2017/3/29
放射能汚染事故を起こした原子力発電所の職員、関係者たちが対立する話。
公演は2014年。原発事故から3年。
ここまで真正面に題材に向き合って、成果を挙げているのはすごいこと。
原発についてはいろんな意見があるなかで、かなり広い受け手を想定できていると思う。
原発の職員=科学者なのかはよくわからないけど、この作品内ではそうなっている。
いわゆる「理想」と「現実」は対立させがちだけど、実際にはその間の段階が山ほどあって、しかも同じ数直線上にはない。
そのなかで最適解を出して行動しなければならない。
職員も関係者も人間なので、正解は誰にもわからない。かといって、欲望に走るだけでは確実に悪くなる。
本作の結論は、何度やりなおしても未来はロクなことにならない、だからと言ってあきらめるわけにもいかないという感じ。
終わることのない撤退戦。
================メモ===============
台本・演出:黒澤世莉
公演時期:2014/11/16
札幌劇場祭TGR2014特別賞(作品賞)受賞作品
時間堂は2016年12月31日に解散