<関越道バス事故>同業者も「過当競争で運転手に過酷労働」
毎日新聞 4月29日(日)22時43分配信
関越道で起きた衝突事故で、同業のツアーバス会社も、背景に
規制緩和で相次いだ新規参入により業界が低コスト・過当競争
化に陥っている現状を指摘する。
石川県のバス会社幹部は「規制緩和後はバスを5台持って責任者
を置けば誰でも参入できる。そのため過当な料金競争が起こり、
運転手に過酷な労働条件を強いている」と明かす。金沢-東京間
を夜間運行で往復すれば、日中の休憩を挟んで2泊3日。大型
連休など繁忙期には人手が足りず、長距離運転に慣れない運転手
に依頼することもあったという。
関西圏で20年超の運転歴を持つバス運転手(52)によれば、
東京-大阪間の相場は片道3000円台に下落しているという。
「給料も10年前の半分になった。生き残るには悪条件でも仕事
するしかなく、過密スケジュールで運転する人もいるだろう」
と語った。
一方、茨城県のバス会社社長(54)は「うちの会社はコストは
きつくても夜間は2人体制で運行している」と強調。
「今回の事故で国が規制強化の方向に走ることが心配だ」
と懸念した。
ツアーバスの運行形態は路線バスと異なり、旅行会社が客を集め、
下請けのバス会社が運行する。路線バス会社は「下請けとなる
バス会社の立場は弱い」と実情を語る。
大阪府吹田市で07年に起きたスキー客ら27人死傷の観光バス
事故も、1人で約12時間運転した運転手(有罪確定)の居眠り
が原因だった。事故に絡む民事訴訟で、大阪地裁は「バス会社に
余裕がないと知りながら一人で運行させる結果を招いた」と述べ、
事故における旅行会社の責任も一部認定した。
「起きると思っていた事故」 TDRでバス運転手に聞く
朝日新聞 社会 2012年4月30日12時35分
「いつか起きると思っていた」「起こるべくして起きた事故」。
多くのツアーバスが駐車場で帰りの客を待つ東京ディズニー
リゾート(TDR)で、運転手たちは業務の過酷さを口にした。
関越自動車道で死亡事故をおこしたバスと同じ石川県を前夜
に出発、29日早朝に着いた男性(45)は、もう1人の運転手
と2時間おきに交代しながら運転してきた。「それでも、事故が
起きた時間帯はいつも眠くなる。どれだけ寝ても体のバランスが
取れない」
やはり北陸地方から来た男性(47)は「1人では負担が大き
すぎる。2人で交代しないと無理」と話す。しかし「大型連休や
お盆は運転手が足りない。ふだんは2人で走っていても、この
時期だけは1人で走る会社も出てくるのでは」。
甲府市から早朝、約40人を運んだ40代の男性は、駐車場に
並ぶ関西や北陸地方のナンバーのバスに、運転手が1人でいるの
を見かけることがある。「道中の仮眠をどうしているのだろうと
思っていた」
・・・
株式会社ハーヴェストホールディングスは、平成7年12月設立
の新興旅客会社ですが、
平成21年の売上高:20億5000万円
平成23年の売上高:30億6400万円
と、この過当競争で運行バスの価格が値崩れしているなか、
2年間のうちに10億円も売上高を伸ばしているのに驚きました。
従業員数は、平成21年も平成23年も約200名とほとんど変わって
いません。
売上高の規模は、業界の隙間をついたような商売なので、
20億、30億といった規模程度ですが、その中で10億円増やす
ために、相当安い乗車券を大量に販売したのでしょうね。
格安バスツアー、前日には満席…関越道事故
読売新聞 4月30日(月)8時42分配信
関越自動車道で起きたバス事故。
「ハーヴェストライナー」の名で集客した今回の高速バス
ツアーは、旅行会社「ハーヴェストホールディングス」
(本社・大阪府豊中市)が企画。
約3か月前から、自社サイトと、代理販売を委託した他社の
バス予約サイトで集客。1席3500円と、金沢―東京間を
在来線特急と上越新幹線で乗り継いだ場合の指定席料金1万
3010円に比べ格安。27日夕方には満席になっていた。
・・・
単純に東京-大阪間をハーヴェストなら、3,300円
3,300円×40席(バスは大体40~45席)=132,000円(1車の売上)
10億円の売上高増を出すとなると7,575車(台)
もの下請バス会社のバスの運行が増えたことになります。
バスを保有するということは、
ただ単に人件費だけではなく、
車両の減価償却費、整備メンテナンス費用、車検費用、
タイヤなどの消耗品類、車内外美化のための清掃費用、
など等、1車あたりでも相当の費用負担がかかっています。
それだけのコストを下請のバス会社に「そこは自社で何とか
しなさい」「知りません」というような代金になっては
いなかったのでしょうかね。
これだけ安い価格となると、下請のバス会社には、相当な無理
を強いているように思います。
確かに、バス1台を、丸1日、駐車場に寝かせているよりかは、
