添付された脅迫者の文書を読んだ。顔面がこわばりこめかみが膨れ上がった。いつもは寡黙で冷徹なプーチンだが、あきらかに激怒していた。


ウクライナ危機PARTⅥ ロシア軍の対生物化学兵器の除染方式は「高温焼却」。攻囲されたマリウポリなどで使われたら証拠保全はできないだろう

2022-03-30 20:08:43 | 軍事
詳細はこちら→●ウクライナ危機PARTⅥ ロシア軍の対生物化学兵器の除染方式は「高温焼却」。攻囲されたマリウポリなどで使われたら証拠保全はできないだろう

概要は↓

ディスカバリーCH「徹底検証!ロシア軍の秘密 核科学部隊」から

(N:Nuclear核、B:Biologial生物、C:Chemical化学)

表題のテーマと関係ないが、バイデン大統領が「この男は権力の座に居続けてはならない」と発言したことに、世界中で賛否の声が渦巻いている。筆者は「バイデン大統領、素晴らしい!」と思う派だ。
確かに米大統領としては不適切な発言かもしれないが、多くの人は「よくぞ言ってくれた!」と思う人が多いのではないか。特にウクライナの人々は自分たちのプーチンへの怒りの声を代弁してくれた、と喜んでいると思う。
「原稿になかった発言だ」と些細なことを挙げてしたり顔で非難するひともいるが、それがどうした。
「ロシアを強く非難する」、「ウクライナと共にある」と口では言いながら、21億円ものロシアへの経済援助予算を修正しない2枚舌のどこかの国の首相よりよほど立派である。21億円がウクライナ攻撃の戦費に使われたら、大量虐殺に間接的に加担したことになる。そのような税金の使い方はしてほしくない。

●「細菌も有害物質も一気に焼き尽くす」この除染方式がロシア軍NBC部隊のやり方

生物兵器や化学兵器で敵を制圧しても、汚染された地域になってしまって進軍・侵入できなければ完全勝利とはいえない。除染して無毒化しなければ占領できない。そこで生物も有害物質も高温で焼き尽くせば短期間で無毒化できると気が付いた。
火炎放射器。小型で効率的な火炎放射器の開発。燃料気化爆弾の進化版、サーモバリック爆弾が登場した。


●ロシア軍NBC部隊の火炎放射武器と装備・兵器

<LPO火炎放射器 歩兵隊用軽量モデル>


<MPO-A火炎放射器 コードネーム“Borodach”ひげ男>


<PRO PDM-A火炎放射器 コードネーム“Prize”賞金>


<NBC火炎放射器分隊>


<特殊RHM化学調査用装甲偵察車>


<AMS-701システム除染車>


<重火炎放射器システム TOS-1A 多連装ロケットランチャー>


<サーモバリック爆薬・ロケット弾の爆発の仕組みと効果>



●化学兵器を使って制圧し、すぐに除染と称して焼き払う。証拠は残らない。欧米は化学兵器使用を証明できない

ウクライナ南東部とクリミヤを結ぶ回廊の拠点、マリウポリ。ロシア軍は早く制圧占領したいが、アゾフ連隊の頑強な抵抗でなかなか落ちない。いらだつプーチンとしては、NBCの大量破壊兵器を使ってでも手っ取り早く落としたいところだろう。

<短編小説「プーチンの逡巡と決断」>



ウクライナ危機PARTⅤ われはロシアなり プーチンを剥ぐ

2022-03-27 12:53:15 | 軍事
詳細はこちら→●ウクライナ危機PARTⅤ われはロシアなり プーチンを剥ぐ

概要は↓

ナショナルジオグラフィックCH「ライバルが暴く 真実と秘密」から

●「大ロシアよ、もう一度」。金も権力も手に入れたプーチン、次は大ロシアを復興させた英雄として

<プーチンの妄想>

時には非情な手段を行使しても使命達成のためには必要悪だ。



頭のおかしな芸人が「プーチンにも正義がある」と公器であるTVで言ったそうだが、それは「大量虐殺にも大義がある」と同意語である。このような芸人を重宝がる日本のマスゴミもプーチン同様、正常感覚がマヒしているのだろう。


●プーチンは野望達成には手段を選ばない

寡黙で用心深く本音を出さないプーチン。
ナショナルジオグラフィックCH「プーチン大統領が語る世界」から、彼が語る事の裏を推測してみよう。



<死ぬまでに何を成し遂げるかが大事だ>


(ナショナルジオグラフィックCH「プーチン大統領が語る世界」から)


<チャンスは待つものではなく作り出すもの。無名から一気に人気政治家に躍り出る>

一方プーチンの狙いは違っていた。彼が手に入れようとしたのは最高権力だった。古巣KGBの後継機関FSBの長官に就任した1年後、大統領府に潜り込んだ。偶然なのか第1副首相に指名されたその日に、首相が退陣し、そのまま首相代行となり、すぐ首相となった。


(ナショナルジオグラフィックCH「プーチン大統領が語る世界」から。
「私は・・辞めようと、任期満了の前に辞任を・・そうするべきだと気づいたのです」たどたどしい口調で辞任を表明するエリツィン)

<1999年>

(「そいつを黙らせろ プーチンの極秘指令」著者マーシャ・ゲッセン。ロシア人ジャーナリスト、米に亡命中。
ナショナルジオグラフィックCH「ライバルが暴く 真実と秘密」から)

9.9  モスクワ・グリナノフ通り:集合住宅で爆破事件(死亡94人、164人負傷)。FSB工作疑惑
9.13 モスクワ・カシールスカヤ街道沿い:集合住宅で爆破事件(死亡119人)。FSB工作疑惑
9.16 ロシア南部・ヴォルゴドンスク:集合住宅で爆破事件(死亡17人、72人負傷))。FSB工作疑惑



(ナショナルジオグラフィックCH「ライバルが暴く 真実と秘密」から。何でもあり、手段を択ばないプーチン。自作自演?でチェチェンに侵攻)

9.23 ロシア軍がチェチェンの首都グロズヌイを無差別爆撃
10.1 ロシア軍の地上部隊がチェチェン侵攻を開始
12.31 エリツィンが辞任 プーチンを大統領代行に指名

<2002年>
FSB元職員でイギリスに亡命し、猛毒ポロニウム210で暗殺(2006.11.23)されたアレクサンドル・リトビネ
ンコは、その共著のなかで「集合住宅連続爆破事件は、プーチンを権力の座に押し上げるためにFSBが仕組ん
だ」と暴露


<忠誠を誓い見返りを献上するオリガルヒは優遇、反抗するオリガルヒは潰す>

2003年10月、状況が一変した。ロシア最大の富豪ミハイル・ホドルコフスキーを逮捕してその姿をTVにさらした。私に逆らえばこうなると明確なメッセージ発した。オリガルヒたちは慌てて帰国し逮捕しないようプーチンに頼み込んだ。
そして不気味な不審死が連続していた。


(ナショナルジオグラフィックCH「ライバルが暴く 真実と秘密」から)

●だが抜け目のないプーチンの言い分は違う


(ナショナルジオグラフィックCH「プーチン大統領が語る世界」から)

<プーチンが恐れること>

「私は1つのこと考えていた。“子供たちをどこに隠す?”」

なぜ?とストーンが問い返す。
「考えてみてくれ。私が解任されたら護衛が外される。どうやって生きていく?どう家族を守る?


(ナショナルジオグラフィックCH「プーチン大統領が語る世界」から)