初鹿 史典の熟成を楽しむ!

【第621回】高いものには必ず理由がある。

 この牛乳は現在も販売されており飲料というより

料理に使われることが多いといいます。

乳脂肪分は無塩バターを使えば補えますが、

牛乳の風味までは補えません。

そしてその風味は健康な餌、健康な牛、

そして徹底した衛生管理から生まれます。

加熱処理の仕方など風味を損なわない

加工が可能になるからです。

反対に質の悪い牛乳はしっかり処理しなければならず、

風味が損なわれます。

マスコミに登場する有名シェフには浜中産牛乳

のファンが大勢いて、よく訪ねてくるそうです。


この製品によってタカナシは躍進します。

どこもまねができない看板商品を得たこと

で営業がしやすくなり、ほかの製品も売れ出したのです。
 


 タカナシの社長が訪れて乳牛1頭1等のデータを

目にしたのが酪農技術センターでした。

このセンターの起源は1973年(昭和43年)にさかのぼります。

きっかけはアメリカなどで研修してきた若者たちの声。

研修先には牧草畑の土壌分析から始まる徹底した

科学的な酪農がありました。

 浜中町は寒流が流れる太平洋に面しており、

夏には海霧が入り込んで気温が上がらず、

植物の生育にはあまり適していません。

そのためほかの農業が根付かず、

酪農1本になったのですが、牧草にとっても

厳しい環境であることは同じです。

この環境が夏場でも、乳脂肪4.0という

桁違いの数字をたたき出す原動力になります。

(年間を通じて、4.0を出すという地域は

浜中しかないといわれております)

土壌の管理で生産性を上げようという試みは、

この気象条件だからこそ必要だったのかもしれません。



タカナシ乳業が浜中町に進出して4年目の1984年、

ハーゲンダッツジャパンが設立されます。ハーゲンダッツは

1961年にニューヨークで誕生したアイスクリームの会社で、

日本ではハーゲンダッツ本社とサントリー、そしてタカナシ乳業

が出資してハーゲンダッツジャパンが設立されました。

 現在ハーゲンダッツのアイスクリームはアメリカ、フランス、

そして日本の3カ国だけで製造され、世界に供給されています。

その品質管理は徹底しており、日本に来た製造技術者も牛乳の質

を最も重視していました。

岩手県などにもタカナシ乳業は工場を持っていますが、

技術者は迷うことなく浜中を選んだのです。

それも酪農技術センターで蓄積された技術やデータがあったためでした。

冒頭で紹介した「品質へのこだわり」の中の「私たちの努力は土壌作りから始まります。

高品質なミルクは、乳牛一頭一頭の健康管理はもちろん、

主食となる牧草の成分分析、さらには乳牛にとって理想的な牧草が育つために土壌の

ph値までも厳しく管理することで生まれています」といった説明は、

じつは浜中町の酪農そのものを指しているのです。
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