生活習慣病の起源を胎児期の低酸素とか低栄養に求めるバーカー理論
かなりショッキングです。
痩せたお母さんは低体重児を産みやすく、子どもは肥満になりやすい傾向にあると言われています。
おなかのなかで赤ちゃんは低栄養の中で育たなければならないので「燃費の良い」子どもになるということらしいです。
日本では妊娠期間中の体重増加にのみ注目が集まる傾向にあります。
これは妊娠中毒症や妊娠期糖尿病といった、妊娠中に過度な体重の増加をきたす疾患に対し、「妊娠中の太りすぎには注意が必要」との認識が広がったことが一因のようです。
そこから派生して「小さく産んで大きく育てる」ことが賢明なことであるという風潮が芽生えてきました。
ここ20~30年の母子保健統計によると、日本での平均出生体重は著しく減少しています。
2004年の平均出生児体重・3.01 kg (男児 3.05 kg、女児 2.97 kg)は、「妊娠中の太り過ぎに注意」という世論と、「女性の極端なやせ願望」がその原因だと考えられているようです。
このような、赤ちゃんの出生児体重の減少は、いわゆる「小さく産んで大きく育てる」 の主旨に合致したもので、日本の未来にとっても非常に望ましい傾向と考えられるかもしれ ませんが、これらの「小さく産まれた」赤ちゃん達が、今度は、その後に「大きく育って」 いったかについては、あまり議論されていなかったようです。
で…この「成人病胎児期発症説」という理論、英国サウザンプトン大学のデビッド・パーカー博士が20年前から提唱しているもの…。
「胎児は脳や心臓などから栄養を消費するため、栄養不足状態が続くと、筋肉などが発達しにくく、出生後に栄養豊富な環境で育つと、筋肉が少ないため脂肪がつきやすくなる。体内での栄養不足が続くと、筋肉の元になる細胞が増えず、出生後に脂肪をためこみやすい体質になるため、肥満になり、成人病(生活習慣病)を起こしやすくなる 」
バーカー教授らは、出生時体重の明らかな英国の地域住民を対象に、46~54歳時の成人病 (最近では メタボリックシンドロームと呼ばれているもの)の発症状況を調べました。
結果は、出生体重が少ないほどメタボリックシンドロームの発症リスクが高いというものでした。
具体的には、出生時の体重が2.5 kg以下であった人たちは、3.41 kg以上で あった人たちに比べ、50歳時でのメタボリックシンドロームの発症率は実に13.5倍であったという事実が明らかになりました。
さらにバーカー教授らは、他の地域でも同様の 結果を得ており、また他の研究者によって、 長期に食糧難が続いた第二次世界大戦後のオラ ンダにおける低栄養妊婦から生まれた低体重児を追跡した 調査でも、同様の結果が報告され ています。
わが国では、その人の生活環境や生活習慣によって 引き起こされる疾病であることから「生活習慣病」と名称を変更したところですが、実は生活習慣と関係する以前、胎児期に方向づけられていたという驚くべき内容です。
参考HP:京都市立病院トピックス(2007年2月26日掲載)
◇ 「小さく産んで大きく育てる」は間違い!?
妊娠中 しっかり食べて YOMIURI ONLINE医療と介護
参考文献
◎「胎内で成人病は始まっている」The Best Start in Life
デイヴィッド・ バーカー、訳:藤井留美、監修・解説:福岡秀興、株式会社ソニー・マガジンズ、2005◎「成人病は胎内で始まっています」、福岡秀興、OGWave,Kissei、2006
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