私が小学校低学年の頃、家には電話がなかった。忘れ物が多かったので、弁当を忘れたときは困った。母が忘れるわけはないから、たまたま給食がない日であったのだろう。文房具や体育帽といったものは借りたり、先生にしかられて終わりとなるが、戦前や敗戦直後でもないので、昼食抜きというわけにもいかない。学校前の文房具屋で電話を借り、駄菓子屋をしていた隣の家に電話をし、母に伝えてもらうのだが、初電話に緊張し用件を伝えるのにあたふたしてしまった。やっとの思いで伝え、無事弁当を持ってきてもらったが、その時の緊張をいまだに引きずっているのか。あれから50年近く経っているのに、今でも電話は苦手だ。言い足りなかったり、肝心なことを言い忘れたりする。大事な用件の電話は、話すべき内容をメモしてからかけるようにしている。
私もたまには長電話をするが、そういう時は、たまたま相手が長電話を得意とする人なのだろう。常時長電話をしている人がいるが、あれは一つの芸当であるような気がする。
私もたまには長電話をするが、そういう時は、たまたま相手が長電話を得意とする人なのだろう。常時長電話をしている人がいるが、あれは一つの芸当であるような気がする。