「グレン・グールド 27歳の記憶」を観ました。
グレン・グールドは1945年にオルガン奏者としてデビューし、1946年に行われたトロント交響楽団との共演でピアニストの人生をスタートさせました。1956年に初のアルバムであるバッハの「ゴルトベルク変奏曲」を発売し、世界的なピアニストの地位を確立しました。
この「ゴルドベルグ変奏曲」今ではCDを簡単に見つけることができますが、当時はただややこしいだけの曲であまり演奏する人がいなかったようです。
ところで変奏(ヴァリエーション)っていうのは、ある旋律に対し、いろんな装飾を付けたりリズムを変えたりして演奏する楽曲のことで、モーツァルトの「きらきら星変奏曲」などが有名ですよね。
私は「ゴルドベルグ変奏曲」をはじめて聴いたとき、本当は神様っているんじゃないかって思ってしまったし、この曲は「永遠」っていうもの表そうとしているんじゃないかなって、ぼんやり考えていたのを思い出します。
で…プロフィールに戻って…彼は従来の聴衆との関係性や演奏の一回性への疑問を主張し、1964年3月28日のシカゴ・リサイタルを最後にコンサート活動からは一切手を引きました。
1982年10月4日に脳卒中により死去。享年50歳。
彼の逸話は本当に多く、例えばコンサートの時に有名な指揮者や大観衆を待たせて、延々30分以上も自分の座る椅子の高さの調整したっていう話は有名です。ココに出てくる「異様に低い椅子」を見れば、そのエピソードもまんざらうそではないのかなぁって思ってしまいました。
また、極度の寒がりで真夏でもコートを着ていたっていいますが、フィルムにもちゃんとコートを着たグレン・グールドが写っていました。ああ本当だ!!最高です。
フィルム冒頭にニューヨークのスタインウェイ地下にあるプロのために用意されたピアノをおいてある部屋のシーンがあるのですが、そこでピアノを選ぶ際も、スタインウェイのスタッフがグールドが動き回るたびに彼のための特別な椅子をえっちらおっちら運ぶシーンは私にとって強烈なシーンでした。
でも…その時自分にあったピアノが無ければ録音しないのでしょうか?全く持って完璧主義者で、これじゃコンサートなんてできないはずです。録音のときも、テイク3(仮)のこの部分とテイク8(仮)のこの部分がいいからつなぎ合わせようかっていう感じでエンジニアに言っていましたが、彼は誰かに聞いてもらいたくてピアノを弾いたわけじゃなくただ自分を表現する手段としてピアノの前にいた人なのでしょうか?音楽が人対人の表現手段ではなく自分対自分の表現手段だとしたら??……私にはよく分かりません。
で…やっぱりメロディーを歌いながら演奏してました。エンジニア泣かせって言っていましたが、こりゃぁエンジニアも大変だ~。でも、「今弾いている曲の隠れた旋律や主題を分かりやすく聞くことができる」っていうことなので、評価されてるのかなぁ。ファンにとってはぶつぶつ言っていてもあまり気にはならないのですが……。
ピアノを弾く時の姿勢も独特です。猫背で前のめりの姿勢で世のピアニストの卵達がすべからく注意すべしと注意を受けたであろう”姿勢”の問題について完全否定しちゃった……ような感じ。そして時に大きな手振りで指揮者を気取り、本当に”入っ”ちゃってます。
そういえばピアノを弾くときは卵を軽く持つような感じって教わったっていう人が多いようですが、本当のところどうなんでしょう?確かにグレン・グールドの場合ふわっと指を曲げていますが、椅子が低いせいか手首の位置が低いような気がします。
盲目のピアニスト「梯剛之」さんのドキュメンタリーの中で、尊敬するピアニスト(誰だか忘れてしまいました……)の指の形を見たいって言って映像を探しだし、それを見るところがありました。指はあんまり曲げていずに鍵盤を叩いていました。指を曲げるとタイムラグが生じるって誰かが言っていたのですが、私は聞くほう専門なのでここいらのことはこの辺で……。
でも彼は作曲家になりたかったようですね。だけどまだ自分の色が出せないでいるから曲が作れないみたい。早々と演奏活動から身を引いて作曲活動に入りたいって言っていますから目標はそこいらにあるのかも……。人前で演奏するのがあまり好きではない音楽家が目指すところと考えるとなんとなく分かるような気がします。
グレン・グールドと聞くとなんとなくジャズベーシストのジャコ・パストリアスを思い出してしまいます。あの歌うようなベースも私の中でグレン・グールドと勝手につながってしまってます。なんたって彼の弾いたドナ・リーのカッコよさ……。おのおののファンの皆様……私の勝手な考えですので聞き流して下さい。
参考 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より
(前に聞いたことや勝手に自分で思い込んでいることも多いと思うので間違っていたらごめんなさい……)
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