場所柄もあると思うのだが、相当な金持ちも来院する。そしてうちに来る金持ちはおしなべて謙虚で普段を見せびらかす事はない。だが仕事の都合というだけで仮眠のために数十万円はするスイートルームに泊まるとか、近くのあの億ションをキャッシュで買ったとか、聞いてみると皆なかなかすごい。中央区や港区に数十軒もの貸しビルを持っている人もいるし、ウイスキーコレクターの方は100万はくだらないウイスキーを惜しげもなく友達と飲んでいる。そんな日本人を横目に世界にはもっとすごい金持ちがいるらしい。
超個人的に世界のビップ相手の旅行代理店的な仕事をしてる方がいる。長らく仕事の内容を知らずビップのアテンドだけをする方だと思っていた。先日仕事内容を聞く機会があり、クライアントに合わせて一流の演奏家を用意したり、そのお子さんのためだけにこれまた一流のマジシャンに来てもらったり、旅行代理店というよりエンターテイメントを相手に合わせて提供するのが仕事だとのこと。この事を何年も来院しているのに初めて知った。クライアントの時間マネージメントだけでなく、会場や演者とのやり取りもほぼ一人で行う、それも抱えるクライアントの予定作成はいつも複数同時進行、ミスが起きないよう細かくチェックしても、どっちのミスだかわからないようなダブルブッキングもしばしば起きるという。そんな顛末が重なり、ほとほとに疲れ切った時にだけ来院する。
それで仕事量を減らすべく、紹介は受付ないようにしたいとの事だが、かなり優秀な方なのだろう、海外の方々からの紹介が後をたたない。あまりにも大変でその連絡に出ないようにしていたら、何度も依頼を受けている紹介者からの催促の連絡。すでにパンパンな仕事量は減らせず、あまりにも特殊な仕事で人にも任せられない。そんな仕事のトラブルに管理している不動産トラブルが重なり、今回の疲労度はこれまでで最高だった。
そんな彼女を心配してか、知り合いが新しく建てたホテルのスイートに泊まりに来いと誘ってくれた。それで行ってきたら、そこにはプライベートプールがあった。早朝より泳いで久しぶりにリラックス。ついでに都内の眺望も満喫。誰もいないプライベートな空間で入るプール、そして都内らしからぬ足元に広がる渋谷界隈の広大な緑。この癒し、この風景に生きていけそうな気がする。だから赤坂からこの辺に引っ越そうと考えていると言う。
対照的な私の癒し、使うお金も走行距離も先に決め、縛りを設けてただ歩くだけのランニングにウォーキング。「全くおおしたさんは10日も治療院を空けて瞑想するだの、意味なくそこここを徘徊するだの、ほんと貧乏人にありがちな非建設的暇つぶしが好きだよね」と揶揄しつつも話を喜んでくれる。
一回の治療が1時間弱。色んな金持ちと接して、その生き方はおおよそ正反対だ。何を自らが選ぶかは人それぞれ、自らが選んだもの、選ばされたものを尊いと思えば、足元に幸せを見つける事ができると思う。人生思うようにいかなかったからこそ、ひねくれながらも探し続けている生ききるためのヒント。彼らの生き方にもヒントをもらいつつ、人間の幅を広げていきたい。苦しくもやりがいのある仕事を乗り切るために必要な癒しの一つとして当院を選んでくれた有難さ。私は人生の終末に入り、人生のダウンサイズに喜びを見い出し始めているのだが、互いの相手へのリスペクトが自分への応援と感じる適当な会話に大いに刺激をもらう毎日。相手はどう思っているかわからないが、私は自らの道をまい進したいと、人の話を聞いて思いを強くする。感謝しかない。
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