運行の依頼があり、走らせたほうが、寝かせているよりかは
多少なりともおカネを稼げたのかも知れません。
商売のうち、全体の2割は期待通りの儲けが出て、残りの8割
は収支トントンか、中には赤字という仕事があるのも分かり
ますが、そのバス会社の収支ゼロか赤字の部分を上手く利用
して大きくなっていく旅客会社って、社会的に見て、どうな
のだろうと疑問を感じますよね。
「他人が損をする部分だけを狙って、それをかき集めて
商売として成長していく企業」
それはそれで、無駄を省くためには必要な存在なのかも知れ
ませんが、「安全」を無視し犠牲にした、利益だけが先行した
ものでは、本当に消費者のことを考えた商売かどうか疑問が
残るところです。
安かろう、不味かろうでは通用しない事業(人を安全に運ぶ)
なんですからね。
・・・
それにしても、約200名のうち、110名が契約社員で、売上高は、
ネット販売を駆使して10億円も伸ばしているわけですので、
売上に対しての利益率もほぼ一定でしょうから、そこから出た
利益は、ちゃんと自社で働く社員に還元されているのでしょう
かね。
多くの「犠牲(安全・下請バス会社の収益と働く社員)」
の上に成り立っているハーヴェストホールディングスの
儲け(利益)は、どこに行っているのか知りたいものです。
毎日新聞 4月29日(日)22時43分配信
関越道で起きた衝突事故で、同業のツアーバス会社も、背景に
規制緩和で相次いだ新規参入により業界が低コスト・過当競争
化に陥っている現状を指摘する。
石川県のバス会社幹部は「規制緩和後はバスを5台持って責任者
を置けば誰でも参入できる。そのため過当な料金競争が起こり、
運転手に過酷な労働条件を強いている」と明かす。金沢-東京間
を夜間運行で往復すれば、日中の休憩を挟んで2泊3日。大型
連休など繁忙期には人手が足りず、長距離運転に慣れない運転手
に依頼することもあったという。
関西圏で20年超の運転歴を持つバス運転手(52)によれば、
東京-大阪間の相場は片道3000円台に下落しているという。
「給料も10年前の半分になった。生き残るには悪条件でも仕事
するしかなく、過密スケジュールで運転する人もいるだろう」
と語った。
一方、茨城県のバス会社社長(54)は「うちの会社はコストは
きつくても夜間は2人体制で運行している」と強調。
「今回の事故で国が規制強化の方向に走ることが心配だ」
と懸念した。
ツアーバスの運行形態は路線バスと異なり、旅行会社が客を集め、
下請けのバス会社が運行する。路線バス会社は「下請けとなる
バス会社の立場は弱い」と実情を語る。
大阪府吹田市で07年に起きたスキー客ら27人死傷の観光バス
事故も、1人で約12時間運転した運転手(有罪確定)の居眠り
が原因だった。事故に絡む民事訴訟で、大阪地裁は「バス会社に
余裕がないと知りながら一人で運行させる結果を招いた」と述べ、
事故における旅行会社の責任も一部認定した。
「起きると思っていた事故」 TDRでバス運転手に聞く
朝日新聞 社会 2012年4月30日12時35分
「いつか起きると思っていた」「起こるべくして起きた事故」。
多くのツアーバスが駐車場で帰りの客を待つ東京ディズニー
リゾート(TDR)で、運転手たちは業務の過酷さを口にした。
関越自動車道で死亡事故をおこしたバスと同じ石川県を前夜
に出発、29日早朝に着いた男性(45)は、もう1人の運転手
と2時間おきに交代しながら運転してきた。「それでも、事故が
起きた時間帯はいつも眠くなる。どれだけ寝ても体のバランスが
取れない」
やはり北陸地方から来た男性(47)は「1人では負担が大き
すぎる。2人で交代しないと無理」と話す。しかし「大型連休や
お盆は運転手が足りない。ふだんは2人で走っていても、この
時期だけは1人で走る会社も出てくるのでは」。
甲府市から早朝、約40人を運んだ40代の男性は、駐車場に
並ぶ関西や北陸地方のナンバーのバスに、運転手が1人でいるの
を見かけることがある。「道中の仮眠をどうしているのだろうと
思っていた」
・・・
株式会社ハーヴェストホールディングスは、平成7年12月設立
の新興旅客会社ですが、
平成21年の売上高:20億5000万円
平成23年の売上高:30億6400万円
と、この過当競争で運行バスの価格が値崩れしているなか、
2年間のうちに10億円も売上高を伸ばしているのに驚きました。
従業員数は、平成21年も平成23年も約200名とほとんど変わって
いません。
売上高の規模は、業界の隙間をついたような商売なので、
20億、30億といった規模程度ですが、その中で10億円増やす
ために、相当安い乗車券を大量に販売したのでしょうね。
格安バスツアー、前日には満席…関越道事故
読売新聞 4月30日(月)8時42分配信
関越自動車道で起きたバス事故。
「ハーヴェストライナー」の名で集客した今回の高速バス
ツアーは、旅行会社「ハーヴェストホールディングス」
(本社・大阪府豊中市)が企画。
約3か月前から、自社サイトと、代理販売を委託した他社の
バス予約サイトで集客。1席3500円と、金沢―東京間を
在来線特急と上越新幹線で乗り継いだ場合の指定席料金1万
3010円に比べ格安。27日夕方には満席になっていた。
・・・
単純に東京-大阪間をハーヴェストなら、3,300円
3,300円×40席(バスは大体40~45席)=132,000円(1車の売上)
10億円の売上高増を出すとなると7,575車(台)
もの下請バス会社のバスの運行が増えたことになります。
バスを保有するということは、
ただ単に人件費だけではなく、
車両の減価償却費、整備メンテナンス費用、車検費用、
タイヤなどの消耗品類、車内外美化のための清掃費用、
など等、1車あたりでも相当の費用負担がかかっています。
それだけのコストを下請のバス会社に「そこは自社で何とか
しなさい」「知りません」というような代金になっては
いなかったのでしょうかね。
これだけ安い価格となると、下請のバス会社には、相当な無理
を強いているように思います。
確かに、バス1台を、丸1日、駐車場に寝かせているよりかは、
運行の依頼があり、走らせたほうが、寝かせているよりかは
多少なりともおカネを稼げたのかも知れません。
商売のうち、全体の2割は期待通りの儲けが出て、残りの8割
は収支トントンか、中には赤字という仕事があるのも分かり
ますが、そのバス会社の収支ゼロか赤字の部分を上手く利用
して大きくなっていく旅客会社って、社会的に見て、どうな
のだろうと疑問を感じますよね。
「他人が損をする部分だけを狙って、それをかき集めて
商売として成長していく企業」
それはそれで、無駄を省くためには必要な存在なのかも知れ
ませんが、「安全」を無視し犠牲にした、利益だけが先行した
ものでは、本当に消費者のことを考えた商売かどうか疑問が
残るところです。
安かろう、不味かろうでは通用しない事業(人を安全に運ぶ)
なんですからね。
・・・
それにしても、約200名のうち、110名が契約社員で、売上高は、
ネット販売を駆使して10億円も伸ばしているわけですので、
売上に対しての利益率もほぼ一定でしょうから、そこから出た
利益は、ちゃんと自社で働く社員に還元されているのでしょう
かね。
多くの「犠牲(安全・下請バス会社の収益と働く社員)」
の上に成り立っているハーヴェストホールディングスの
儲け(利益)は、どこに行っているのか知りたいものです。
旅行業を経験されていたかと思うほど、業界の仕組みの的を得た分析に驚きました。
恥ずかしながら、元ハーヴェストホールディングスの社員です。2年前に辞めましたが。
傘下のバス会社の運転手さん達は規制が入るまで、一日15~16時間ほどの仕事を一人でこなした上にホテル代をケチるために片道1時間半ほどの営業所まで戻り、その仕事が連チャンで3日~という生活を平気でさせられてました。
規制が入ってからはツーマンになりましたが。
寝る時間はまともに寝れて4時間ほど。それでも、遅刻厳禁の業界なので、まともに眠れないと言う事もあり、添乗をしていて、怖い思いをした事も何度もありました。
ハーヴェスト自体は儲かってまして。
社長が変な女を30万で雇ってたり、他にも、いろいろやってたかもですね。
ただ、社員は給料は上がりません。
そんな会社だからか、社員同士のイジメも横行していてマトモな会社ではありませんでした。
私に言えることはハーヴェストが有名になる前に辞めて、マトモな仕事に就けてよかったです。
返信が遅くなってすみません。
また褒めて頂きまして恐縮です(^o^)
傘下のバスの運転手さんは、相当過酷な状況で働いているのですね。規制が入ってから多少はマシになったようですが、それでもまともに寝られる時間がほとんどない状況というのはホント異常ですね。
誰がいつ事故を起しても不思議ではないというのは、まさにこのような状態で働いていることから言われるのだなぁと感じました。
中途半端な規模(ワンマン社長にとっては最高に居心地が良い)で、短期間で大きく成長した会社の社長のまさに見本のような会社運営、雇用状況だと思いました。
阿漕な商売をしていても、その利益を社員にも還元していたのなら、まだマシだと思いますが、社長1人かその取り巻きのみ甘い汁を吸うような会社は、将来的にも先が見えていますよね。
上(仕事を下請けに落とす会社)が、まともじゃなかったら、下(仕事を貰う下請け会社)も目先の利益にのみ走り、悪が悪を産む構図となってしまい、モラルなんて無くなってしまいます。
「ボロの親には、やはり子供も親と同様に問題児でボロ」ように、上に立つ会社・人はしっかりと社会的規範を備えたものでないといけませんね。
色々と実情をお教え頂きましてありがとうございました。